今の中国は習近平にとって理想か?4期目の可能性とともに探る
権力基盤を固めた習近平と習派
習近平は中国を再び偉大な国にした。
果たしてそうだろうか?
かつて毛沢東氏は建国から
多くの敵を粛清して基盤を固めた。
21年間もの間、中国共産党の主席に君臨し、
中国の建国の父として知られている。
しかし習近平氏は毛沢東を越えられるかと言えば、
それは試練があり、鄧小平が残した改革開放の
跡が彼の権力の集中を苦しめていると言える。
【中国共産党の主なトップたち】
毛沢東:建国の父
1945年6月19日 – 1976年9月9日
鄧小平:改革開放(社会主義市場経済)
1983年6月6日 – 1990年3月19日(総書記には就任していない)
習近平:習近平思想
2012年11月15日-
このような3代の指導者が築き上げた
14億人もの抱える大国は
果たして習近平の理想郷なのか
今回は問い続けなければならない。
権力の集中=理想的
まず習近平氏が3期目に就任した際に、
ほぼ全ての権力を手中に収めることには
成功しました。
これは最高指導部とその下の政治局員まで
全てから共産党青年団出身の大物を
外したことから始まります。
いわゆる共青団とは胡錦濤派閥です。
【中国共産党の3大派閥】
太子党(江沢民派)
→2世、3世の共産党員が多い派閥。江沢民に近い
共青団(胡錦濤派)
→共産党内のエリート。
習近平派
→太子党系の習近平に近い派閥、主に部下や同郷の者がメイン
習近平派が今や党内の主流派であり、
最高指導部のうち7人中6人が習近平派
と言われる方々です。
【中国共産党 第19期政治局常務委員】
1位:習近平国家主席(習派)
2位:李克強首相(胡錦濤派)
3位:栗戦書全人代常務委員長(習派)
4位:汪洋政協主席(胡錦濤派)
5位:王滬寧中央書記処書記(無派閥)
6位:趙楽際党中央規律委員委員会書記(習派)
7位:韓正副首相(無派閥)
このように習近平派で固められていなかったのです。
特に国務院のトップと党のトップが
違うことで生じた差異は
中国政治をより不透明にしたと言っても
過言ではありません。
【中国共産党 第20期政治局常務委員】
1位:習近平国家主席(習派)
2位:李強首相(習派)
3位:趙楽際全人代常務委員長(習派)
4位:王滬寧政協主席(無派閥)
5位:蔡奇中央書記処書記(習派)
6位:丁薛祥副首相(習派)
7位:李希党中央規律委員委員会書記(習派)
7人中6人を習近平派で固めたことは
人事を掌握したと言えるでしょう。
一番国務院を習近平派にしたことで
変化したのは記者会見です。
日本経済新聞の記事を取り上げさせていただきます。
党だけでなく国務院でも習近平氏が権力を集中させ、
政府の方針でも習近平思想や習近平の名前を連呼する
シーンがあったりなど、
中国の政治には今、大きな変化があるのです。
権力の集中は習近平本人にとっては理想的でしょう。
習近平を支える参謀たち
ここで習近平本人を支えるキーパーソンを
ご紹介いたします。
【習近平主席を支える参謀】
李強(首相・元上海トップ)→
国務院首相であり、上海時代の習近平の部下(側近)
蔡奇(中央書記処常務書記・元北京トップ)→
日本で言う党の最高幹部(幹事長級)であり、
浙江省時代の習近平の部下
彭麗媛(習近平夫人)
→元人民解放軍の総政治部歌舞団団長であり、習近平主席のファーストレディ
現在は3名がそれぞれの役職で支えているんです。
李強首相は国務院(政府)のトップ、
蔡奇氏は中国共産党のNo.2として
習近平を支えています。
夫人もまた最近ですと、
軍の人事でも関与したと言われていて、
後任の国防部長は夫人と同じ出身地の
方が選ばれました。
つまり3人がキーパーソンなのです。
この他にも日本と関わりが深い
キーパーソンがいますので、
ここも要チェックです。
【その他のキーパーソン】
丁薛祥(筆頭副首相)
→習近平主席を官房長官役で支えていた。上海時代の側近
王滬寧(政協主席)
→かつて3人の主席のブレーンとして務めた。無派閥でありながらトップ4に
何立峰(副首相・経済担当)
→経済担当の副首相。各国財務大臣や経済要人のカウンターパート
王毅(外交トップ)
→10年以上に渡り習近平の外交を支えてきた存在。実は知日派
習近平氏本人が信頼に足ると思われる人物は
基本的に同郷の人物です。
それは生まれや育ち、かつての部下や
夫人などが実際に要職をこなしていることで
信頼が見込まれます。
4期目が課題
さてもう早いですが4期目について
考えてみたいと思います。
結論から言えば、
党幹部の中心となる人物は限られていて、
ここからは留任可能な部下や同郷が
限られていくことです。
中国には7上8下という暗黙の了解があります。
これは67歳より下ならば留任、
68歳以上であれば指導部からの引退です。
しかしこの暗黙の了解は
現在の指導部から見てもわかるように、
暗黙の了解は破れました。
ただこれ以上の例外は作りたくはない思いも
透けて見えます。
今の例外は主席を除くと、
外交トップの王毅氏と
人民解放軍のナンバー2である
張又侠副主席です。
出来れば暗黙の了解を過度に増やさず、
信頼に足る人物で固めたいとも
考えることでしょう。
その例は李希党中央規律委員委員会書記にも
現れています。
李希氏は習近平の直属の部下ではなく、
王滬寧氏の除く4人より
距離がある習近平派なのです。
だからこそ今後も習近平指導部が続くならば、
かつての部下だけでなく、
国家主席時代の部下も含め
信頼を勝ち取った人物が選ばれることでしょう。
日本としても習近平の描く理想と
現実的な外交ルートの構築、
建設的かつ安定的な日中関係の構築には
対話もまた欠かせないものだ。