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不妊治療の延長は正義か悪か? 高齢出産の可能性を支援する政府の対応について
不妊治療の種類
不妊症の治療には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精などの
生殖補助医療があります。
これらは原因に応じて最適な治療法が選ばれ、
保険適用のものと自費のものがあります。
タイミング法は、排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる方法で、
排卵誘発法は内服薬や注射薬で卵巣を刺激し、排卵を促します。
人工授精は、精子に問題がある男性不妊症の主な治療法で、
採取した精液を子宮内に注入します。
体外受精は、卵子を体外で受精させ、受精卵を子宮に戻す方法です。
・タイミング法-排卵日を予測し性交を合わせる方法
・人工授精-精子に問題ある男性不妊症の主な治療法
・体外受精-卵子を体外で受精させ、受精卵を子宮に戻す方法
・排卵誘発法-内服薬や注射薬で卵巣を刺激し、排卵を促すもの
不妊治療は複雑で多岐にわたるプロセスを含んでいます。
例えば、タイミング法では、経腟超音波検査を用いて卵巣内の卵胞の大きさを
測定し、排卵日を推定します。
排卵誘発法は、排卵のない方や排卵が起こりにくい方に対して行われることが
多く、タイミング法や人工授精の妊娠率を高めるためにも使用されます。
内視鏡手術は、不妊の原因を取り除くための手術であり、
検査と同時に治療が行われるメリットがあります。
子宮鏡や卵管鏡を使用し、子宮内のポリープや子宮筋腫を切除したり、
閉塞した卵管を開通させたりします。
しかしタイミング法と排卵誘発法に関しては価格が1回あたり1,000-20,000円
ですが、人工授精が1-3万円、体外受精に関しては20-60万円と高額です。
体外受精だけは会社員の一月分の月収がかかります。
晩婚化が進むことの定め
加齢が進むと、卵子や精子の数が減り、質も低下します。
10代の頃に比べ、30代は卵子が3分の1程度まで減少します。
特に30代後半以降ですと、ますます妊娠する確率が
低くなります。
そのため、高齢での自然妊娠は難しくなることが多いです。
だから不妊治療の選択肢は当たり前にあるべきだったのです。
体外受精や顕微授精を行っても、受精しない、
または胎児に発育しないことがあり、
妊娠・出産が困難になる場合があります。
不妊治療は1度では終わらず、継続性が求められます。
そして個々の患者に合わせた治療選択が重要で、
早期に体外受精を進めることも一つの選択肢となります。
しかし先ほどの述べた費用負担がサラリーマンの月収分ですので、
なかなか選択できないものでした。
不妊治療は常に進化しており、
新しい技術や方法が開発されています。
しかし、加齢に伴うリスクは避けられない現実です。
卵巣手術の既往や子宮内膜症、子宮筋腫などの基礎疾患が
妊娠を妨げることもありますが、
何よりも避けられないのは加齢の影響です。
晩婚化の流れが不妊治療のニーズの増加を引き起こし、
より子供を産む選択肢がない社会へとなるでしょう。
菅政権の功績
2022年4月から、不妊治療への保険適用が大幅に拡大されました。
これにより、不妊治療中の方々の負担が軽減され、
高額な治療費のために諦めていた方々も治療を受けられるようになりました。
以前は不妊の原因を明確にするための検査や症状の治療のみに保険が適用されていましたが、現在は体外受精や顕微授精などの治療も保険適用の対象となりました。
改正前:検査や症状の治療のみに保険が適用
改正後:体外受精や顕微授精などの治療も保険適用の対象
保険適用により、人工授精や体外受精等の基本治療が全て保険適用され、
原則3割負担となります。
治療費が一定額を超えた場合には「高額療養費制度」の対象にもなり、
自己負担額が抑えられます。
例えば、年収約370万~約770万円の方は、
自己負担額が1カ月あたり8万円程度になります。
治療薬の保険適用
卵巣刺激に用いる「ゴナールエフ」や排卵誘発に用いる
「オビドレル」等の性腺刺激ホルモン製剤、
着床・妊娠継続を助ける「ルテウム」等の黄体ホルモン製剤が
保険適用の対象となります。
これにより、治療の選択肢が広がり、経済的負担が軽減されます。
治療薬の保険適用拡大は、多くの夫婦にとって希望の光となっています。これまで高額な治療費が壁となり、不妊治療を受けることができなかった多くの人々が、新たな治療の機会を得ることができるようになりました。
不妊治療における我が国の現状
国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、
不妊の検査・治療経験がある夫婦は全体の18.2%、
約5.5組に1組の割合です。
もし中学生や高校生の読者がいれば、
将来的にはクラスに2-3人の女性が
不妊治療の選択を取るといったケースがあるかもしれません。
それほど不妊治療は我が国で身近な課題なのです。
不妊は特別なものではなく、誰にでも起こり得る問題です。
令和元年の統計では、生殖補助医療によって誕生した子供は6万598人で、
約7%を占めます。
現在は令和6年度ですので、同じ学年に1-3人は
いるかもしれませんね。
また、晩婚化が進む中で不妊治療の需要は高まっています。
生殖補助医療によって誕生する子供の割合は増加しており、
平成21年(2万6680人)から令和元年には約2.5倍に増えました。
これにより、不妊治療がより一般的なものとなり、
多くの夫婦が治療を受けることで、子供を持つ夢を実現しています。
未成年の望まれない妊娠も当然問題ですが、
望んでも妊娠出来ない成人女性の方にも
より政策を普及しなければなりません。
仕事と不妊治療の両立
不妊治療は複数回にわたる通院が必要で、精神的・時間的な負担も大きいです。
不妊治療経験者の16%(女性に限れば23%)が仕事と両立できず
退職しています。
政府の施策には、不妊治療を行う労働者のための休暇や短時間勤務、
時差出勤やテレワーク等の制度の整備が含まれます。
これにより、治療を受けながらも仕事を続けることができる環境が
整えられています。
例えば、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)を通じて、
5日以上の休暇を取得させた事業者に対して28.5万円を支給し、
20日以上の連続休暇を取得させた場合にはさらに28.5万円を
加算支給しています。
・妊活と働き方
・費用の高騰を抑制
・助成金の獲得で企業の財政負担軽減も
企業は妊活を望む従業員に対し、
手厚い支援を行っていくべきでしょう。
政府の対応とその影響
菅義偉前総理・総裁が進めた不妊治療への保険適用拡大は、
多くの夫婦にとって経済的な負担を軽減するだけでなく、
治療の選択肢を広げるものとなりました。
高齢出産の可能性を支援する政府の対応は、多くの人々に希望を与える一方で、不妊治療の社会的認知とサポート体制の強化が求められます。
政府の施策により、不妊治療がより身近なものとなり、
多くの夫婦が治療を受けることで子供を持つ夢を実現しています。
しかし、今後も不妊治療の社会的認知を高め、
治療を受ける人々へのサポートを強化する必要があります。
医療機関や企業、政府が一体となって、不妊治療を支援する体制を整えることで、さらなる安心と希望を提供できるでしょう。