【第50回衆院選】自公過半数割れ。躍進する国民民主党
自公過半数割れした世界線
今回の選挙において自民党は大変厳しい禊を受けました。
前回選挙で自民党が261議席あったものが、なんと191議席に減りました。おそらくですが、2000万円の問題が表面化しなければ200-210台だったかも知れません。
公明党もまた前回の総選挙では32議席あったもが24議席に減り、与党は215議席です。12年続いた自公連立政権は一転して影を落とす結果となりました。
公明党は大阪では常在戦場の4議席を失い、愛知でも敗れ、北海道でも敗れ、埼玉でも石井代表自身が小選挙区で落選する結果となりました。
なお入党及び復党可能性のある候補者として、平沢元復興大臣、萩生田元政調会長、西村元経産大臣、世耕前参院幹事長、三反園元鹿児島県知事、広瀬氏の5名はなるべく早い形で復党することになるでしょう。
一方で立憲民主党は前回96議席だったものが、148議席となりました。異例の大躍進を遂げました。ただしこちらも無所属で立憲会派に所属する松原元拉致問題担当大臣、中村氏の2名を追加して150議席となるでしょう。
そして今回の大躍進である国民民主党ですが、こちらは前任者の議席である愛知7区と愛知11区で議席を奪うだけでなく、埼玉では13区と14区で大物議員をそれぞれ倒して初当選。秋田3区と静岡4区では議員経験者がそれぞれ保守王国で自民前職を下す結果となりました。
中でも埼玉14区と愛知16区は公明党が10増10減の際に獲得した小選挙区であったため、そこで国民民主が議席を獲得した意味は大きいでしょう。
維新の会ですが、こちらもまた番狂せが起きました。福岡11区では麻生最高顧問vs武田元総務大臣と言われる福岡の勢力の武田元総務大臣が維新候補に敗れました。さらに広島4区でも池田勇人元総理の親戚の娘婿である寺田元総務大臣を破り、維新候補が当選したのです。滋賀1区でも維新の斎藤アレックス氏が自民候補を破り当選し、大阪では全ての小選挙区で維新が全勝しました。
ただ和歌山は僅差で敗れ、兵庫は小選挙区で1議席も獲得できないなど、大きく影を残した部分もあります。比例も伸び悩み、維新にも課題は多くあります。
鍵を握る首相指名選挙
以前作成した画像ですが、こちらの画像の通り首相指名選挙があります。衆院と参院で異なれば衆院の優越によって、衆院で選ばれた総理候補が総理大臣です。
過去にはそうした事例がありました。しかし今回の首相指名選挙では衆院が自公過半数割れし、首相指名選挙で石破首相に入れることは、当然裏金問題で厳しい審判を下された政権と組むことになります。
そうなれば来年の参院選でもおそらく厳しい審判が自党に向くことになるでしょう。重要法案と予算案でうまく合意形成を作りつつ、連立政権と見られないようにし、逆風をうまく避ける方法を考えなければなりません。
維新も国民民主ももし自民と限定的に組むならば、その後の連立や選挙協力も不可欠となるため、正直に申し上げれば3党が最終的に野田佳彦氏か白票。
他のリスクのない少数政党が白票でギリ石破さんの可能性もあるでしょう。
いずれにせよ不安定化は避けられない。
参院選を見据えた立国の選挙協力
今回の衆院選では立憲と国民が二つとも立候補している選挙区が複数ありました。しかし自民候補を下し当選した小選挙区、比例で当選した小選挙区候補者は次回の総選挙で優先されるかもしれません。つまりどちらかの候補は別選挙区への移動や比例名簿の上位、参院の可能性もあるでしょう。
千葉5区:矢崎堅太郎(立憲)
→岡野純子(国民)は比例当選。※移動か?
秋田3区:村岡敏英(国民)
→立憲は次回擁立せずか?
石川1区:小竹凱(国民)
→立憲は次回擁立せずか?
愛媛1区:石井智恵(国民)
→立憲は次回擁立せずか?
愛知16区:福田徹(立憲)
→松田功(立憲)は比例当選 ※移動か?
神奈川18区:宗野創(立憲)
→西岡義高(国民)は比例当選 ※移動か?
神奈川19区:深作ヘスス(国民)
→立憲は次回擁立せずか?
東京3区:阿部由美子(立憲)
→国民は次回擁立せずか?
東京28区:高松智之(立憲)
→国民は次回擁立せずか?
仮に再び立憲と国民がそれぞれどちらかの現職のところに候補者を擁立する事例を作るとなると、玉木雄一郎代表のところに立憲候補、野田佳彦代表のところに国民候補と、支持する労働連合にとっては票の一本化ができずマイナスとなります。これを避けなければならないのです。
そして立国の枠組みは今回の一件で、国民の方がパワーバランスが大きくなり、立憲との調整でもやや優位になるでしょう。もちろん5:5の調整は勢いが違くても、議席数が全然違うため論外ですが、8:2だったものが7:3になるかも知れません。
自民現職4名のところに立憲が3名、国民が1名と棲み分けする歩合が変わってくることが魅力でしょう。
来年改選する裏金議員は以下の通りです
・堀井巌(奈良)1人区
・加田裕之(兵庫) 3人区
・大野泰正(岐阜)1人区
・西田昌司(京都)2人区
・森雅子(福島)1人区
・吉川有美(三重)1人区
・北村経夫(山口)1人区
・長峯誠(宮崎)1人区
・酒井庸行(愛知)4人区
・高橋はるみ(北海道)3人区
なお比例は今回の一件でリスト入りはしませんでしたが、いずれにせよ保守王国での今の自民の勢いはキツいものであることから、1人区は立国をメインに調整し、議席を最大化することが鍵でしょう。
野田代表も玉木代表もそれぞれ時間があることから、今度は腹を割って調整することが望ましいでしょう。決してどちらかが独断的に決めるのではなく、左から穏健保守まで幅広い支持の受け皿として機能する二大政党を求めてまいりたい