「すべすべオイルが気持ちいい!」というキャプに赤字入る。理由は「エロいから」。
こんにちは。今回は全国的にも有名なS出版が発行する月刊誌「O」(20〜30代女性がターゲットっぽい小洒落た雑誌)の編集ページを何ページも担当した時のお話です。
私が執筆担当したのは首都圏のプライベートエステ特集で、全部で5件は取材に行きましたかね。撮影時にモデルを起用する予算はないので、体験トリートメントも私がひと肌脱いで誌面に肌をさらしました。フリーになりたての頃だったので「7,000円/ページ」と言う破格のギャラでも頑張れたんですよね。今考えるとちょっとバカにしてんの!? てなるくらいにありえんギャラです。
フェイシャルとか脚のリンパドレナージュとか色々取材したんですが、特集ページが20ページくらいあって、5ページ毎に担当者が分かれていました。超優しい担当者、結構キツめな担当者、終始混乱してる新入り担当者など、バリエーション豊かな顔ぶれでした。
で、私が執筆するページの担当者が”結構キツ目な担当者(女)”だったわけです。でも担当者がどうあれ私は私のやることを遂行するのみ、という考えでしたので特に何も気にせず進めていました。
で、もちろんキツめなので赤字もキツめです。「私だったらこんな無礼な赤入れしねえわ」と思いながらも、感情を遠くに置いて言いつけ通りに粛々と修正していたのですが、一カ所動きが固まった赤字がありました。
それは、オイルマッサージを体験している私の写真の吹き出し部分。その写真には、ラフの時点で吹き出しがあったので、「スベスベのオイルが気持ちいい〜♩」というコメントを差し込んだわけです。そしたら、
「なんかいやらしい感じがするので別の表現で」
と赤入れされていたのです。
「ど こ が や ね ん」
イラっときて、当時のリーダーに当たる人に「ちょっと!これのドコがやらしいってんですか!?あいつの頭ん中がやらしいから曲解しただけじゃないですかね」
って怒りをぶちまけました。
「うわーほんとだ!赤字の理由に”エロいから”って初めて見たわwww」
と社内は盛り上がりました。でも私は、なんか無性に悔しかったんですよね。読者がイメージするものって、言葉だけでもないし写真だけでもないしデザインだけでもないんですよ(主観)。どんなに言葉がエロくても写真やデザインで芸術にできるし、どんなに言葉にトゲがあっても写真やデザインで丸く仕上げることができるんです(主観)。逆に、どんなに写真がエロくてもトゲがあっても、同じように言葉やデザインでその逆に振り切ることができるんです(主観)。※そもそもこの吹き出しキャプはエロくないし!!
とまあすべて主観ですが、私はその三位一体で誌面は作られる物と思っています。それはWebでも同じだと思います(が、Webはあまり知識ないのでいつも編集長に助けてもらっていますが)。
でも、社内での意見の相違ではなく、私はお金をもらう立場。つまり弱者。今はフリーとして怖いもんなしだし下請け法が充実しているご時世なので強弱なんて意にも介しませんが、当時はどんなに
「これはエロくない!エロいと言ったアイツがエロいんだ!」
とエロの根源を主張したくてもできない環境。よって嫌々キャプ変えました。
たった一行の短いキャプを。このたった一行の短いキャプを変えることは、なんていうか、すごく反発したくなりましたね。だから丸ごと変えるのではなく
「すべすべオイルにうっとり〜♩」
みたいな感じで、「すべすべ」か「気持ちいい」はそのままにしてケンカを売るように修正を送りつけました。「いやらしいの意味がいまいちわかりませんでしたが修正してみました」とコメントを添えつつ。そして、「もう一回”エロいから変えてください”って言ってきやがれ」と。超ケンカ腰だったのを覚えています。
若い頃は私は、血の気が多いというか、くだらない反骨精神旺盛というか、振り返るとなんか色々面白いです。今だったら「ですよね〜、エロいですよね〜コレ!」って言ってさっさと直して納品してはい終了、ってできるけど。
だから私、若い子達の反発とか空回りとか、昔の自分を見ているようで結構好きなんです。「そうやってくだらないことに必死になっても、恥ずかしい思いもいっぱいしても大丈夫、ちゃんと立派な大人になれるよ」てな気持ちで見守ってしまいます。※私が立派かどうかは別の話。
さて次回は、クライアントとの打ち合せで私がぶち切れて机を叩いて会議室を退出したイタいエピソード(黒歴史ともいう)を書き綴りたいと思います。