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裏話④~がごめの名前編~ 短編小説「ハコダテのがごめ」

短編小説「ハコダテのがごめ」裏話⑤


今回は「がごめ」という名前について。


おまゆさんが飼っている猫の名前は「とろろ」と「つみれ」
この名前を参考にしたいと考えました。
そこで考えたのが、ひらがな、かつ、3文字である名前。



案はいくつもありました。

とろろ、つみれのように食に関わるものとして……
「がんも」「ちくわ」「とうふ」「おもち」

なんとなく「つみれ」に響きが近い……
「つくね」
焼き鳥……
「ねぎま」
食べたい。

なぜか和菓子……
「あんこ」「きなこ」「にっき」
ちょっと女の子っぽい気がしますね。

道南地方の地名から……
「ほくと」「ななえ」「やくも」「せたな」
なんだかカッコいいですね。

最後まで迷ったのは……
「まりも」
北海道らしいし、響きがかわいいし、もじゃもじゃぼさぼさの猫が想像できます。
ただ、北海道といえば「まりも」というのも安直な気がしましたし、なんだかかわいすぎる気がしました。
そしてまりもは主に道東、阿寒湖などの名物です。函館の物語にはふさわしくないと感じました。道産子のこだわりです。


最終的には、おまゆさんの旦那さんのお兄さんが飼ってらっしゃる猫の名前が「こんぶ」であること、そしておまゆさんが飼っている猫が「とろろ」であることから、やはり昆布の名前がいいだろうと思いました。


「がごめ」は函館近海でだけ採れる特産品「がごめ昆布」からきています。
がごめ昆布はネバネバぬるぬるした昆布です。


がごめ。
面白い響きですよね。濁音(ガ行)と口唇破裂音(マ行)。
美しい発声の仕方としては、「んがんごんめ」。
なんとも朗読が難しい名前です(笑)

でも、妙に心に残る良い名前だと思います。
かわいいけど、かわいすぎない、心が惹かれる愉快な感じ、渋さ……

「とろろ」と「つみれ」というステキな名前をリスペクトしつつも北海道函館を意識したネーミングができたと思っています。


「ハコダテのがごめ」
函館のこともがごめ昆布のことも知らない子供にとっては、「ハコダテノガゴメ」……呪文のような不思議な響きに感じるのではないでしょうか。
函館のことやがごめ昆布のことを知っている人にとっては「函館のがごめ昆布」……絵本のタイトルは思えないような渋さで、一体どんな物語だろうと興味を引かれるのではないでしょうか。


投稿後の反響を見ていると、皆さんにも「がごめ」を気に入っていただけている気がします。
そして僕自身もこの名前にすっかりハマってしまっています。

がごめのことを、今後ともよろしくお願いします!




最後まで読んでいただきありがとうございました!

幸野つみ

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