今まで観てきた舞台を振り返る~他にも色々見てました編~

こんにちは、雪乃です。

舞台の振り返り感想、本日は四季・東宝以外の作品について語っていこうと思います。

シャボン玉とんだ宇宙までとんだ

昨日、これの東宝版の感想を書きましたが、こちらはオリジナルの音楽座版。「アルファ・ケンタウリからの客」という小説が原作です。
絶妙な昭和感(初演は1988年)、初演時は役者も総出でセットを作ったというエピソードが残っている、温かみのある舞台。日本オリジナルミュージカルの良さがつまった作品です。
スリとして生きてきた主人公の折口佳代は、遊園地の迷路で作曲家を志す青年三浦悠介と出会います。佳代と悠介は恋に落ちますが、佳代には彼女自身も知らない秘密がありました。それは、佳代は一度養父によって死亡させられているということ。そして、彼女が今生きているのは、宇宙で事故に遭った宇宙人「ラス星人」の女性オリーの生命素によるものであるということ。オリーの恋人ミラを含む他のラス星人たちは、オリー復活のため佳代から生命素を回収すべく地球に向かいます。しかし、佳代と悠介の愛を目にしたラス星人たちは、佳代が寿命を全うするまで生命素の回収はしないことを決めるのです。
もーーーねーーー、開幕して1秒、序曲で泣くんですよこの作品。1幕で出てくる「ドリーム」は永遠の名曲です。あと、佳代の養父から彼女を守るために立ち向かった悠介の歌う「わからないでしょう」で早くもトドメです。佳代と悠介の人生を見守ることを決めたラス星人3人が歌う「守ってブレンド」も大好きで。
ネタバレになってしまうのですが、「シャボン玉」はウラシマ効果を扱ったSFでもあります。2幕で飛行機事故に遭った悠介はラス星人に助けられますが、彼が宇宙船で過ごしている間、佳代の方では10年もの時間が流れていました。そこで、2人の年齢のズレを直すために、今度は佳代が宇宙へ、そして悠介が佳代のいない10年を地球で過ごすことに。「10年、待てますね?」とラス星人ピアに言われ、頷く悠介。このやりとりが本当に好きです。
「果てしなく広い宇宙の中であなたと出会えたことがすべて」という歌詞にあるように、出会いに感謝したくなる作品です。

浪漫活劇 るろうに剣心

宝塚で上演された「るろうに剣心」を男女混合キャストで上演した外部版です。主催は松竹と梅田芸術劇場。
元雪組トップの早霧せいなさんが、退団後にトップ時代の当たり役である剣心をもう一度演じる、というかなりイレギュラーな公演。原作は未読でしたが、初演が宝塚、かつ舞台オリジナルストーリーなだけあって初心者にもわかりやすい仕様になっていました。
CD出てないんですよね確か。キャストもすごく良かったので、出してほしかった。「最強という名の花を添えて」や「悪・即・斬」が好きです。
この公演ですごく良かったのが、「剣心の影」という役。回想シーンでも「緋村抜刀斎」として登場する、舞台オリジナルの立ち位置。ダイナミックながらも重力を感じさせず、かといって軽すぎることもない、「影」に徹した殺陣とお芝居が素晴らしかったです。
あと、早霧せいなさんが花道を駆け抜けるときに拍手が起きて、これが歌舞伎をやる劇場のルールなのか!とちょっとびっくりしました。

スカーレット・ピンパーネル

宝塚版ではなく、こちらは梅芸版。初演は逃したので再演版です。私しょっちゅう初演逃してるな。
怒涛の1789年を経て、ジャコバン党が権力を握った時代。次々と処刑される元貴族たちを救うため立ち上がるイギリス貴族パーシーの活躍と、妻マルグリットとのすれ違いが絡むミュージカル。
「イギリスとフランスの真面目な騙し合いをアメリカ人が俯瞰して笑っている」とプログラムに書かれている通り、基本的にはコメディです。ノリが合わない人は合わないかも……。
宝塚版で追加された「ひとかけらの勇気」が、「悲惨な世界のために」にとタイトルを変え、歌詞も全く異なった曲として登場しています。私は宝塚版を見ておらず、梅芸版が初スカピンなので比較ができないのですが、なんとなく「ひとかけらの勇気」の方がシンプルで好きかなあ。あと、マルグリットの歌う「あなたを見つめると」の歌詞に「あれはファンタジー」という箇所があったのですが、ここは宝塚版の「幻だったの」の方が好みです。原曲だと「Was he a fantasy?」なので、「あれはファンタジー」でも合ってるっちゃ合ってるんですが。
フランク・ワイルドホーン作曲なだけあって、楽曲はもう全部神曲ってくらい良いです。2幕冒頭、ロベスピエールの歌う「新たな時代は今」は、個人的にいろいろと感慨深いものがありました。

ちぬの誓い

TSミュージカルファンデーション主催の公演です。平清盛が権力を握っていた時代の日本。大輪田泊を完成させるために奮闘する若者たちを描いた和製ミュージカルです。何気に私が初めて観た日本物でもあります。
登場人物一人一人のキャラが濃く、しかも満遍なくそのキャラの人となりや過去や人生が描写されていて、一本の舞台の中にかなり詰め込んだな~という印象を抱いたことを覚えています。1回しか観られなかったのが悔やまれる……。あと3回は観たかった……。
アツいながらも切なく、そしてさわやかさのある作品でした。

神々の土地~ロマノフたちの黄昏~/クラシカル・ビジュー

私が初めて、そして唯一観た宝塚です。今世のチケット運はこれで使い果たしたと思ってます。今使ってるのは来世のチケット運です。
宝塚の舞台映像は公式のYou Tubeやカフェブレイクで見ていたのですが、やっぱり舞台は生で観るのが一番なのだと改めて思いました。
「宝塚」という空間に圧倒されて、ただただ衝撃だった記憶……。「足が長すぎる」「小顔過ぎる」「美しすぎて目がつぶれる」とか、ビジュアル面での記憶の方が多い。
作品の感想としては、「ラスプーチンがやばかった」です。タイトルからも分かるように、帝政末期のロマノフ王朝を舞台にした作品なのでラスプーチンが登場するのですが、とにかくすごかった。一般的にイメージされるタカラジェンヌ像とはかけ離れていたので、衝撃的でした。他にも、ジプシー酒場の歌手ラッダの歌がうますぎて、休憩時間中に「やべー!!!」ってなってた。
レヴューを観たのは初めてだったのですが、「目が足りない」とはこういうことかと。あんなに人数も多くて衣装も豪華で照明も明るいのに、視覚的に煩さがないのが凄かったです。
宝塚の代名詞ともいえる大階段の群舞で、なぜか涙腺が崩壊。ここでなぜあんなに泣いたのか今でも理由がよく分かりませんが、レヴューにはそれだけ力があるんだな、と。

アルジャーノンに花束を

キャラメルボックス版です。幼児並みの知能しか持たなかった青年チャーリイが手術を受け、卓越した頭脳を手に入れたことでたどる運命を描いた舞台。原作はダニエル・キイスの同名小説で、チャーリイの書く「経過報告」の形をとった一人称で書かれています。
ミュージカルではなくストレートプレイだったのですが、ところどころにダンスが入っていたような。
プログラムを買っていないのであまり詳細に書けず申し訳ない……。
チャーリイ役は、幼児並みの知能しか持っていなかった頃からやがて天才となり、その後もう一度知能レベルが元に戻っていくまでを演じなくてはならないから大変ですよね。プロすごい(語彙力)。
ラストは原作よりも後味よくまとまっていたのが救いでした。

首都争奪バトル舞台 四十七大戦 開戦!鳥取編

私が初めて、そして唯一観た2.5次元演劇です。原作漫画のの大ファンだったので観てきました。
ビジュアルクオリティも高く、原作の再現率がすさまじかったです。内容は都道府県擬人化ものなので、今回は中国地方編だったのですが、中国地方出身のキャストを起用していることもあってか「地元愛」の圧がすさまじく、最後は大号泣でした。
開幕前に公式ツイッターで「ラップバトルします!」って言われたときはどうなることかと思いましたが、原作の持ち味をうまく生かした形で演出されていて良かった。

まとめ的なもの

終わった……。やっと全作品書き終わった……。全5記事を書くために改めてCDを聞きなおしたりプログラムを読み返したりしていたのですが、新たに発見があったりして面白かったです。「スカーレット・ピンパーネル」の訳詞の方と「ちぬの誓い」の脚本家の方が同じだということを今日知りました。
スカピンといえば、スカーレットで話題になった松下洸平さんがご出演されてたんですよね。気づいたときは驚きました。

また以前のように演劇を楽しめるようになることを願いつつ、ここで筆をおきたいと思います。お付き合いいただき、ありがとうございました。