観てないミュージカルの音源だけ感想

 こんにちは、雪乃です。かなり前ですが、「今まで観てきた舞台を振り返る」という全5回の記事を書いたんですよ。で、そのときに「そういえば音源だけ買ってて観てない舞台も結構あるな~」と思い、そちらの感想も書こうとしたのですが、完全に忘れておりまして。

 そんなわけで、今日は「観てはいないけど音源だけ聞いたことがある」ミュージカル作品の、マジで音源だけの感想を書いていこうかな、と。どれも1回も観たことないまま、楽曲やCDに収録されている台詞の情報のみから書いていこうと思います。

Artus Excalibur

 フランク・ワイルドホーン作曲のドイツ語圏ミュージカルです。もともとフランク・ワイルドホーンの音楽が大好きで色々調べていたところ、偶然この作品の存在を知りました。その後さらに調べると、amazonでスイス初演版キャストのCDが売っていたので購入。
 日本未上演作品の輸入CDなので当然日本語訳はなく、Lyrics Translationというサイトに何曲か英訳が掲載されているのみなので、歌詞を知りたかったらおそらくもう自分で訳すしかない状況です。ただ、曲がめちゃくちゃ良いのでドイツ語がさっぱり分からない状態でも十分楽しめます。
 ワイルドホーン作品らしいドラマチックで抒情性の高いメロディは、もはや聞く文学。アーサー王が題材ということもあり、重厚感と程よい現代感のバランスが絶妙でした。ウィーンミュージカルのスターも出演しており、本当に贅沢なCDです。プリンシパルだけではなく、アンサンブルによるコーラスもハイクオリティです。いつか日本でもやってほしい。
 1曲目の「Feld Der Ehre」は、ケルト音楽風の前奏で始まるので、そこも非常に好きです。惜しむらくは、ハイライト版なので全曲網羅されているわけではないことですかね……。

The Hunchback of Notre Dame

 次はノートルダムの鐘です。私が聞いたのはアメリカのペーパーミル劇場版キャスト版CD。日本語版は劇団四季が上演していますが、未だに観てないんですよね……。
 アニメから追加された楽曲も多く、また舞台版ではクワイヤ(コーラス隊)もいるので、とても音に厚みがあって好きです。やっぱりアラン・メンケンは良い。
 アニメと比べるとストーリーもシリアスらしく、「ガイ・ライク・ユー」が削られてしまったのは残念なのですが、アニメのエンディング曲だった「サムデイ」がエスメラルダとフィーバスのデュエット曲になっているのは嬉しい限り。あの曲好きなんですよ。カジモドの歌う「Made of Stone」は圧巻です。
 スタジオレコーディング版なので、台詞も聞き取りやすいのがありがたいですね。

マリー・アントワネット

 こちらは日本初演のミュージカル・マリーアントワネットです。原作がまさかの遠藤周作で驚きました。来年再演されるので予習のために購入したのですが、前回の上演から新演出版に変わったこともあり。曲もかなり変わってるっぽいんですよねえ(ウィキペディア情報)。
 シルヴェスター・リーヴァイ作曲ということもあり、とてもメロディが美しく品があり、良曲が多いです。ただ、ハイライト版で少し削られているとはいえ、1幕22曲、2幕21曲というのはかなり多い部類に入ると思います。ただその分台詞も多く、ミュージカルの音源というよりは2枚組のドラマCDという印象を受けました。あと、少し音が遠く感じるのですが、やはりライブ録音盤だからですかね……?
 「100万のキャンドル」や「心の声(現:もう許さない)」など、貧しい庶民であるマルグリットの歌うナンバーは力強く、マリーアントワネットとフェルセンの歌う「すべてはあなたに(現:あなたに続く道)」はロマンチックかつ胸が締め付けられるような切なく美しい曲。激しいナンバーから静かなナンバーまで多彩でありながら統一感があるところは、レディ・ベスやエリザベートなど他のリーヴァイ作品と共通するところだと思います。
 来年観に行く予定なのですが、無事に上演されることを祈るばかりです。

ロミオ&ジュリエット

 やっべえ実はちょっと忘れかけてたなんて言えない。あまりにも聞きすぎてもはやちょっと観た気になってますが未見です。宝塚でも公演されているフレンチ・ミュージカルですね。2パターン発売されましたが、私が持っているのは山崎育三郎さんと昆夏美さんの方です。
 「世界の王」や「舞踏会」など現代的でポップな楽曲も多いですが、「天使の歌が聞こえる」や「バルコニー」など、ミュージカルらしい王道で夢夢しいナンバーもあって、聞きごたえ十分。
 実は中学3年生のときに買ったCDで、「今日こそその日」はモチベーション維持のために勉強の合間に聞いていました。歌詞は「ロミオの心臓を抉り出す」とか言ってて物騒極まりないんですが、めちゃくちゃやる気出ましたね。
 確かフランス語版だと、エメで「愛することは、時を盗むこと」という歌詞があってエモくて好きなのですが、日本語の訳詞だとあまり反映されていないのが少し残念です。
 「あの子はあなたを愛している」がドラマチックで聞くたびに胸に迫るので、早くロミジュリ生で観たい。

エリザベート

 2016年の宙組版です。「神々の土地」を観にいったとき、まぁ様(朝夏まなとさん)のカッコよさにやられた母がそのままキャトルレーヴに行って買ってきました。
 開演アナウンスからパレードまで収録されたライブ盤CDですが、全曲通して聞いてもテンポが良く、流れるように進んでいくのがすごいところ。同じメロディが多用されるので、全体を通して1曲と言ってもいいくらいの統一感がありつつ、1曲1曲を抜き出して聞いても魅力が損なわれず独立しているところが好きですね。でもチケット争奪戦は今のところ全敗です。悲しい。あまりにもCDを聞きすぎてもはや観た気になってるのですが未見。
 みりおん(実咲凛音さん)の歌う「私だけに」が伸びやかで大好きです。あと、現宙組トップ娘役で専科に異動される星風まどかさんがルドルフの幼少期を演じているのですが、少年ボイスがとにかく綺麗でめちゃくちゃ可愛い。アナスタシアのCD、出たら絶対買う。
 余談ですが、1度も生で観たことないのに1人エリザベートを家でよくやっています。「子どもを……子どもを返して!」はマジで迫真の演技で叫んでる。誰かトートやってほしい。私シシィやるから。

ひかりふる路

 現雪組トップコンビであるだいきほ(望海風斗さんと真彩希帆さん)のお披露目公演の作品。1789を観たあとキャトルレーヴに行き、1789ではなくこちらのCDを買って帰ってきました。
 なんで買ったかって、ワイルドホーン作曲だからですね。CDで聞いてもオーケストラが本当に良い。スカーレットピンパーネルやジキル&ハイドを観たときも思いましたが、ワイルドホーンの楽曲はオーケストラが芝居をしているようですごく好きなんです。
 私が唯一観た宝塚作品は上田久美子先生の「神々の土地」で、生田大和先生の作品は観たことがないのですが、めっちゃ合う気がする~!とCDを聞いてて思いました。タイトルでもあるナンバー「ひかりふる路」の、「人は運命の奴隷ではない 人の夢が歴史を紡ぐ」という歌詞が好きです。
 どの曲も素敵ですが、個人的には「葛藤と焦燥」でマリー=アンヌが歌っている「愛した人を殺すなんてできないわ」のところがいっそ宝塚的ではないくらいワイルドホーンらしくて好き。この曲はたぶん「ひかりふる路」の中で一番聞いてます。

銀河英雄伝説@TAKARAZUKA

 CDを探したらキャトルレーヴオンラインにはなかったので配信で購入したのですが、配信だと台詞やフィナーレの一部がカットされてしまっているんですよね。ちょっと残念。
 今年の4月にノイエ銀英伝がEテレで放送されたことをきっかけに銀英伝にハマり、まさかの原作よりも先にこちらの音源を購入しました。当時はさすがにちょっと原作読む時間がなかったので、耳から銀英伝を摂取したかったんですよね。
 台詞部分はほとんどカットされていますが、原作やノイエと照らし合わせるとなんとなくどの曲がどのシーンかはわかりました。
 同盟万歳、歌っているのがトリューニヒトであることを除けばすごく好きな曲です(笑)
 演じているのが、後にエリザベートでヴィンディッシュ嬢を演じることになる星吹彩翔さんなのがすごいです。
 ヒルダの歌う「蒼氷色の瞳」、ラインハルトとキルヒアイスの歌う「フレイヤの星」も好きなのですが、ヤンとキルヒアイスの歌う「いつかまた会える日」が大好きで。歌詞的におそらく捕虜交換式でのナンバーだと思うのですが、「夢を叶える日まで戦い続けるだろう」に続く歌詞が、キルヒアイスは「ラインハルト様のもとで」なのに対し、ヤンが「1人の市民として」でした。分かり合える一方で、根底のところでは旋律も歌詞も共有しないところがエモくて好き。

Xcalibur

 韓国語を1ミリも知らないにも関わらず、ワイルドホーン作曲というだけでノリで買った韓国ミュージカルのCDです。上記のドイツ語圏ミュージカル「Artus Excalibur」の韓国版に当るかと思います。
 CDはなんと3枚組。1幕と2幕を収録したうえで、さらにボーナストラックもついています。しかも歌詞カードが歌詞カードではなく、舞台写真も含め120ページのブックレットなのでとにかく大ボリューム。キャストも歌唱力抜群で、韓国語が分からずとも聞きごたえ十分でした。
 特に好きなナンバーは、グイネビアとアーサーの歌う「If He Were Standing Here」。すごく可愛らしいメロディーの曲で、グイネビアの溌溂とした可憐さが、歌詞は分からないながらも伝わってきます。
 「My Fresh, My Blood, My Skin, My Bones」(ドイツ語版タイトル:「SCHWERT UND STEIN」)は、ドイツ語版と比べるとより等身大の青年、という印象です。あと、ドイツ語版で一番好きだった「What Does It Mean to be a King」(ドイツ語版タイトル:「WAS MACHT EINEN KÖNIG AUS?」)は、トリプルキャスト全員分が収録されていて、「公式、分かってるな……」となりました。ランスロットの歌う「The Tempest」もトリプルキャスト全員の分が収録されています。ありがとう、ボーナストラック。
 ドイツ語版はガチガチの洋書を読んでいるような印象でしたが、韓国語版はファンタジー小説を読んでいる感じ。早く日本でやってほしいです。

The Count of Monte Cristo - Der Graf Von Monte Cristo

 日本でも上演されたミュージカル「モンテクリスト伯」の英語版コンセプトアルバム。英語ですが、ウィーンミュージカルのスターが歌っています。エクスカリバーを買ったらさらにワイルドホーンの楽曲が聞きたくなり、ノリで配信で購入しました。
 タイトルロールを演じているのがArtusでマーリンを演じているThomas Borchertさんなのですが、やっぱりいい声。Artusでタイトルロールを演じているPatrick Stankeさんとランスロットを演じているMark Seibertさん、エリザベートのタイトルロールを演じているPia Douwesさんが出演していて、とにか聞くたびに至福!となります。オーケストラもワイルドホーンらしく壮大で、文学的で大好き。再演したら絶対行きます。てかなんで行かなかったんだろう……。

おわりに

 マジで音源だけの感想を書いてみました。マリー・アントワネットの、旧演出版での「心の声」にあたる楽曲はおそらく「もう許さない」だと思うのですが、ウィキペディアのミュージカルナンバーの項目を見ると「私たちは泣かない」という曲もあり、どっちがどっちなのかわからない状態です。観て確かめてこようと思います。ドイツ語のタイトルだと「Ich weine nicht mehr」で、直訳すると「もう泣かない」になるので、本当にどっち……?という感じです。前回の新演出版を観たことのある方、よろしければ教えてください(他力本願)。

追記:韓国版の動画等も見た上で検討しましたが、どうやら「私たちは泣かない」はマリーアントワネットとフェルセンが歌うナンバーのタイトルのようです。

 あと、年明けにはマリーアントワネットの前に劇団四季の「The Bridge」を観に行けそうなので楽しみ。無事開幕して千秋楽を迎えられますように。

 来年の作品がすべて無事に走り抜けられることを願いつつ、今日は一旦筆をおこうと思います。

 本日もお付き合いいただきありがとうございました。