観てないミュージカルの音源だけ感想パート9
こんにちは、雪乃です。観てないミュージカルの音源だけ感想シリーズ第9回です。前回はこちらから。↓
Broken Wings
ウエストエンドミュージカル「Broken Wings」のコンセプトアルバム。YouTubeでPVを見たことにより存在を知りました。
まずジャケットに「A NEW MUSICAL BASED ON KAHIL GIBRAN'S POETIC NOVEL」と書いてあり、「KAHIL GIBRANって誰?」からスタート。調べたらハリール・ジブラーンというレバノン出身の詩人でした。ウィキペディアを見たら著作の中に「折れた翼」という作品名があったのでこれかな、と。
曲の方ですが、すごく良かったです。オーヴァーチュアの直後に来るのが語りによるプロローグであり、全体を通して音楽を使った語り、という印象。しかし全曲美しくテンポも良いです。楽器の音がはっきりと聞こえるのも好きですね。「Selma」というナンバーはソロ曲なのですが、もはやほぼバイオリンとのデュエット。優雅で流れるようなメロディ、サウンドは品があって柔らかいのに力強い。このコンセプトアルバム自体が一冊の詩集のようでした。
Rebecca
こちらはドイツ語版「Rebecca」。韓国版はハイライトでしたが、こちらで通しで聞くことが出来ました。ウィーンらしい重厚で優美にして鮮烈な楽曲が次々と聞けるので、非常に満足度の高いアルバム。
以前らららクラシックのコンサートで聞いた「永遠の瞬間」もドイツ語で聞くことが出来ました。ドイツ語版タイトル、直訳すると「ビンの中の時間」になるのかな。
ダンヴァース夫人役が、エリザベートも演じられているPia Doewsさんなのですが、「Sie Ergibt Sich Nicht」の時点でラスボス感がすごいです。PVでもよく使われている、このミュージカルを代表する楽曲「Rebecca」は、音源で聞いても圧倒的な迫力。
そして特に好きになった曲が「MRS. De Winter Bin Ich!」。倒置、ドイツ語の授業でやったな~と妙に懐かしくなりました。「わたし」を演じるValerie Linkさんの、ずば抜けたヒロイン性を持ちながらも芯が強い歌声が本当に魅力的。ダンヴァーズ夫人と「わたし」の歌唱力と歌唱力のぶつかり合いは圧巻。少しずつ盛り上がっていく曲調とも合わせて、絶対にテンションが上がる曲。次の東宝版再演は絶対に行きたい……!
Shrek the Musical
シュレックです。あの映画のミュージカル版です。まずそもそも、ミュージカル版が制作されていたことにびっくり。今年の夏に日本でトライアウト公演をやることが発表されたことで初めて知りました。ちなみに原作である絵本についても調べてみたのですが、シュレックのビジュアルが割とシャレにならない感じでした。絵本の日本語版タイトル、「みにくいシュレック」だしなあ……。
シュレックは映画すら見た事がないのですが、とりあえず曲だけは聞いておくか……と音源を聞いたらすごく良かったです。まず出だしの時点でテンションが上がる。テーマパークのような楽しさと、子どもの頃に絵本を読んだときを思い出すような、懐かしさを伴うワクワク感がありました。楽しいナンバーは楽しく、じっくり聞かせるナンバーはきっちりと聞かせる。いい意味で「ミュージカルの最大公約数」みたいなナンバーばかりなので、すっと心に入ってきました。
シュレック、映画すら見たことがないはずなのに、ミュージカルナンバーを聞くと、英語がわからずともなぜか「こんなシーンなのかな~」となんとなく思い浮かぶんですよ。クリエイティブスタッフが観客に見せたいビジョンがはっきりしている作品なんだと思います。
そして私が好きなのが「Who I'd Be」。歌詞はまだざっくりとしか意味が取れていないのですが、オーガを主人公にした作品でしか書けない歌詞でありつつもまっすぐでド直球。聞いたら普通に泣く。しかしこの曲、前奏がどうもレミゼの「彼を帰して」に聞こえるのは気のせいでしょうか。
そしてラストナンバーのタイトルは「This Is Our Story」。もう、嘘みたいに王道かつ直球じゃないですか。しかしそれが良いんだ、と見ていない段階から思わせてくれる、キラキラしたパワーに満ちたナンバーです。
今年の夏はミス・サイゴンに狂う予定なので行けるかどうかわからないのですが、トライアウト公演、行けたら行きたいです。
Nostradamus
PVを見てずっと気になっていた作品。amazonでCD入荷しないかな~と定期的にチェックしていたのですが、待てど暮らせど入荷しない上にAppleMusicで検索しても引っかからないので、配信で購入。
とにかく1曲1曲が長いので、実際の曲数よりもボリュームが多いように感じました。あと、私がドイツ語がわからないせいもあるかと思うのですが、長い……長い……。いやでもマリー・アントワネットの旧演出版のCDを聞いた時も「長い」という感想が真っ先に出てきたので、案外言語は関係ないのかもしれません。
しかし曲は良いです。オーケストラもコーラスもクオリティが高い。タイトルロールであるノストラダムス役はウィーンミュージカルのスターであるUwe Krögerさんだし、Asrid Vosbergさんも歌唱力抜群。クラシックを思わせる重厚なサウンドとメロディ。とにかくオーケストラが聞きたい、となったときにはすごく最適な作品。
「Ich will herrchen」はオーケストラが印象に残るナンバーなのですが、それ以外にももう少し引っかかりどころのあるというか、「これぞ!」みたいなナンバーがあってほしかったです。とか言いつつもフィナーレはそういう思いすら氷解していくような良さがあったので、これはこれで通しで作品として見てみたい。
おわりに
今回は英語で2作品、ドイツ語で2作品という組み合わせになりました。ずっと聞きたかった作品や初めて聞く作品もあって楽しかったです。
次回はいよいよ記念すべき(?)10回目。予定では、韓国ミュージカルの音源の感想を書こうと思っています。これを機にスマホにハングルのキーボードを設定したので、韓国語の勉強の方も頑張りたいです。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。