戦国炒飯TVのおかげで万葉集の推しに会えた話

 こんにちは、雪乃です。

 今日は「戦国炒飯TV」の話です。

 戦国炒飯TVは、10年前に関東ローカル局で制作、放送されていた「なんとなく歴史が学べる映像をお送りする」バラエティ番組・戦国鍋TVの新シリーズ。
 戦国鍋TVは、ゆるくも手の込んだ日本史コントやクオリティの高い楽曲の数々を世に送り出し、後に舞台で活躍するキャストを多く輩出したことで、今でも根強い人気を誇る番組。そして私も戦国鍋1期からのファンです。徳川15代将軍はこの番組のおかげで覚えられましたし、絶対テストには出ない利休七哲の名前まで暗記できました。

 戦国鍋時代のスタッフの再集結と戦国炒飯の制作が発表されたときには、確かトレンド入りしてましたよね。私もめちゃくちゃ嬉しかったです。2期が終わってから、3期やってくれないかなあ、とずっと思ってたので。

 戦国炒飯TVには、鍋時代から続く人気コーナー「ミュージック・トゥナイト」があります。これは、「ミュージック・トゥナイト」という架空の音楽番組に、歴史上の人物がアーティストとして出演し、トークや楽曲を披露する、というコーナー。鍋時代では、「信長と蘭丸」「天正遣欧少年使節」などのユニットが存在していました。信長と蘭丸による敦盛2011は神曲なので全人類聞いてください。

 ミュージック・トゥナイトに登場するアーティストの特徴として、既存の歌手のパロディであることが挙げられます。戦国鍋では「兵衛'z」という、竹中半兵衛と黒田官兵衛によるユニットがあったのですが、どう見てもB'zのパロディでした。あと、2期はAKB48のパロディでAKR47(赤穂浪士)があったりとか。曲名も「討ちたいんだ」でしたね。今でも歌えます。

 ミュージック・トゥナイトも炒飯に入ってから、YouTube限定のユニットと楽曲が登場するようになりました。本編と比べたら短いのですが、やっぱり新曲だし嬉しい!と思いつつ更新を心待ちにしていました。

 戦国鍋と名がつく通り、扱う史実は主に戦国時代が中心なのですが、前述したAKRのような江戸時代のユニットも存在しました。なんなら幕末志士で結成された「幕×JAPAN」もありました。が、やはり時代を遡りまくったユニットはなく。しかし先日、公式ツイッターでYouTubeに登場するアーティスト発表のツイートには、こう書いてあったのです。「旅人」と。

 いやもうね、目を疑いましたよ。だって旅人って言ったらもうそんなの大伴旅人一択じゃないですか。私、大伴旅人は今卒論で書いてるレベルの推しなんですよ。でもまあ戦国炒飯もさすがに奈良時代はやらないよね、と諦めていたところでアーティスト名が発表されたんですよ。正気を失いそうになりましたね。

 そんなわけで、YouTube更新を迎えた昨日の18時。まずは以下に引用した動画をば。

……お聞きになりましたでしょうか。はい。

 どう聞いても香水のパロディです(笑)アーティスト名が「旅人」になってる時点で察してはいましたが……。

 いや~もともとパロディ色の濃い番組ではあったんですけど、炒飯に入ってからさらにその傾向が顕著になりまして。本編で登場したのはうつけ坂49だし、King能(観阿弥・世阿弥によるユニット)の歌う「風姿花伝」はどう聞いても白日だったし(権利的な意味で大丈夫なんか?と思いながら見てます)。

 この動画初めて見たときね、泣きそうになったんですよ。推しに会えた嬉しさで。
 直接ライブに行けたとかそういうわけでもないのに、なぜか人生で一番推しに「会えた」と思いました。
 歴史上の人物が推しだと、基本的には生きてるうちには会えないじゃないですか。コンテンツ化、キャラクター化されればまだ良いのですが、どうしても大伴旅人ってそこまでメジャーでもないですし。だからこそこういう形で、生身の人間が演じる作品にしてくれたのが嬉しくて嬉しくて。

 もうね、「推しが生きてる」「推しがしゃべってる」「推しが動いてる」「推しが歌ってる」と、ひたすら奇跡を噛みしめながら動画を鬼リピしました。推しが生きてるって、こんなにありがたいことだったんだなあ……。
 そして上代は上代でも、政治家ではなく歌人、その上家持ではなく旅人を選んだ制作陣のセンスよ。ありがとう戦国炒飯、あなたのおかげで私は絶対に会えないと思っていた推しに会うことができました。

 戦国鍋時代から番組を見ているのですが、史実で好きな人物がキャラクターとして登場したのはこれが初めてなんですよね。戦国鍋のキャラクターとして好きだったり、キャストをのちに舞台で応援したりとかはあったんですが、推し方としては割とゆるくて。だからこそ、歴史上の推しが登場するとこんなにも嬉しいんだな、と。

 楽曲のモチーフになっているのは「令和」の出典になった宴で詠まれた歌群なんですが、ここ、微妙に卒論でやってないんですよね。惜しい。私がメインでやってるのは旅人が藤原房前に琴を送った際の書簡文なので……。

 今動画を見返してるんですけど、「お、推しが生きてる~~~!!!」ってなってます。何回目だよ。推しが同じ時代に生きてる奇跡……。動いて喋って歌う推しがいる……。推しの声が聴ける……。万葉集の宣伝するくだりの旅人さんほんと可愛くて無理……(顔を押さえてのたうち回るオタクの絵文字)。しかもYouTubeのミュージック・トゥナイトは一つのユニットにつき4回で構成されてるので、あと3回は推しの新規のトークが聞けるのやばい。

 何がすごいって、うつけ坂の森蘭丸と中の人が一緒なんですよね~。全然違う。プロってすごい。

 さすがにそろそろ普通に作業しないとマズいので、今日はこの辺で切り上げます。本日もお付き合いいただきありがとうございました。