ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター 北斗の拳」観劇感想②
こんにちは、雪乃です。ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター」感想、延長戦です。1日で書ききれるわけがなかった。前回の感想文はこちらから。↓
あと昨日届いた原作の文庫、今しがた9巻まで読み終わりました。第2部突入です。ミュージカル化されなければ全巻一気購入とかしなかったと思うので、やはりミュージカル化には感謝。
観劇から、少し時間が経って。改めて、「良かったなあ」と噛みしめています。
今回思ったのが、レミゼを彷彿とさせる雰囲気が随所に感じられたこと。何て言うのかな、あの舞台全体の抑えた色味がレミゼっぽいなと思いました。しかしだからと言ってレミゼに寄せまくっているかというとそんなこともなく、「フィスト・オブ・ノーススター」は「フィスト・オブ・ノーススター」としての演出が確立されていたように感じます。
「フィスト・オブ・ノーススター」も、愛と哀しみの物語。誰もが哀しみを背負って生きる「哀れな人々」の物語でもあります。そういう意味では和製「レ・ミゼラブル」といえるのかもしれません。
レミゼのラストシーンも光に溢れていますが、あの光は神の国における光。「フィスト・オブ・ノーススター」のラストシーンも光に満ちていますが、その光をもたらしたのは神ではなく人間なんです。ここが、レミゼに通ずる要素も備えてはいるけれどレミゼではない、「フィスト・オブ・ノーススター」ならではのポイントだと思います。人間が求める光は、人間の世界に差すべき光は、人間の手でつかみ取るもの。そんな解釈を提示してくれた「フィスト・オブ・ノーススター」のラストシーンが私は大好きです。
そしてこのラストシーン、光が舞台の奥ではなく客席の方から差していたのがすごく記憶に残っていて。客席の方から差した光の光源を、我々は見ることが出来ない。でもだからこそ、世界全体に光が戻ったことが実感できるんです。バットやリンたちの見つめる光に、私自身が全身を包まれて迎える、すごく幸せで美しいラストシーンでした。
もうひとつ、「光」で印象に残っているシーン。それは、「心の翼」のリプライズをバットが歌い始め、それが村の大人たちにも広がっていくシーン。ケンシロウを送り出すバットの強さが印象的なシーンではありますが、ここで上の方から差す光が美しくて。
この光は、人間が自分の手でつかみ取ったもの。もちろんケンシロウが取り戻してくれた光でもあるのですが、バットが成長したことで得られた光であり、リンが大人たちの内なる勇気を引き出したことで取り戻した光でもありました。光は誰かから与えられるものではなく、自分の手で手に入れるもの。そして、世紀末であってもきっと人は光を目指して歩いて行ける。そんなことを感じられるシーンでした。舞台が全体的に暗めの色彩で統一されていたからこそ、光が際立って美しかったです。
また、今回特筆すべきはダンス。まずケンシロウ役がスーパーダンサー大貫さんということもあり、一幕ラスト「決意」はただただ圧倒されました。単なる体の動きにとどまらない、魂そのものの形を全身を使って表現する圧巻のソロダンス。返す返すも、ケンシロウというお役をミュージカルの形で演じられるのは大貫さんだけだな、と思うシーンでした。
さらに、「拳王の進軍」のシーンの振り付けも本当にカッコよかったです。拳王軍と共にバリバリ踊るシンをずっとオペラグラスで追っていました。このシーンの、このダンスを見るために日劇に通えるな、と思ったくらいです。ワイルドホーン音楽にダンス音楽のイメージはあまりなかったのですが、人間の肉体の動きと一体化したオーケストラがすごく映えていました。ワイルドホーン音楽の持つ、人間との親和性を歌だけではなくダンスでも感じることのできる一曲でした。
「拳王の進軍」はインストゥルメンタルによるナンバー。台詞や歌詞など言葉が入らないからこそ、拳王軍の統率やその恐ろしさ、そして何よりシンの拳士としてのフィジカルの強さが際立っていて好きです。このシーンは何回でも観たいので円盤を出してください。お願いします。後生です。
「拳王の進軍」のほかに印象に残っているのは、核戦争が起きたシーンの群衆によるダンス。流れるような自然さがありつつも、抗いがたい脅威にさらされる群衆の運命が胸に刺さりました。あのシーンもめちゃくちゃ見たいので……やはり……円盤を……。
あと、舞台化されたからには書いておきたいのが衣装。「フィスト・オブ・ノーススター」は全体的に色味を抑えた色彩で統一されているので衣装も暗めの色が多いのですが、そんな中だからこそユリアが二幕で着る真っ赤なドレスが際立っていました。
あの真っ赤なドレスは、「氷と炎」をユリアが歌い上げるシーンで着用されるもの。あのドレスがより一層「氷と炎」の説得力を高めていたと感じました。ユリアの存在感と、ユリアが持つエネルギーをより印象付ける真っ赤なドレス。デザインとかもよく見返したいので、フォトブックとか出ないかな~と思っている次第です。
色々書きましたが、早急にCDとDVDが欲しいです。出たら絶対買うので。原作もそのうち届くので、原作と照らし合わせながら観たりもしたいですし。
東京の千秋楽までにあと一回観られる予定なので、全力で楽しんで、泣いて、目に焼き付けたいです。
今回の記事で書けなかった部分もあるので続きます。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。