今まで観てきた舞台を振り返る〜劇団四季編その2〜
こんにちは、雪乃です。
今回も前回の続きで、今まで観てきた舞台の振り返り感想やら個人的見解を書いていこうと思います。引き続き四季編です。
オペラ座の怪人
オーヴァーチュアがとにかく有名なオペラ座の怪人。もはや劇中のオルゴールの音色を聞くだけで泣ける作品です。「ハンニバル」「イルムート」「ドン・ファンの勝利」など、劇中オペラの迫力も十分。
私が一番好きなシーンは、二幕の終盤。ファントムに「俺を嫌えばラウルを殺す」と言われたクリスティーヌが、ファントムをそっと抱きしめてるところですね。私の好きなヒロインのタイプとして、「女神性を持つヒロイン」像が挙げられるのですが、まさしくこのシーンのクリスティーヌはもはや神々しい領域。
そのあと、ラウルとクリスティーヌを解放した後で、クリスティーヌのヴェールにすがるファントムとか、泣くなって言う方が無理です。ラストシーンはファントムもどこかに消えて、ただメグが仮面を拾い上げるのも好き。
CATS
(どこに需要があったのかわからない)実写映画化により、良くも悪くも話題になったCATSです。ちなみに映画は見てません。CATSは舞台で十分です。
T.S.エリオットの詩集の舞台化なので、本来ストーリーらしいストーリーはありません(映画版だと謎にストーリー性を持たせられてしまったのが解釈違いで見なかった)。ロイドウェバー作曲の楽曲とダンス、そして「猫」の概念そのものを楽しむための作品です。
一番有名なナンバーはやはり「メモリー」だと思います。テレビの音楽番組で歌われることも多いですね。ただ、メモリーは純真な子猫シラバブと老猫グリザベラの歌声が重なる部分が一番感動するので、ぜひ舞台版を聞いてほしい。
エビータ
アルゼンチンの田舎で生まれ、後にファーストレディにまで上り詰めた女性エバ(通称エビータ)の人生を描いたミュージカル。ちなみに私は楽しみすぎて観に行く前にエビータの伝記を読みましたが、特に予習はしなくても内容は分かる作品になっています。
ご贔屓がエビータ役をやってくれたときにチケットを取らなかった己を殴りたい。それくらい、とにかくエビータ役は歌います。有名な「共にいてアルゼンチーナ」や、上京したばかりの若いエバによる「ブエノスアイレス」など。
物語の狂言回しとして、革命家チェ・ゲバラが登場します。場面に合わせてバーテンダーをやってたりするのが結構ツボです。「飛躍に向かって」はカッコ良すぎて死ぬかと思った。
ペロンの若い愛人で、エバに追い出される女性・ミストレスの歌う「スーツケースを抱いて」も好き。そういえば、何年か前にネットでかなり昔のエビータのCDを見かけたんだけど、まだ手に入るのかな。
ジーザス・クライスト=スーパースター
今まで観た中で、一番好きな四季作品です。イエス・キリストが処刑されるまでの最後の7日間をほぼ全編楽曲で描いた、一幕もののミュージカル(以下JCS)。
ジーザスを1人の人間として描き、そこに彼を愛するマグタラのマリア、ジーザスがただの人間であることを理解するがゆえに彼を裏切るイスカリオテのユダ、圧政に苦しみ、ジーザスを救世主として祭り上げる群衆を交えて作られた群像劇でもあります。
JCSは、群衆(アンサンブル)のクオリティがとにかく高い。この作品は四季でしかできないな!と思います。
四季のJCSには、荒野のリアリティを追求した「エルサレム・バージョン」と、真っ白な舞台上に大八車や隈取りなど歌舞伎の手法を取り入れた「ジャポネスク・バージョン」の2つの演出があります。
両バージョンともに、余計なものを削ぎ落とし、徹底的に洗練された舞台になっています。その分、真に人間の力だけでドラマを動かしていくエネルギーを感じることができました。
ユダは物語上、影の主人公なのか裏の主人公なのか二番手格なのか、役者あるいは観客によって解釈が分かれるところかな。マリアについても、ジーザスを愛した1人の人間なのか、最後「俗」から「聖」に昇華され得る人物なのか。考察しがいのある作品だと思います。
余談ですが、漫画「聖☆おにいさん」を読んでからJCSを観ると、シリアスなのに笑っちゃいそうになるのは私だけでしょうか。
コーラスライン
あるミュージカルの、アンサンブルキャストのオーディションに集まったダンサーたちの人生を描く群像劇です。ダンサーたちが生い立ちや悩みを話していくうちにオーディションは進み、最後にはとうとう合格者が発表されます。
観ていると、全員合格して!と思ってしまうのですが、そこはオーディション。誰が合格で誰が不合格だったのか、最後にははっきり分かってしまう。今活躍している人も、最初はこんな感じのスタートだったのかな、とふと思いました。
ウェストサイド物語
ロミオとジュリエットを、アメリカの対立する不良グループに置き換えた超有名ミュージカル。
初見の感想は、「いや、えっっっぐ」です。観てて辛いシーンもあるし(基本的に私はエグい展開が大好きなオタクですが、さすがに耐えきれなかったシーンあり)。最後に「サムホエア」を持ってきたらバッドエンドが緩和されたのかもしれませんが、人種間の対立とか社会的な問題も描いてるからまあこうなりますよね。
ダンスが好きであれば「プロローグ」「アメリカ」「体育館のダンス」などのナンバーでかなり楽しめると思います。
夢から醒めた夢
赤川次郎の同名小説を原作とする、四季のオリジナルミュージカル。真夜中の遊園地で、幽霊の少女マコと出会った人間の女の子ピコが、マコの「お母さんにお別れを言いたい」という願いを叶えるために1日だけ彼女と入れ替わるストーリー。
原作がかなりの短編なので、原作からは大きく改変されています。ほとんどのキャラクターはミュージカルオリジナルなんじゃないかな。
マコに人間の体を貸したピコは人間の魂が旅立つための場所「霊界空港」に赴きます。霊界空港のパスポートには、生前の行動に応じて白、灰色、黒の3種類があり、これが後に事件へと繋がっていきます。
ストーリーにツッコミどころがないわけではないのですが、泣いてるうちに気にならなくなります。心が浄化されます。なんなら一幕の、死別した老夫婦が霊界空港で再会するシーンで号泣です。二幕なんて、涙でほぼ見えてないですから。
話は逸れますが、原作には「ふまじめな天使」という続編があり、そちらも感動するのでオススメです。
まとめ的なもの
本当はソング&ダンスシリーズもこの記事に収まるはずだったのですが、ソンダンのプログラムを探したら家に5冊あったので、また別で書こうと思います。
一応次で四季編は終わりで、東宝編に入る予定です。
本日もお付き合い頂き、ありがとうございました。