ミュージカルナンバーの、私的楽しみ方
こんにちは、雪乃です。今日は「ミュージカルナンバーの、私的楽しみ方」というタイトルでお届けします。
ミュージカルの魂、それは音楽。名作を彩る名ナンバーの数々です。そんなミュージカルナンバーは、もちろん劇場で聞くのも良いんですが、他にもいろいろ楽しめます。ってことで、私の「聞き方」を書いていきたいと思います。
①劇場で聞く
一番スタンダードな楽しみ方。1本の芝居の流れの中で聞くミュージカルナンバーは、物語の語り手として、あるいは芝居の演じ手として機能します。作品やプロダクションにもよりますが、生オケで聞くと感動も倍増。1曲目の最初の音が鳴った瞬間に劇場全体が独特の緊張感に包まれるあの瞬間は、生観劇でしか味わえない時間です。そして本編だけでなく、開演前の金管楽器のチューニングの中にナンバーの影が見え隠れするとテンションが上がります。
トリプルキャストなどが組まれている場合は、同じ曲でも異なる組み合わせで聞けるのも嬉しいポイント。
ちなみに個人的に一番生オケで聞いてほしいのはワイルドホーンのナンバーです。私がワイルドホーン好きというのもあるのですが、ワイルドホーンのナンバーはとにかくオケがはっきりと聞こえます。そしてオケの輪郭は明瞭ながらも歌声を決して邪魔せず調和するメロディが大好きです。
②音源で聞く
CDや配信で家でも何度でも楽しむのも大好きです。音源だと好きなナンバーを好きなだけリピートできるので楽しい。CDを劇場で買って帰った時のうれしさは格別です。
ライブ録音版で聞くと、作品によっては拍手の音が入っていたりするので生観劇したくなります。海外の音源だと拍手のほかに歓声が入っていることもあり、より一層の臨場感があります。カーテンコールが音源に収録されている作品もあるのですが、こちらは音源だと純粋にメドレーとして楽しめます。
宝塚は実況CDということもあり、開演前のトップスターのアナウンスからパレードまで収録されているので、公園を台詞も含めてフルバージョンで楽しめます。ちなみに母は宝塚版エリザベートのCDを聞きすぎた結果、開演アナウンスを完璧に暗記するに至ったようです。初舞台公演は口上も収録されているから聞くたびに感動します。あとラインダンスのときの「ヤッ!」のがめっちゃ好き。
音源で聞く、といってもその楽しみ方や活用法はさまざま。ってことで、ここからは音源で聞く場合の私的な楽しみ方を書いていきます。
作業用BGMにする
小説を書く際は、シーンやキャラクターの心情に合わせたナンバーを聞いていたりします。あと1つの作品を聞き終わるまでに時間が掛かる作品も多いので、とにかく何かを流したまま作業したいときも重宝しています。
また、小説を書く際には頭の中で言葉が混じらないように、ドイツ語や韓国語、フランス語など、馴染みのない言語の音源を聞くことも多いです。
今まで聞いて個人的に作業用BGM向きだったのは、
・アーサー王伝説(フランス版)
・Hadestown
・Xcalibur(韓国版)
・ミス・サイゴン
・ロミオ&ジュリエット
・デスノート The Musical
あたりでしょうか。
作業用BGMにした際の問題点は、作業に集中しすぎて好きなナンバーをうっかり聞き逃すこと。この前「Chess」をBGMにしていたのですが、気が付いた時には好きなナンバーである「Anthem」を通り過ぎていました。
語学のモチベーションアップに使う
大学の第二外国語を決める際、ウィーンミュージカルの曲を聞くのに役立ちそうだから、という理由でドイツ語を選んびました。演劇好きな先生の授業を受講していたこともあり、大学1年生のときに受けた授業の中で最も楽しかったです。あと日本語学よりドイツ語の方が成績が良くてウケました。母国語とは???
その後、こうして社会人になってからも、実際ミュージカルのオタクをやる上ではそこそこ役立ってます。文法ほぼ覚えてないのでいつかやりなおしたいんですけど。ドイツ語圏のミュージカルナンバーのおかげで、音だけはそんなに抜けてません。たぶん。
そして今は、韓国ミュージカルの曲を原曲で聞きたいがために韓国語に手を出しました。どうしても歌いたい、日本語に未翻訳の曲があるので頑張ります。
予習・復習をする
観劇前にあらかじめ音源を聞いて予習をしたり、観劇後に音源を聞いて感動を噛みしめたり。曲の数だけ思い出が増えるのもミュージカルならでは。観劇前に音源を聞いて「ここ絶対泣くな~」と思ったシーンでは絶対に泣くし、公演で泣いたナンバーは音源で聞いても泣きます。作品のみならず感情の予習と復習ができるのも楽しいです。
あと日本未上演の作品の音源を聞いて妄想キャスティングをするのも楽しいです。
ミュージカル俳優のアルバムで聞く
俳優さんが出しているアルバムは、本公演では演じていない役の曲を歌っていることも多いので、「この人がこの曲を歌うとこうなるのか~」と新鮮な驚きがあります。あとやってほしい役が増えます。
一方、当然ご本人が演じた役の曲の場合は、アルバムでは役が入っていない状態で歌っているので、本公演とは違う歌い方が楽しめます。特に劇中だと芝居が先行する曲は、CDの方が、改めて曲として歌い上げている印象。
劇中で女性キャラクターが歌っている曲を男性俳優が歌っていることもあり、いろんな意味で本公演では味わえない楽しみがあるのがアルバムの良さです。
③自分で歌う
ミュージカルのオタクはみんな歌うよね。家でやるよね、1人ミスサイゴン。1人レミゼ。1人エリザベート。「トゥイの死」とか、キムとトゥイを1人でやるよね、みんな(主語がデカい)。
ミュージカルナンバーは音楽の間に台詞があることも多いですが、音源を聞いていくうちに、気が付くと台詞まで暗記しているのが怖いところ。そして家で歌うと、台詞がごく自然に出てくるから恐ろしい。ロミジュリの「ジュリエットの死」とか、ロミジュリを見た事がないのに台詞を暗記していて自分で驚きました。
1人全役、やるとめちゃくちゃ楽しいんですよね。普段は解放しない感情まで全部出せるから。もちろん近所迷惑にならない音量で、というのが大全手になるので、カラオケに行くのが一番良いのですがつい家で歌っちゃう。真の演技で歌う曲に限ってカラオケに入ってなかったりするので。
④コンサートで聞く
ミュージカル系のコンサート、大好きです。今まで聞いたことのないナンバーに出会うこともできます。私は2015年のブロードウェイミュージカルライブでワイルドホーンのナンバーにハマりました。ミューザ川崎シンフォニーホールのジルベスターコンサートにも行ったことがあるのですが、ミュージカルナンバーをガチのフルオーケストラで聞けたのも本当に貴重な体験。大晦日、本当に行ってよかったです。
逆に聞きなれたナンバーを物語の文脈から解き放たれた状態で聞くと、また違った聞き方ができるので、新しい発見も多い場所。より楽曲の普遍性に深く踏み込んだ聞き方ができます。
コンサートとは少し違いますが、大好きなのが四季のソング&ダンスシリーズ。四季が上演してきた作品のナンバーを中心とするショー公演です。
ソング&ダンスシリーズの好きなところは、名ナンバーを本公演とは違ったアレンジや振り付けで聞ける、観られるところ。黒燕尾の「ビー・アワー・ゲスト」や、ソング&ダンスだけの、ダンスナンバーとしての「生きているってすばらしい」など、シンプルながらも洗練されたアレンジを多く見ることが出来ます。
⑤YouTubeで聞く
YouTubeでミュージカルナンバーを聞くときに重宝するのが制作発表の、歌唱披露の動画。「フィスト・オブ・ノーススター」の制作発表の動画は、再生回数の10分の1は私なのでは?と思うレベルで見ました。音源を出してほしい。買うから。音源が出ている作品でも昔のキャストのものしかなかったりするので、制作発表の動画で最新のキャストのバージョンを聞いています。最近は制作発表だけでなく、プロダクションの公式がMVをYouTubeにアップしてくれていたりするのでありがたい限りです。フレンチミュージカルのMVはどれもすごくオシャレで好き。
ミュージカルの動画は国内外問わず充実しているのですが、海外プロダクションは1曲まるごと公式が出してくれる印象。Spotlight Musicalsというドイツ語圏のプロダクションは、舞台映像が曲ごとにアップされていて本当にすごいです。韓国のEMK MUSICALもコンテンツが充実しているので、EMKのチャンネルだけで余裕で1日が終わります。
⑥テレビで聞く
最近は音楽番組でもミュージカル特集が組まれることが多く、テレビで聞ける機会も増えました。FNS歌謡祭のミュージカル特集は毎回録画してリピートしています。推しが出たときのテンションの上がり方は異常。本公演ではなかなか聞けないキャストの組み合わせや演奏で聞ける上に、録画すればリアルタイムを逃しても大丈夫なのもテレビの良いところです。
おわりに
ここまでミュージカルナンバーの楽しみ方を書いてきました。書いてて思ったんですけど、私常にミュージカルナンバー聞いてるんですね。なんか驚きました。最近フォークメタルを聞くようになったとはいえ、それでも生活の中心にある音楽はミュージカル。これからもいろんな音楽と出会っていきたいです。とりあえず私は来月らららクラシックのコンサートに行く予定なので楽しみです。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。