毒親からの解放ストーリー (12)
ユリが成長するに従い子育ての負担は楽になったけど、ユリに対しては、可愛いと言う気持ちにはなれなかった。時々ユリは夫と婚約者との間の子ではないのかと思ってしまったりしたこともあった。私のお腹から生まれたのだから、私の子だと分かりきっているのに。多分あの頃は精神的にもおかしかったのかもしれない。
兎に角、ユリには、私に対して絶対に逆らえないようにしなくては、と考えたけれど、どう育てれば良いのか全くわからなかった。だから、ユリの育児に興味が無くなってしまった。子供なんて放っておいても大きくなるものだから、育児は適当でも子は育つ。私にとってユリはお荷物だけど、気分の悪い時には良い憂さ晴らしの対象になる。
ユリは私の子供なのだから、私の所有物でもある。だから、気が向いた時には少しは優しい言葉をかけるけれど、ちょっとでも気に入らないことがあれば、直ぐに怒鳴りつけてやる。そうすると本当に気が晴れてせいせいする。私にとってユリは捌け口の対象なのだ。
世の中には子供に小遣いを与えるバカな親がいるけど、子供にお金なんか持たせたら、ろくなことにならないってのがわからないのだろうか?
お金を持たせないって事は、親が子供を支配できる事なのだ。それなのにお金を子供に持たせる親なんて、親の特権である子供の支配者という地位を自ら捨てるなんて本当に大バカだ大
中学に上がってからのユリときたら、私には逆らわない癖に、何を考えているのかわからない時がある。前と違ってビクビクしていない様に感じる。何があったのだろう。とても気になる。それでいて、いつも私を見張っているみたいに目で追いかけている。そんなユリを見ていると本当に腹が立つ。だからもっと意地悪をしたくなってしまう。
でも、最近の私は、更年期のせいなのか、あまり体調が良くない。ホットフラッシュと言うらしいけど、顔がカーっと暑くなって、汗だくになる。ハンカチで汗を拭いても拭き切れない。四十を少し過ぎただけなのに更年期障害って出てくるものなのか。 そんな時は自分のことだけで精一杯で、悔しいけど、ユリを見張ることがばかばかしく感じることがある。
最近のユリは何かを企んでいる感じで、余計に憎らしく感じるけれど、体が大きくなった分だけ、以前より殴るのが難しくなった