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〜だっせん〜ももたろうを追いかけたい ⑦ 日本国内と世界の桃太郎を読む #053
みなさん、こんにちは。新緑が眩しい季節になりました。
さて、桃太郎を追いかけて7回目になりました。予定ではもうちょびっと続けたいと考えています。
私が「岡山と言えば桃太郎じゃで」と言えるのは、単純に①桃太郎の話を知っていること、②岡山県内で桃太郎の像やイラストを見る機会が多いから、だと思います。
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桃太郎は県南のイメージですが、県北(美作三湯のひとつ)に暮らしている私でさえ、「岡山のお土産は桃太郎の吉備団子」と思っているほどなので、キャラクター力は強いのでしょう。
岡山県の桃太郎色々はこちら。
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ももっち、うらっち
コメントで「こんな本もありますよ」と教えて頂き、「桃太郎ってたくさんの人を魅了しているんだな」と魅力を再発見しています。ありがとうございます。
今回は、日本全国、岡山県内の桃太郎、世界の類似話をまとめてみました。前々回の絵本読み比べは、
①桃の流れる音
②おばあさんは桃を?
③桃太郎誕生の瞬間
④桃太郎の日常生活
⑤桃太郎は犬猿雉にきびだんごを?
⑥フィナーレ
に分け詳しく書きましたが、今回は、違いがある部分のみを簡潔にまとめました。
1.日本全国の桃太郎
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岡山県以外で、9県に「桃太郎」のお話があるようです。これに限らず、まだまだたくさんあると思います。
《山形県》
⭐︎桃太郎は「鬼退治してくるから、きびだんごを串団子にしてくれ」と言う。
《群馬県》
⭐︎川から桃がいくつか流れてきて、おばあさんは「大きい桃だけこっち来い」と言う。
《愛知県》
桃太郎の三大伝承地のひとつ愛知県!
愛知県の桃太郎について
(愛知県については、まだまだ知識不足なのでこれから調べていきたいと思っています)
《和歌山県》
⭐︎川から桃が流れて来たけど、おばあさんはええとこのお嬢さんやったさかいに、冷たいもんは食べたらあかん言われとって、そのままにしていたら桃は海まで流れて行ったんやと。
⭐︎川から流れて来た桃を、おばあさんがひとつ食べて「もうひとつ流れて来い」と言ったら、桃が「もう、もろうたろう」と言って流れて行った。※ももたろう→もう貰うたろう
⭐︎桃が流れて来て、まな板の上で割ったら、桃太郎もふたつに割れたそうな。
《兵庫県》
⭐︎おばあさんは「あっちの水は苦いぞ、こっちの水は甘いぞ」と歌いながら桃を寄せる。※「蛍こい」の歌を混ぜている。
《広島県》
⭐︎桃をまな板で割るor戸棚にしまっておく。後の話は同じ。
《島根県》
⭐︎源頼光が大江山の酒呑(すてん)童子を退治する話と結合。桃太郎が童子に酒を飲ませ寝ていたところを退治する。
⭐︎鬼退治無し。おじいさんとおばあさんと暮らす話。
⭐︎猿蟹合戦型。桃から生まれたのは竜のような赤ちゃん。家来は犬、猿、雉、蟹、蜂、臼、栗。
《山口県》
⭐︎隠れ蓑型。桃太郎が鬼ヶ島から持って帰った宝物の中に隠れ蓑があった。盗人がそれを使い大金を貯めるが、誤って隠れ蓑を焼いてしまう。盗人はその灰を身体につけて盗みに入るかが、笑った歯を見つけられ捕まる。
《香川県》
桃太郎の三大伝承地のひとつうどん県!
桃太郎の故郷は、香川県高松市(鬼無)という説もあります。ここで鬼が退治され、居なくなったので鬼無(きなし)の地名がつけられました。桃太郎神社もあります。
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⭐︎桃太郎神社祭神の稚武彦命(わかたけひこのみこと)→[後の桃太郎]が吉備国(岡山)から船で讃岐国(香川)の姉を訪ねた。途中の本津川で洗濯していた美しい娘と出会い、婿養子となり讃岐国に住んだ。
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稚武彦命は、吉備国に暮らす兄(吉備津彦命)を訪ねた時、土産で吉備団子をもらう。帰りに犬猿雉にやり主従関係を結ぶ。稚武彦命(桃太郎)は、鬼ヶ島(香川県高松市女木島)の鬼たちがやってきて悪さをすることを聞き、犬猿雉を連れて鬼退治に行く。鬼は降参し宝物を取り返した。
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岡山県では、吉備津彦命が桃太郎。香川県ではその弟の稚武彦命が桃太郎なのですね。
2.岡山県内で語り継がれている桃太郎
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岡山県内にも多くの桃太郎がありますが、各地で語り継がれている話は、他の地域のものと大きな相違はありません。
しかし、岡山県には桃太郎の基礎となった「吉備津彦命と温羅」の話があります。それは次回、詳しくお話したいと思います!
3.世界の桃太郎(類似話)
最後に、世界の類似話を紹介します。
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《中国貴州(苗民族)》
民家の間に桃の木があった。並外れた大きな実がなり熟して落ちたら、男児が生まれた。その子どもは“桃の子太郎”と名付けられた。立派な若者に成長し、ある日、川の向こうで洗濯をしている娘と仲良くなった。しかし娘の父親は恐ろしい魔法使いで、桃の子太郎を殺そうとするが娘が助け2人は結ばれる。
《中国雲南省(白民族)》
苗民族と同様の話が伝わっている。
《中国史書『後漢書』》
川で洗濯をしていた女性に向かって竹が流れて来た。その竹の中から子どもが生まれ、後に中国南部の民族の祖になった。
《朝鮮半島(四巨人)》
子どものいない夫婦が便所で子どもを拾う。成長して戦いに行く。途中、3人の力持ちと出会い、それぞれの特技を発揮し勝利、故郷に錦を飾る。
《インド神話(ラーマーヤナ)》
ラーマーヤナは神の子として誕生。弟と魔王の島に旅をし、猿鳥熊と共に魔王を退治。捕らわれていた王女を救い出し結婚した。
《ギリシャ神話(ペルセウス)》※(ギリシャ神話は紀元前15世紀頃〜紀元前18世紀頃までギリシャにおいて口承で伝えられてきた伝説)
英雄の子ペルセウスは、生まれると箱に入れ流され、セルフォス島で拾われる。島の王はペルセウスに女怪ゴルゴンの退治を命じる。ペルセウスはゴルゴンに捕えられていた女性を助け出し結ばれる。
→異常誕生、家来、鬼との戦い、宝物を持って帰る…など、これらの話が日本に伝わり、宗教や民話などの影響を受けながら、桃太郎童話が作られたのでしょうか。
4.次回のこと、ミニおまけ
次回は、岡山の桃太郎伝説「吉備津彦命と温羅」、桃太郎ゆかりの地巡りの記録をお送りしたいと思います。
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【ミニおまけ】
今日、5/5は地区の草刈りでした。田舎はこんな行事が色々あるのです…。私の役目は落ち葉掃き。
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地区のおっちゃん、おばちゃんに混じり仕事。
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仕事が終わって私が、眺めているのは?
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誰にも見られることのない藤の花でした。
次回もよろしくお願いします。
【参考文献】
『桃太郎話みんな違って面白い』立石憲利 岡山市デジタルミュージアム 2006
『おかやまの桃太郎』市川俊介 岡山文庫 平成17年
『桃太郎は吉備国に存在した』福武一郎 倉敷出版社 昭和61年
『岡山桃太郎 吉備津彦命の鬼退治』市川俊介 岡山リビング社 1988