〜だっせん〜18父の絵日記を紐解く“少年の昭和史”⑦ -みまさかぞく#034
昭和33年、父が書いた夏の絵日記。今回は、先生からのハガキ(残暑見舞いかな)を待ちわびていた父の、子ども心あふれる日記を紹介します。
1.8月17日 (日)曜日 天気 (はれ)
【原文】
まい日ぼくは、先生のはがきをまっていたら、きょうきたのでうれしかったです。「また、出そうか」とゆうたら、おかあちゃんが「先生も、ぎょうさん、じゃあけん、そうだせるもんかな」といいました。
【先生より】
おそくなってごめんね。
【解説コーナー】
私が目に留まったのは、郵便屋さんの制服。黒い制服を着ています。今とは違う、どんな変遷だったんだろう…
さっそく郵便局の制服の歴史を検索しました…のは、2022年10月初旬のこと。(父の絵日記シリーズ①は2022年10月1日スタート)、その際、全体の大まかな計画を立て、調べられることは先に調べていました。
11月も半ば、シリーズ⑦になり、改めてその資料を見てみると、出典は「郵政博物館」のものでした。
「ん??郵政博物館??どこかで…?」
そう!10月末に東京旅行で訪れた場所だったのです!スカイツリータウン・ソラマチ9F。
この偶然の一致がすごく嬉しくて。タイミングっておもしろいですよね。
2.郵便屋さんの制服変遷
明治4(1871)年4月20日に、新しい郵便制度が始まりました。「紺色の法被、竹の子笠、股引、わらじ」という服装。
明治5年には洋服になり、笠と袖には最初の郵便マーク「丸に一引」を付けました。
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明治20(1887)年、「〒」字型が逓信省の徽章として制定され、丸笠の正面や上着の袖口に「〒」マークが付きました。
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明治42(1909)年、新しい型になり、袖口の「〒」マークがなくなりました。そして、丸笠から帽子に変わりました。
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第一次世界大戦の影響を受けて、制服も品質を落とし、足もとも軍隊で使う「巻きゲートル」になりました。
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夏服の上着は詰襟から折襟に。そして熱を吸収しにくく、汚れにくい青茶褐色に変わりました。昭和13(1938)年には半ズボンを廃止し、長ズボンに統一しました。
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昭和16(1941)年に太平洋戦争が始まると、人員不足が深刻化し、女子集配員が多数採用されるようになり、女子用の制服が作られました。戦争が激しくなると、物資不足で被服の補充も難しくとても苦しい時代でした。
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昭和24(1949)年、郵政省が誕生しました。物資は不足しインフレも続きましたが、新しい社会への改革も進められました。
昭和26(1951)年には、長ズボンにポケットが付きました。昭和31(1956)年には、女子夏服にスカートが登場しました。
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高度成長期を迎え、役所のイメージから近代的なデザインになりました。昭和38(1963)年には青味灰色にし、男子用は襟やズボンを細くし、ジャケットに内ポケットを付けました。
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ブルーとグリーンのミックス調でブレザー型のスタイルに一新しました。男子用は3つボタン、ブルーグリーンと白のストライプ立襟ワイシャツに、女子用は2ボタンテーラードカラージャケット、エンジと紺色のリボンタイに改められました。
平成3(1991)年には、ネクタイとリボンタイに、ピエール・カルダン氏のデザインを採用しました。
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平成15(2003)4月1日の日本郵政公社発足に合わせ、新しいユニフォームになりました。1432点の公募を参考にして決まりました。男女共に上下紺色、機能性が重視されたデザインです。
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職員アンケートを行い、デザインを決定しました。郵便事業株式会社と郵便局株式会社は、平成24(2012)年10月に合併し、日本郵便株式会社と社名変更しました。
ネイビーにゴールドを配したカラーリングで、スピード感、ファッション性、スポーティーな印象に仕上げています。
※株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の制服は割愛します。
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3.目に留まるもの
私は、平日の昼間、家に居ないので、郵便屋さんになかなか出会いません。時間指定をして届けてもらう時も、郵便物に目が行って、郵便屋さんの制服に目を向けることは無かった…ということに気付きます。
今回、制服変遷を調べてみると、時代の流れともに、大きく進化してきたことがわかりました。
私たちが何気なく目にしているもの、味わっているもの、匂っているもの、聴こえているものの中には、人々の願いや技術で進化しているものがたくさんあるんだなと…
それらを「すごいな、素敵だな」と感じられることって喜びかもしれない。
物も、自然も、人の心も。変わっていくもの、変わらないもの、両方大切にしながら、生きていきたいです。
変わらず毎年、実をつけてくれる。今年もありがとう。
4.おまけ
父は果樹を植えるのが好き。先日、みかんの木を買って来ていました。どこに植えるんだろう?
読んでくださりありがとうございます。
次回は“父の絵日記”最終回です。
また次回、お会いしましょう。
参考:郵政博物館