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〜だっせん10〜 祖母の最期を見つめて - みまさかぞく#025
祖母の死から遺骨になるまでの3日間、私は普段、会えない多くの人と話をしました。そこで、涙とともに消化(浄化)された思いがたくさんありました。
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弔事のプリザーブドフラワー。
1.妹と
祖母が亡くなった夜、私は妹と電話で話をしました。妹は「私はお姉ちゃんと違って楽しい思い出しかないんよ」と言っていました。私は祖母について妹とじっくり話したことがなかったので、良かった…と心から思いました。祖母のことを好きでいてくれた人が近くにいることに。
2.叔父と
父には兄がひとりいます。
叔父は、祖母の反対を押し切り、日本を出て発展途上国を中心にドクターをしていました。アジアや南米など世界中を飛び回っていましたが数年前に定年を迎え帰国、現在は県内で隠居生活をしています。
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昭和30年代前半の写真
叔父は、「私はおばあちゃんに反発して生きてきたから、おばあちゃんのことはゆきちゃん(私)のお父さんに任せっきりだった。おばあちゃんとは会うたびに喧嘩ばっかりで会話もできなかったな」と話していました。
叔父と祖母の関係が悪かった原因は、叔父が祖母の価値観に背き、自分の生き方を貫いたから。でも、叔父の生き方は素晴らしいと私は思います。だから誰も悪くない。
そんな親子関係でしたが、祖母は叔父からの海外土産を大事にし、叔父の子どもたち(私の従姉妹)も大切な孫として関わっていました。従姉妹たちも祖母のことが大好きだったと思います。
↓↓叔父のお土産
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ダチョウの卵(中身は無い)
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家族だからこそ難しく感じることはたくさんありますよね。
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3.葬儀会館の方と
お通夜と葬儀は、家族葬の会館をお願いしました。
私は以前から「葬儀会館で働かれている方の話を聞いてみたい」と思っていました。遺体と遺族、お寺や参列者の方々と向き合う仕事というのは、強靭な精神力と自己コントロール力が必要で本当にすごいと思っていたから。
お通夜の前、少し時間があったので葬儀会館の方に、この度の感謝の気持ちを伝え、少し質問してみました。
私…「大変なお仕事だと思います。色んな方の気持ちを受けて苦しくなりませんか?」
葬…「私はこの仕事を20年くらいやっていますがしんどい時ありますよ。3日くらい引きずることもあります。でも気持ちの切替は早いかも。この仕事は私に合っています」
故人との大切な時を取り仕切る仕事。
凛とした姿勢の中に、たくさんの気遣いと優しさもある、その姿勢に私は救われました。
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【祖母の顔について】
「おばあちゃんの顔は見んけんね」と私は家族に断言していました。みんな「わかった。それは自由じゃけん」と理解してくれていたのだけど…
棺に花を入れる際に蓋を開けた時、遺体が底上げされていて、祖母の顔や身体がしっかり見えてしまいました。「全然違う…」。私の知っている祖母と、遺体の祖母は全くの別人に見えました。
妹は「大丈夫?」と心配してくれましたが、私は受け入れることができて、「大丈夫じゃわ。ちょっと触ってみる」と祖母の顔を触ってみました。とてもひんやりして…でも氷の冷たさとは違って、柔らかい優しい冷たさでした。冬に手足が冷えているよりもっともっと冷たく、真っ白で、高級な陶器に似た感触。
4.火葬場の方と
火葬場では、年配の女性がひとりで全て執り行ってくださいました。
私は急に怖くなって、医者の叔父に「48時間以上経ってるんだから生き返ることはないよね?」と訊きました。叔父は「絶対ないよ。大丈夫」と安心させてくれました。
でも、この瞬間は本当に苦しいですね。心臓が重く息ができないくらい。でも「もう少し待って」とも「やめましょう」とも言えない…。
2時間後、祖母の遺骨を目にした私は、安堵とともに遺骨が語る人生を目の当たりにして、流れる汗にも気付かないほどでした。驚いたことを2つお話しすると…
ひとつめは、ひざから下の足骨が無かったこと。叔父は「最期、骨粗鬆症など歩けなくなった人は火葬すると足の骨が無くなることがある」と話していました。昼夜を問わず杖で母屋まで歩いて来て、大声で罵倒する祖母が怖かったのに…今はその足の骨が無い。
ふたつめは、右足大腿部に入っていた人工骨と人工関節。骨上げ箸では持ち上げられない重さと、精巧さ。すごいと思った私は火葬場の方に「これ、持って帰って良いですか?」と訊ました。「本人が痛いものは持ち帰らないでください」と言われ断念しましたが、驚きとともに医学の偉大さを感じました。
その時ふと押し寄せた思い。もしかしたら祖母は、認知症の影に、歳を取っていく強烈な戸惑いや恐怖があって、それを私たちにぶつけていたのかもしれない…
火葬場の外は、蝉が騒々しく鳴いていました。
……… ✴︎ ……… ✴︎ ……… ✴︎ ………
【祖母へ哀悼の意を込めて】
5.葬儀を終えて
安堵、恐怖、憤り、哀しみ、淋しさ…色んな感情が渦巻く中で、「おばあちゃんも怒らなくて良い、父や母、私も苦しまなくていい。やっとみんな穏やかになれる時が来たがん」というのが、その時の思いでした。
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後ろにいるのはマスクを外した母
↑↑この写真の時、母は叔父に、祖母と一緒に暮らした苦労話を話していました。叔父を追い詰めることになるからずっと言えなかった話、母はこの時、初めて口に出したと思います。叔父も真剣に聞いてくれていました。
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
葬儀は滞りなく終わりました。が、この時、私にはどうしてもやらないといけない事がありました。
そのお話はまた次回にしたいと思います。
6.おまけ①(祖母のタンス)
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うちの猫のお気に入りに。
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しばらく置いておくことに。
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7.おまけ②
私はLINEマンガの愛読者なのですが、前から気になってたけど怖くて読めなかったマンガがありました。『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』下駄華緒・蓮古田二郎。これが祖母の葬儀を終えて、スッと抵抗なく読めるようになりました。温かく琴線に触れるストーリーです。
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長い文章を読んでいただきありがとうございます。
次回は、祖母の葬儀中に、私がやらないといけなかった大切な事についてお話したいと思います。祖母については最終回です。
またお会いしましょう。