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テトラの水槽 - YKNK リリック解説

どうも、YKNKです。

noteを始めて、まとまった文章を残す方法を手に入れたので、リリースしてきた楽曲の解説なんかをしていこうと思います。

リンクも貼っておくのでよかったら聴いて下さいな。

「テトラの水槽」のテーマは、失恋後の後悔。

日常の中に閉じ込められた感覚を持つ"水槽"というメタファーを用いて表現しました。もともと、熱帯魚が好きなのと実際飼育しているので思い入れがある分その要素を入れながら作っていくのは楽しかったです。

では、リリックを辿りながら、
この楽曲に込めた意図やメッセージを解説していきます。

Hook

ただ君がいない側に
今更頭を満たす後悔
何気ないLINEで傷つけた日々もやり直そう

このフレーズは、失った恋人に対する後悔が、どうしても頭から離れないという心情を表現しています。君がいない事実以外は何も変わらないのにということを『「ただ」君がいない側に』という一文で表してます。

長く残る作品の中でLINEとか特定のデバイスやアプリケーションの名称が出てくるのって僕はあんまり好きじゃないんだよなー、だって絶対廃れるから。過去の名作とかも近未来の話なのに使ってるデバイスはガラケーだったりするのが違和感ある。でも、その制作者はそこまで考えてないだろうし今を生き残るのが大事だからあんまり拘らない様にしないとなって考えてました。

それはそうと話のリアリティが増すから具体的なに前を出すのは効果的ではあるんですよね。
テトラの水槽ではその辺上手くできたかなと思います。

Say 'Lovin' Lovin'... you'
繰り返すフレーズが泳ぐ
6畳の水槽に君はどう思う?


『繰り返すフレーズが泳ぐ』という表現で、過去の思い出や後悔の言葉がまるで水槽の中を泳ぎ続ける魚のように、頭の中を巡っている様子を表しています。
6畳の狭い部屋が水槽のような閉じた空間に見えるほど、彼女がいなくなったことによる孤独感を強調してます。

いなくなったから僕はこんなになっちゃってるぞってどう思うか問うてるけど、まあ届くわけないよね。って理解した上での自虐も兼ねて質問してるわけです。

Verse 1

君は持ってる強かさ
一人でも生きていけるよ今からは
俺もそう 君は言うけど、違ったから
酸素さえ君がくれていたからさ

お互い強く生きていけるよねって言い合ってるけど僕は違ったよってことを言ってるライン。
酸素は人間にも必要だし熱帯魚の飼育でも水槽に入れるぶくぶくだったり濾過装置だったり目に見えない要素に対して気を使うのでタイトルにある通りいろんなところで熱帯魚の要素を入れてます。
ある程度の制約をつけた方が良いものが生まれがちな気がする。それがいい意味でこだわりでもあるしね。

この部屋はまるでガラス張り
水満たし泳ぐテトラ共に沈むアクアマリン
きらり 差しこむ光は
君がドアを開けたからだった

部屋を水槽に見立てて、そこにあるのはテトラとアクアマリンという宝石だけ。

曲のラストにも繋がる部分。
テトラは恋人のこと。
差しこむ光がドアを開けたからだったというのは内側から出ていくために開けられたもの。
扉を開ける描写って基本的に入るか出るかの二択で書き方的に外のいる君が開けてくれたおかげで光が入ってきたように思えるけど実は違うって言うギミック。
外から来た方が多数派だと思うからネガティブで勘繰るタイプの人は気づいたかも。

Break

Think for me now
音の鳴らないスピーカー
耳澄ませば聞こえてる様な気になった 苦しいのにな 苦しいのにな
ノイズの中に奇跡を探すの

描写するものが音の鳴らないスピーカーしかないってことは、本来動いているものが止まっている退廃感や光がさす外の世界とは隔絶されている感を演出してます。
静かな部屋で思考の中に何か戻る手がかりはないかと探してるんですね。無いけど。

Hook(繰り返し)

歌詞の話では無いけどここのhookからコーラスをちょっと足してます。
イントロhookが音数少なかったからそれに合わせて削っていたのとそっちの方が聴き心地がいいかなと思ったからですね。
個人的には良かったと思うけどどう?

Verse 2

見えるもの全てに君の残像
足跡だけのダンスホール
もし、とかもしも、だけの感想
靴だけが残ったマンション

恋人のいなくなった世界では、あらゆるものに彼女の残像が残っているという描写。
足跡だけが残されたダンスホール。
ラッパー要素いれるかって思って書いた。こう言うところも具体性だよね。
靴だけが残ったマンションは、単純にいなくなった描写ってのもあるけど短い期間いただけなら靴は何足も無いでしょ?ってことで一緒にいた時間の長さをちょっと表してます。

増えてく二酸化炭素
この部屋で溺れたら次はちゃんと
やり直せるかな俺は
君のいない世界の壁を超えて見るSky

二酸化炭素が増えていくということで、またメンテナンスされていない水槽の暗喩をしています。
この部屋で溺れたらっていうのは結構ストレートに比喩してますね。
基本的にずっと引きずってます。やり直せないのに。
それでも少しだけ前向きな要素を入れて光を感じる様なリリックに仕上げてます。

Break(繰り返し)

Hook(繰り返し)

Outro

水面で泡が揺れてる様に
君の殻が剥がれてく様に
水のない水槽で続いていくストーリー
だからいつまでもしてんな
しょんぼり

曲も終盤。
時間の経過していく様子を描いています。
アクアリウムの暗喩を続けてきたけど実際の部屋には水で満たされているわけないし現実に戻っていく様を水のない水槽で表現してます。
いつまでもしょんぼりしてないでと踏ん切りをつける様に声掛けを行っておわりには前向きな気持ちになる様に誘導しています

君の好きなスイーツを買って
いたずらに食べて笑って
定番のバニラのフレーバーに
咽せたテトラのいない水槽

最後の部分では、彼女の好きだったスイーツを買って、かつてのように食べて笑う姿がフラッシュバックする様子を描いています。

スイーツを買ってる→一応外に出てる→前には進んで行ってるという進展を表しています。

バニラという味は普遍的であることを表していてこれは彼女は社会的には多数派の人間で、対する自分はマイノリティであるということをバニラを咽せてしまう事で表現しています。

このありふれたものの一つを特別視するという行動は僕は大事だと思って他の曲でもしてることが多いです。ルーツは星の王子様に出てくる一輪の薔薇との関係性に由来するのだけれど長くなるので割愛。わかる人に伝わってくれ。

最後にはカメラを引いて咽せた自分だけがいる部屋にフォーカスを当てておしまい。

この明確に前向きになるわけでもなく、泣いて終わりでもなく、ただただ進み出した日常を少し映して終了というこの「やってる」感。

いいねー(自画自賛)
乗り方も結構上手くやったなと思うんですけどどうですかね?


まとめ

テトラの水槽は失恋とその後の孤独を、アクアリウムを用いたメタファーで表現した楽曲です。

元々はボツ曲にする予定でしたが、Xで落ち込んでる人がいてその人に届く様にそっと公開しました。
音楽は感情の鏡だと思っていて、悲しい時にすごい明るい曲って聴きづらいから、ネガティブに寄り添う様な曲だけど、実は少し明るい要素を入れて前を向けるようにといった思いが込められています。

届いたかどうかは知らないけどね。

あと、今回は目次でリリック全文が確認できる様に工夫しました。
気づいた人コメントで教えてね📝

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