僻地旅 アルバニア編
誰も聞いちゃくれないから面白かった経験を細々と綴ろう企画第二段はバルカン半島で最も存在感のない国アルバニア。欧州最貧国というあんまりなレッテルを貼られたこともあるがそんなのなんのその、ひょうひょうとしている。個人的には非常に好きな国だが、相当マニアックであることも承知の上でお付き合い頂きたい。
まず日本にほとんど馴染みのない国なので何はともあれウィキペディア先生に概要を伺う。するとそこに気になる一文が。
1990年代にネズミ講が流行し、1997年のネズミ講の破綻で、国民の3分の1が全財産を失い、もともと脆弱を極めたアルバニアの経済は一瞬で破綻した(Wikipedia)
は?
もうこの時点で相当心を持っていかれる。アルバニア人、どうした?
少々たるいが歴史を紐解かないわけにはいかない。ゴリゴリの共産主義国家を作ったホッジャという奴がなかなか意識高い系の融通が効かない女(実際は男)で、スターリンを批判したソ連を「ありえなーい」と言ってソ連と仲の悪かった中国に擦り寄り、散々お金を援助してもらったくせに男(中国)の考え方が少し変わったら、「そんな人とは思わなかった。もうあなたとはここまでよ」と別れを告げる。悪名高いルーマニアや北朝鮮にまでおいおいアルバニア何やってんの、と言われても知らん顔。しまいには「誰も私のことわかってくれない、もういい!」と鎖国してしまった。こういう女はままいるけどこんな国は聞いたことがない。で、長く鎖国してたから国民皆がピュアで、鎖国が解けた後の経済不況の最中、これなら稼げるらしいよ!と口コミが全国民に伝わって上記のような状態になったらしい。
なにそれ。めっちゃ萌えるんだけど。
そんな国、行きたいに決まってる。で、行ってきたら期待に全国民が応えてくれる感じで全体的に色々緩く、私の萌えが炸裂した。
【欧州唯一のイスラム国家。だがそれは限りなく緩い】
もともとオスマン帝国の支配下にいたから基本イスラム国なのだが、中国パパに感化されて無神論国家にしてからどうにも色々ぐだぐだになった。イスラム教徒だがクリスマスは祝うし酒は飲むしなんなら酒の瓶にモスクが書いてある冒涜ぶり。これタリバン知ったら腰抜かすよ・・。その割には道端にびんぼっちゃま君みたいな表しか作られておらず裏は中が丸見えというもはやモスクと言っていいのかわからない礼拝所からアザーンが流れ人々はイスラムの礼拝をする。何、ここ?
【地方に行くバスの時刻表はないし日によってバス停が変わる】
全くもって意味がわからなかったし今でも意味がわからない。街中のだだっ広い空き地に各地に行くバスが集まるが、いつ出発するのかもどこから発車するのかもわからない。なんとなく1時くらいにこの辺からバス出るよー満席になったら出発じゃない?的な口コミが全てだ。そう、全ては運転手次第。ここまで裁量を待たされる運転手っているだろうか。しかしアルバニア国内の電車はほとんど機能していないし国内の一部区間しか走っていないので、地方に行くにはこれしか手法がない。必然、バスを逃せば運が悪ければ他の日になり、他の日も一体いつ出るかわからない。すべては神(運転手)のみぞ知る、なのだ。
【街中の店はイタリア的。飯もうまい】
鎖国時代もイタリアのラジオは聞けたとだけあり、イタリアにはシンパシーというか憧れがあるらしい。イオニア海に面しているので魚介類が豊富でイタリアンテイストな食べ物はべらぼうにうまい。ちなみに南部の町の海辺の屋台通りには焼きとうもろこし屋が異様にあり、これがまたバターに醤油焦がしたの?的な日本人の心をくすぐるうまさ。夕暮れ時に海沿いを楽しそうにデートする人たちがとうもろこしをガリガリしてる様は非常に和む。というわけで、そこそこ観光地であり、特にロシア人がよく訪れるらしい。ウクライナ侵略以降このトレンドがどうなっているのかは定かではない。
ちなみに南部の町で私のアテンドをしてくれた方の娘さんは日本語を勉強しており、私が来るからということでわざわざ学校を休み、私を前にしてまるで有名人が目の前にいるかのように緊張して小声で「は、はじめまして、、にほんすきです」と言ってくれた。こんな萌えシチュエーションある!?私はアルバニアのことをウィキペディアで5分程調べただけの己を猛烈に恥じた。貴方が日本に想いを馳せてくれていたのいうのに私は貴国のネズミ講ばかり気に留めて・・!!世界では今「日本?ああもう落ちぶれた国ね。今は中国でしょ」となっていて没落ぶりが激しいというのにこんなに日本から離れた市政の娘さんが日本に恋焦がれてくれている。この事実を果たして日本国民はわかっているのだろうか。日本のここがすごい!じゃなくて、こういうの取り上げてくれよ。それで、いえいえうちの国はそんなお気に留めて頂けるような桃源郷では決してないのですと自戒してくれよ。
というわけで、萌えポイントがわんさかあるアルバニアは隠れ名店のようで大好きな国だが、とにかく時間が読めないので時間に余裕のある方にしかおすすめしない。
何そのピュアさ!
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