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ドイツでのコミュニケーション力 (前編)

前回の続きで、ドイツ・ポツダムに渡ってからの3年半について。

まぁ、あまりにも濃すぎるポツダムでの3年半だったので、何から書こうか悩みますが。。

契約書にサインしてからは、日本に再度帰国し、1週間で準備を整えて、再びポツダムに向かいました。


車の運転免許をマニュアルに書き換えたり、大学の卒業論文を仕上げたり、なにせ初めての海外生活だったので勝手がわからず、とりあえず必要になりそうなものをスーツケースに詰め込んで旅立ちました。


最初の数日はホテル生活でしたが、すぐにチームが家を用意してくれたので入居。


ただ、家にはインターネットもないし、携帯がまだガラケーだったので手軽にLINEで電話やメールもできず。


とりあえず、現地の携帯を手に入れてインターネットが繋がるまでは本当にやることなさすぎて、ひたすら1人でドイツ語の勉強をしていました(笑)


ちなみに、私はドイツに行ってから、私はスマートホンの存在を知りました。ちょうどあの頃はiPhone3くらいだったかな。


行って最初の頃は、言語でのコミュニケーションに苦労しました。英語は少し理解できましたが、ドイツ語は、ほぼ皆無に近い状態。

練習の合間を縫って、現地の語学学校に通ってました。1日4時間、週3日。

もちろん、授業は全部ドイツ語で行われます。

最初は当然のごとく、チンプンカンプン(笑)

単語をある程度予習していかないと全くもって授業についていけなかったので、予習と復習の連続。

チームでも、ドイツ語が理解できない私に気を遣ってか英語で話しかけてくれる選手も中にはいたのですが、そこは私から「ドイツ語で話して」とお願いをしました。

さらに、練習では何を言ってるのかさっぱりわからなかったので、とにかくみんなに迷惑かけないように精神を働かせて、みんなが何をやっているのかを注意深く観察して、1つ1つの練習メニューに対して取り組んでいました。

とにかく、見て真似る。その繰り返しでした。

しかも、すぐに真似なきゃいけないと置いてかれる状況。


自分が1番にやらなきゃいけない時とかは2番目に回してもらってたけど、2番目でやるときは1番目の人の情報だけでやらないといけないので、複雑なルール設定だと結構大変。


でも、その甲斐あってか洞察力も磨かれ、見て理解してすぐに実行する力は身についていったと思います。


もちろん、失敗もたくさんありました。


自分なりに理解して「こうだ!」って思って自信満々にやったことが、思いっきり間違ってたり…笑


集合時間や、迎えとか待ち合わせとか、「時間と場所」の確認は、他のこと以上に注意深くやっていました。

最初の頃は車を持っていなかったので、徒歩圏内で行けない距離はチームメイトにお世話にならないといけませんでした。

といっても、行った当時は極寒の真冬で積雪もすごくて、外を歩くのは結構危険だったのですがね(笑)

なので、私が最初に覚えたドイツ語の一文は「Kannst du mich nach Hause mitnehmen?」(お家まで送ってもらえる?)。

とにかく、お金とかそういう意味ではない違った意味で「生きる」のに必死でした。

言葉を耳で聴いて理解するのではなく、表情や仕草、声のトーンなどから読み取る、理解する感覚が鋭くなっていったのも、この経験があったからだと思います。

ただ、練習中や試合中は言われっぱなしでした。

ポツダムのサッカーは、とにかく縦に速いサッカーで、今振り返ってみてもかなり独特なサッカーをする野生的なチームでした。

ドイツでは、1vs1の戦いや球際の勝負での気の弱いプレーは評価を下げます。

ドイツ人には当たり前にできることが、当時の私にはできないことが沢山ありました。

ボールの飛距離も違う。なので、味方との距離感も違う。

スプリントの距離と速さも違う。なので、今までとは違う体力が求められ、スプリント力の向上を求められる。

しかも、自分のプレーに合わせてくれる人なんて誰もいません。

だから、ポジションを掴むためには「合わせる」ことが求められました。

合わせてもらおうとしたところで、自分の意見を言うだけの言葉のボキャブラリーを持っていないですし、プレーで示そうとしても強烈なインパクトを与えられるような力もない。

言いたくても言えない、伝えられないもどかしさが溜まっていくのなら、徹底的に合わせてみようと思い、ひたすら味方を分析して合わせることに集中しました。

言葉が話せることももちろん大切なのですが、それ以上に、話せなくても話そうとすることであったり、できなくてもやろうとすることはもっと大切なんだなって気付きました。

もちろん、それで失敗することも沢山あるし、人前で恥ずかしい思いをすることももちろんありました。

でも、そんなことを繰り返してると、失敗が恥ずかしいとか、本当に小さく思えてきます。

そういった姿勢を見せ続けることによって、周りが認めてくれ、心を開いてくれ、信頼関係が生まれ、結果に繋がっていくということを感じました。

失敗に対する免疫力は、失敗でしか身につかない。

と同時に言えるのは、失敗からは、失敗の原因しか学べない。成功の原因は、成功からしか学べない。ということだと思います。

ポツダムに渡って3ヶ月くらいが過ぎた頃、ミスを自分のせいにされて、それに対して言い返せなかった自分が悔しくて、かなりの孤独感に襲われて、練習の帰り道に1人で泣きながら自転車を濃いでいたこともありました。

そんなコミニュケーションの第一段階の壁を乗り越えて、自分のポジションを掴むのに1年ちょっとほどかかり、、、

とにかく考えて分析して行動しての繰り返しで苦しんだ時期もありましたが、この時期に経験としてPDCAサイクルを学び、それを自分で論理化することができたことはかなり大きかったと感じています。

ポジティブな姿勢を見せること、これも大事なコミニュケーション力の1つ。

コミニュケーションの手段は、言語だけではないってことなんですよね。

手段が目的にならないように、これはコミニュケーションでも言えることですね。

何のためにコミニュケーションをとるのか。

大事なのはここなんじゃないかなと思います。



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永里 優季
みんなが協力しあって生きていける社会へ。愛と共感力で、豊かな世界を創っていきたい。サッカーが私にもたらしてくれた恩恵を、今度は世界に還元していきたいです。