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#104 変わって欲しくないもの

谷川俊太郎『定義』より

「鋏」
これは今、机の上で私の眼に見えている。これを今、私 はとりあげることができる。これで今、私は紙を人の形 に切ることができる。これで今、私は髪を丸坊主に刈っ てしまうことすらできるかもしれない。もちろんこれで 人を殺す可能性を除いての話だが。

けれどこれはまた、錆びつつあるものである。鈍りつつ あるものである。古くさくなりつつあるものである。ま だ役立つけれど、やがて捨てられるだろう。チリの鉱石 から造られたのか、クルップの指が触れたのか、そんな ことをもはや知る術はないにしても、これがいつかはま たかつてそうであったように人間の フォルム から脱し て、もっと無限定な運命に帰ることは想像に難くない。 これは今、机の上で、そういう時間を語っているもので ある。
(以下略)

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世の中に変わらないものはない
生まれた瞬間から刻々と朽ち果てていく
だのにも関わらず
私にとってこれだけは変わって欲しくない
同じであるに違いないと思い込む

何もしなければ衰えていくものは衰える
磨けば光るものは磨くと光る

目には見えないけれど
確かに何かが溜まっていて
確かに何かが流れている

今日も心のままに☆

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