151. トライアウトに合格するためには
みなさんこんにちは!三浦優希です。
今日は、ほとんどのスポーツ選手がより高いレベルを目指していく際に経験する「トライアウト」について、僕なりの考えや経験談をお話ししたいと思います。
アイスホッケーに関して言えば、7月-9月頃は新シーズン開幕に向けたロースター編成が始まるタイミングであり、これからトライアウトを受ける選手も中にはいるのではないかと思います。少しでもそのような方々の参考になれば幸いです。
よろしくお願い致します。
トライアウトとは
そもそも、トライアウトとは一体何でしょうか。この言葉にあまり聴き馴染みのない方もいるかもしれません。
トライアウトは、簡単に言えば「入団テスト」のことです。そのチームの今シーズンのロースターを決定する際に行われる、選抜試験の方法の一つです。
トライアウトにも色々種類があります。招待されたメンバーだけが参加できるものや、参加料さえ払えば誰でも受けられるオープン制のものなどです。
内容もスポーツの種類やチームによって違います。僕は他のスポーツのトライアウトに関してはあまり分かりませんが、アイスホッケーに関して言うと、北米とヨーロッパではやり方が少し違います。
僕も、世界の全てを見てきたわけではないので、あくまで一つのケースでしかないのですが、僕の経験をお話していきたいと思います。
ヨーロッパのトライアウトスタイル
僕が海外挑戦を始めた国であるチェコ共和国における、アイスホッケーのトライアウトは、主に「既にある程度出来上がっているチームに混じって数日〜数週間帯同し、その上でコーチたちから合否(契約の有無)を知らされる」というものが一般的だったと思います。
要は、選手個人個人がチームにアプローチして、シーズン開幕前の練習参加を取り付け、そこで一定期間自分のプレイを見てもらい、うまくいけばそのままチームに残る、ダメなら荷物をまとめて帰る、といった形です。
チーム側も、「何日〜何日までトライアウトキャンプをしますよ!」というよりかは、「この期間で練習しているから、プレイを見てもらいたければ自分でおいで」といったスタイルが多かったです。もちろん、中にはトライアウト契約を結ぶチームもあります。
基本的には、契約済みの選手、下部組織上がりの選手、移籍してきた選手らに混じって、「このチームでプレイしたい」というトライアウト組の選手が参加する形です。
北米のトライアウトスタイル
一方、北米のトライアウトに関しては、ヨーロッパとはまた違い、「チームがトライアウトキャンプを実施する」というケースが多いです。(これもあくまで僕の体験談)
北米のトライアウトに関しては、足切り方式を採用しているチームが一般的です。
まずは誰でも参加できるオープントライアウトを実施し、そこから選ばれた選手がその次のステップとなる「メインキャンプ」に進みます。
メインキャンプは、契約済みの選手などを含めロースターが確約されているプレイヤーたちも一緒に参加します。
トライアウト組の選手たちは、契約済みの選手たちと一緒に、一定期間練習やプレシーズンマッチなどを重ね、そこでチームから評価されれば契約、反対に評価が足りなければカット=チームを去ることになります。
僕の印象としては、ヨーロッパに比べて、北米の方が、開幕ロースター入りをするまでに乗り越えなければいけない過程は多いです。トライアウトに来る選手数が多くなることで、競争率がかなり高くなります。
トライアウトにおける2つの大前提とは
さて、ここまでは大きくヨーロッパと北米のトライアウトスタイルの違いについてお話してきましたが、トライアウトを受ける際に必ず知っておくべきだと僕が思っている大前提を2つ書きたいと思います。
それは、
1. オープントライアウトをチームが行う目的は、資金集めである
2. トライアウトに合格するのは、レギュラーメンバーより上手い選手である
ということです。これは、絶対ではないのですが、前提として把握しておいて損はないのではと僕は思っています。
順番に解説していきます。
1. オープントライアウトをチームが行う目的は、資金集めである
こちらに関しては、北米でのチャレンジの際に大きく関係してきます。
前述したように、北米にはお金を払えば誰でも参加できるオープントライアウトというものがあります。
チームやリーグにもよりますが、このオープントライアウトには大体100-200人近くが参加します。
多くの選手が、チームに入れることを夢見て受けに来るわけですが、ここからメインキャンプに参加できる選手は数人〜多くても10人程度だと思います。
オープントライアウトの参加費用は、チームにもよるかと思いますが、大体200ドル-500ドルあたりではないでしょうか。
オープントライアウトでは、参加するプレイヤーはいくつかのチームに振り分けられ、その即席チームで試合形式のマッチを何試合か行う、といった形が一般的です。
トライアウト最終日には、オールスターゲームというものがあり、トライアウトの中で目立っていた選手たちだけが参加できる最後の試合も存在します。
ここで活躍した選手が、メインキャンプに呼ばれる、ということが多いです。
一人当たり数百ドルかかる参加フィーでも数百人が参加するわけですから、チームにとっては経営における一つの大きな収入源となります。
選手たちも、本気で今シーズンのチーム入りを目指す選手もいれば、数年後にこのチームでプレイするための一つのアピールとして参加する選手、チームのロゴ入りの練習着がもらえるからとりあえず参加する選手など、色々いるでしょう。
いずれにしても、オープントライアウトはある程度はプレーヤーを落とす前提で実施されているので、ここから実際にロースター入りすることは決して簡単ではない、むしろめちゃくちゃ難しいということは理解しておくべきポイントかと思います。
アメリカのU20最高峰リーグであるUSHLの、各チームにおけるトライアウト実施期間はこちらから。
一つの例として、USHLに参戦するチームであるFargo Forceのトライアウトキャンプに関する情報はこちら。コストは350ドルとなっていますね。
さて続いては、
2. トライアウトに合格するのは、レギュラーメンバーより上手い選手である
についてです。
こちらは、北米/ヨーロッパに関係なく、というか、どのスポーツにも共通して言えることではないかと思います。
チームという組織は常に、より多くの勝利を求めます。それが仕事です。より多くの勝利を呼び込む上では、組織内に上手なプレイヤーが必要となることは自明の理です。
もちろん、こんな単純なプロセスだけでチームメンバーが決まることはもちろんありませんし、技術だけではなく選手一人一人のキャラクターが評価される場面も大いにありますが、基本的な前提として、チームは常に上手な選手を求めるものです。
現状のチームをより強くするには、今の選手たちより上手い選手を新たに獲得する、というのは手っ取り早い方法ですよね。
だからこそ、トライアウトでチームに入団することを望むならば、そのチームのトップ選手たち、少なくとも、中間層の選手たちに勝る評価を獲得しなければいけません。
「おっ、こいつはこのチームでもバリバリ主力でやれるな」という評価をコーチ陣から受けられるかは一つのポイントになると思います。
「悪くはないんだけど、このチームに入ってもレギュラーにはなれないな」という状態だと、結果的にチームに残ることは難しいかもしれません。
もちろん受かることは何よりも大切ではあるのですが、トライアウトに合格した後のシーズン開幕後のチーム内での立場や出番をある程度確保する上でも、トライアウト中の評価というのは大事だったりします。
チームのトップスコアラーにも引けを取らない攻撃的プレイや、チームの主力選手たちを止めるディフェンス力など、とにかく「自分はこのチームで存分に活躍できる」というところを見せられるかがポイントになります。
チーム側は、常にどういうロースターで試合に臨むかを考えており、トライアウト組がどのポジションにフィットするかを見ています。
ロースター構想に入るためには、コーチ陣に「こいつはやれる!」と想像させることがキーです。
三浦優希のトライアウト通算成績は?
さて、こんな形でトライアウトに臨む際の心得をお話ししてきましたが、ここで実際に私三浦優希のトライアウト通算成績をお話ししたいと思います。
これまでの僕のトライアウト歴は大体こんな感じです。一つ一つ、ケースが違うので順番に説明していきますね。「*」については、特殊なケースを指しています。
①チェコU20チーム(Kladno): 合格*
これは、先ほど紹介した、いわゆるヨーロッパ式のもの。
ただ、この時僕はトライアウトを受けに行ったわけではなく、単純に練習に2週間参加させてもらうだけのつもりだった。(早実の留学プログラムで実力試しで行っていたため)
この時にお世話になっていたのはチェコでアイスホッケーをご家族でされていた日本人の桐渕さん。
日本帰国の直前に監督から「うちのチームに残らないか」と言ってもらい、チームに入ることが決定。日本に一度帰国し、ビザや学校の手続きを進め、数ヶ月後に本格留学開始。
②日本代表平昌オリンピック予選: カット→追加召集*
20歳になった年の夏に行われた、平昌五輪最終予選メンバー選考会。
個人的には、かなりいい動きができ、紅白戦でもポイントを一番多く取れたので受かると思っていたが、残念ながらメンバーには入れなかった。ただ、大会直前に欠員が出たため、その補充として急遽招集された。
③チェコシニアチーム(Kladno): カット
チェコU20チームで結果を残した次の年。
シーズン開幕前の陸トレ・氷上練習・プレシーズンゲームなどに2ヶ月弱ほど参加させてもらっていたが、契約オファーはもらえず、最終的にはU20チームに戻される。
④米U20トップリーグ(USHL Waterloo): 合格*
チェコでの活躍が認められ、このチームからドラフトされる。
ある程度チームに入団することは決まっていたが、チームが主催するオープントライアウトに参加。トライアウト終了後に、チームスタッフから改めてロースター入りを知らされる。
これに関しては、僕だけの力ではなく、前年に同じチームでプレイしていた寺尾勇利選手や同じリーグにいた平野裕志朗選手、さらに当時僕のことをプッシュしてくださったアドバイザーのLeadOff Sportsさんの影響がかなり大きい。
⑤大学4年間(NCAA D1 Lake Superior State Univ): 合格*
こちらに関しては、トライアウトというよりも、チームに残れるかどうか&次のシーズンの奨学金をフルでもらえるかどうかの勝負。
大学に入学すれば、4年間はそのチームに入れることが確約されると思われがちだが、実際には、次のシーズンからチームから奨学金を出してもらえなくなる=実質カット、というものがある。
昨シーズンの活躍に応じて、奨学金のアップダウンが存在し、毎シーズン(あるいは半シーズンごと)ごとに、コーチと話した後に奨学金のパーセンテージが記載された書類にサインをする。要は契約書のようなもの。
その意味でいくと、4年間フルで奨学金を出し続けてもらえた(1年目の最初の半年に関しては、チェコでプロの試合に出た関係で出場停止処分をもらっていたため、自己負担だった)ので、とりあえずは一安心という形だった。ちなみに大学時代のスタッツには全く満足はしていない。
大学でのホッケーはトライアウトとはまた別だけど、チームメンバーとしてロースターに入り続けるという意味ではこういう戦いもある。
⑥米プロ3部(ECHL Iowa):合格
こちらに関しては、まさしくザ・トライアウトだった。
チームと契約できる確約は全くなく、トライアウトでプレイを見てもらい、気に入ってもらえたら契約締結、ダメならカットというわかりやすいものだった。
大学卒業後のシーズンということで、中にはトライアウトなしで即プロチームと契約できる選手もいるが、僕の大学時代のスタッツではトライアウトに行くことが限界だった。
コロナ禍で選手が溢れかえっている中で、このトライアウトを結びつけてくれたのも、LeadOff Sports さん。
トライアウト自体は、5-6日間ほど。初日にメディカルチェックと軽い体力テストを行い、次の日から氷上練習スタート。3-4日間普通にチームの練習をして、週末に練習試合。その後に監督に1人ずつ呼ばれてトライアウト合否が知らされる、というものだった。
正直なことを言うと、僕は初日の氷上練習が終わった段階で、「絶対このチームに入れる、入れなかったら文句言いたくなるレベル」と確信していた。かなりいいプレイが多くでき、見せ場もあったからだ。
ただ、結局試合でどれくらい動けるかが大事なので、チーム側も少し様子を見たのだと思う。(実際には、練習試合の前にトライアウト合格を伝えられ、契約書にサインをしていた)とにかく、自信を持った状態で臨めたことがよかった。
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さて、僕のトライアウト歴はざっとこんな感じです。もっと細かく言えば、U20日本代表のトレーニングキャンプとか、小学生時代の東京都選抜の時とか、色々あったりするんですが、海外拠点になってからは上記が全てかと思います。
いかがでしょうか?中には、というか全て、トライアウトの形自体が違うものなので、一概に比べることが難しいのですが、簡単な戦績を出すとするのであれば、6戦4勝1敗1分…といったところでしょうか。(五輪予選で落ちてから再度召集されたものを引き分けとしてカウント。笑)
トライアウトを受ける際のTIPSを紹介します
さて、僕のトライアウト歴を深掘りしてきたところですが、ここからは僕が皆さんにお伝えできる、やっておくと良いこと・知っておくと良いこと(Tips)をお伝えしたいと思います。
正直、一人一人のケース、立場、レベル等が確実に変わってくるため、このようなHow-Toを胸張って言うことはあまり好きではないのですが、それでもきっと僕の経験が役に立つ方がいると思うので書いておきます。(最初に書いた、トライアウトは資金集め&チームのレギュラーより上手い選手が合格しがち、というのは飛ばします)
では行きましょう!
・トライアウトは初日が勝負
僕がかなり大事にしていること。
一発目の陸トレ、一発目の氷上練習で自分の良いところをアピールできると、その後のトライアウト期間を優位に進めやすくなる。
コーチ陣からの評価や視線も集まりやすくなるし、他のトライアウト参加者から「こいつと組めば上手いところを見せられる」と思われ、プレイがしやすくなる。
さらに、練習初日は他の選手たちはコンディションが整っていなかったり、氷上に乗っていなかったりする選手もいたりするので、周りが思い通りに動けていない間にバリバリ自分が動けると、得なことが多い。
だからこそ、トライアウトのある数日〜数週間前には現地入りし、時差調整やコンディショニングを含め、誰よりも初日に対しての準備をしておくことがおすすめ。
1回目の練習で、全てに勝つつもりで臨む。
・自分が誰にも負けない武器を見つける/見せる
「ここだけは絶対に負けない」「ここはスペシャリストになれる」というものを持っておく。それが複数あれば強い。
僕がおすすめしたいのは、シュートブロックやペナルティキリングなどのいわゆる「守り」の部分。
トライアウトにおいては、どうしても得点に絡むプレイが目立つ。
もちろんフォワードであればそれをできることがベストではあるのだけど、周りのレベルが自分よりも高くそれを実現するのが難しいと感じるのであれば、他の部分でチームで1番になれる点を素早く見つけ、そのポジションの絶対的プレイヤーになれる片鱗を短い期間で見せつける。
・参加者の中で上手い選手を見つける
ここら辺からはあまり本質的ではないし、他人軸の話になるのでまさしくhowの部分。やらなくてもよし。
ロッカールームでの振る舞いや、氷上に乗ってからの数十分で、このチームの主力になりそうな選手は誰かを観察しておく。
アイスホッケーの場合、スケーティングを見るとある程度その選手の上手さがわかりやすいかも。上手な選手を把握したら、2対2とか3対3のドリルなどでその選手と組むようにするとかもあり。
ただ、最初にも言ったように一番大事なのは自分がどれくらい周りに対して見せられるか、なので、あまり気にしすぎる必要はない。
・チームスタイル、監督の好みなどを予習しておく
これは、ある程度は把握しておくと良いかも。
可能であれば昨シーズンの試合の運び方やチームスタイルを予習して、コーチ陣がどんなプレイを好むのか/嫌うのかを知っておくとお得。
攻め込むにしても、パス主体なのか、フォアチェック主体なのか、早い展開を求めるのか、丁寧な運びを望むのか。
全てに共通して言えるのは、コーチ陣はみんな点をとってくれる選手は無条件で好きになるということ。
・参加するメンバーを可能な限り把握しておく(去年プレイした選手とか)
これに関しては、トライアウトメンバーを事前に知ることができる状況であればの話。
その選手が昨年どれくらいポイントしたのか、チームでの立ち位置はどんなものだったのか、どっち利きなのか、とかは知っておいて損はないかも。
・時差調整をしてから望む
海外でプレイする上では、僕はこれはかなり大事だと感じている。
トライアウト直前に入っても時差を感じずにプレイできる選手がいるかもしれないが、僕は移動後時差ボケがかなり長く続いてしまうタイプなので、なるべく早めに現地入りしたい派。
あるコーチから聞いたのは、人間が時差に完全に対応するのにかかる日数≒時差ということ、つまり、日本と12時間離れている国で時差ボケを完全に治すには、入国後12日近くかかるとか。
これはしっかりしたエビデンスを確認できていませんが、あながち間違っていないかなぁ、と思う。
参考までに。
・周りのメンバーとたくさん話すこと
これも結構大事。
トライアウト=ロースターをかけた削り合いであることに間違いはないが、それでも、周りにいるのは将来共にプレイするチームメイトになるかもしれない選手。
「こいつとは合わねえ」って選手も中には出てくるだろうけど、基本的にトライアウト期間中に選手同士はかなり仲良くなる。それこそランチやディナーをトライアウト組で一緒に食べにいくことなんかもたくさん。
スポットを争う敵だから、という関わり方ではなく、単純に同じ場所を目指す同志としてリスペクトを持って接する。その時にはダメでも、数年先にまた一緒にプレイすることになるなんてこともザラにある。
ちなみにこれは僕のやり方。バリバリ敵意剥き出しでいくのも当然ありだが、個人的にはそっちの方が最終的には自分自身が苦しむことが多くなるのではないかと思う。(当然賛否あってよし)
・自信を付けた状態で臨む
こちらに関しては、技術面どうこうより自分自身のメンタル面の話。
今までとは違う環境でプレイしなければならなくなった時に助けてくれるのは、「これまで自分は十分に準備してきた」という心の内側から溢れ出る経験と自信のみ。
だからこそ、準備をしていくことがとっても大事。準備しないでもトライアウトで結果を出せるのは、本当に一部の選手のみ。
・最高に楽しむこと
これがとっても大事!その状況を楽しめるかどうか!
僕は、トライアウトほどワクワクするものはないと思っている。
実力を試せる場所、かつ客観的な視点から合格or不合格というとってもわかりやすい評価をされる場は、スポーツをやっていると意外と少ない。
トライアウトはどうしても「評価」が絡んでくるため、他人の目線を気にしてしまいがちだけど、なによりもその環境に自分が立てることへの喜びを忘れないようにしたい。
緊張するのは当然!それはむしろいいこと。大事なのは、今の自分ができることに集中すること。
・全てを戦略立ててやる必要はない
今まで述べてきたことは、あくまで「もしかしたら役に立つこと」なので、絶対ではない。
だからこそ僕も、これら全てを完璧に達成しようとはしていない。これらは手段であり、目的ではない。「トライアウトに合格しこのチームでプレイする」ことを目的と設定するのであれば、こんなことができますよ、というだけの話。
ちなみに僕はこれらをほぼ無意識にやっていると思う。経験の中で自分が積み上げてきたことを今回振り返って言葉にしてみた形。
とにかく、伸び伸びやること!先ほども言ったようにその過程を最高に楽しむことが一番お得!
最後に
以上が、僕が思う、トライアウトを受ける際に知っておくと少しは役立ちそうなことです。
今まで散々自由に語ってきたわけですが、ここまで読んでくださった方々へ向けて、最後に、もう一つだけアドバイスを残したいと思います。これが一番伝えたいことかもしれません。
それは、
「そのトライアウトで落ちても、キャリアが終わるわけじゃない」
ということです。これは励ましのためにかっこいいことを言っているとかではなく、事実としてそうだからです。なぜなら、トライアウトには選手だけでなく様々なチームのコーチやスカウトが集まります。
つまり、もし仮に今トライアウトを受けたチームでは落選したとしても、他のチームや下のリーグに拾ってもらえることが多々あるということです。
それに、若い段階でチームのトライアウトを受けることができれば、今はまだ難しくても、数年先にチームから興味を持ってもらえることもザラにあります。
とにかく大切なことは、色んな人に自分のプレイを見てもらう機会を一回でも多く作ることです。そういう意味では、トライアウトに参加するだけでも大きな意義があると僕は思います。
トライアウトで合格できたら儲けもん、もし落ちたとしても参加してプレイを見てもらえたという点でプラスです。
焦る必要は全くありませんが、自分がどこかのチームのトライアウトを受けてみようかどうか迷っている時は、一旦行ってみることをお勧めします。
むしろ、トライアウトなんて落ちる人数の方が基本的には多く設定されているのだから、多く手を出したもん勝ちだと僕は思います。(闇雲にやりすぎても意味はないですが…)
もちろんこれから先、僕がトライアウトに落ちることもたくさん出てくると思います。絶対に合格しなきゃいけない場面も出てきます。そんなときでも、自分がやるべきことは変わりません。
結局トライアウトの結果は、他人の評価に左右されてしまうものです。つまり、結果に関しては自分がコントロール出来ることではありません。
ならば、自分がコントロール出来ること、つまり、自分自身の準備やパフォーマンスを発揮することに全力を注ぐことが良いかと僕は思います。
これはトライアウトではないけど、例えば僕も高校時代にU16の関東キャンプメンバーに呼ばれないことがあったし、ついこの前の日本代表海外キャンプの選考からも外れました。チームに残れたとしても、試合に出られなくなることも沢山あるし、最初からうまくいくことの方が少ないです。おそらく皆さんが想像する以上に、僕はさまざまな環境で落選を経験しています。
スポーツをプレイする以上、そんなことは頻繁に起きます。だからこそ、チームに呼ばれなかったりトライアウトに落ちたことに対して、長い時間クヨクヨしているのは勿体無いです。
然るべきタイミングは誰にでも必ず来ます。その時まで、めげずに打席に立つことが大事だと僕は感じます。
それに関連した話で言うと、例えばこれまで日本でプレイしていて、トライアウトを受けに海外に行き、チームと契約できず日本に戻ってきた選手たちに対して、心無い言葉をかける人たちには強く憤りを感じます。
トライアウトを受けにいくこと自体とっても勇気がいることだし、それを実現することは決して簡単ではありません。
チャレンジした結果、それが形にならなかったとしても、周りはその姿勢をリスペクトすべきです。
結果に対してのその後の活動やリアクションは選手が決めるべきことであり、周りが決めることではありません。
引退のタイミングを決めるのは選手本人であることと同じで、周りの人間は選手本人の意思決定に対し、色んな意見があるのは承知の上でリスペクトし見守る、というのが正しい形なのかなと今の僕は思います。
最後になりましたが…
必ず、誰かは見てくれます。でもその前に、まずは見てもらえる場所に自分が行かなければいけません。
今回の記事が、少しでも新しい一歩を踏み出そうとしている方々の背中を押すものになれば、それほど嬉しいことはありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
三浦優希
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