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104. 計画的偶発性と自分の歩み

皆さんこんにちは。三浦優希です。

今日は、キャリア理論の一つ、"Planned Happenstance Theory"(計画的偶発性理論)について、自らの経験と照らし合わせながら考えてみたいと思います。

それでは今回もよろしくお願いいたします。

そもそもPlanned Happenstanceって何?

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この言葉、実は最近まで知りませんでした。これは、今夏に「株式会社ユーフォリア」でインターンをさせていただいていた時に耳にした言葉です。社内でこの言葉を聞いた後、自分なりに色々とリサーチしてみました。

Plannned Happenstance Theory(計画的偶発性理論)とは、ミッチェル、レビン、そして教育心理学者のクランボルツ教授らが1999年に提唱したもの*で、簡単に言えば「”予想もしていなかったこと”がキャリアの形成には大きく影響している。だからこそ、”偶然の出来事”を意識的に活用しよう!」という理論です。

「個人のキャリアの8割は偶発的な出来事によって決定される」とも言われています。

これを聞くと、「偶然何かが起きるのを待っていれば何とかなる」というような印象を受けるかもしれませんが、どうやらそうではないみたい。筆者は論文の中で、以下のように述べています。(ここらへんから英語もたくさん出てくるので、なんだか難しいなあ…と思った方は読み飛ばして次の段落へ行っていただいても構いません!)

The words "planned happenstance" have been intentionally united as an oxymoron. Clients must plan to generate and be receptive to chance opportunities. A strong component of planned happenstance is facilitating the clients actions of generating and anticipating possible opportunities. Planned happenstance theory should not be confused with magical thinking or reliance on fate. Clients should not merely meander through experiences initiated by others while passively awaiting a knock on the door. They need to learn to take action to generate and find opportunities.

「計画的偶発」という言葉は、意図的にオクシモロン(矛盾語法)として作られています。 クライアントは、チャンスを生み出し、チャンスを受け入れるように計画をする必要があります。 「計画的偶発」の強力な要素は、クライアントが可能性のある機会を生み出し予測するというアクションを促進することです。 「計画的偶発性理論」は魔法のような思考でもなければ、運命への依存でもありません。
クライアントは、誰かにドアをノックされるのを待ちながら、他の人がしているような経験を自分もあてもなくすべきではありません。クライアントは、「機会を生み出し、そして見つけるための行動を取る」ということを学ぶ必要があります。(意訳です。本意と違うようでしたらご指摘ください)

要するに、「偶然の出来事」はただただ運命に任せるというものではなく、「自ら機会を見つけるために行動をしていくことで偶発的に起こる」ということ。

これが、Planned(計画された)happenstance(思いがけない出来事)と呼ばれる理由です。

ちなみに筆者は、キャリアチャンスを認識し、生み出し、そして利用するためのスキルとして5つの要素を挙げています。それがこちら。

1. Curiosity: exploring new learning opportunities
2. Persistence: exerting effort despite setbacks
3. Flexibility: changing attitudes and circumstances
4. Optimism: viewing new opportunities as possible and
attainable
5. Risk Taking: taking action in the face of uncertain outcomes

1.好奇心:新らたな学びの機会を探ること
2.持続性:挫折しても努力すること
3.柔軟性:態度や状況を変えること
4.楽観主義:新たなチャンスを達成可能とみなすこと
5.リスクを取る:不確実な結果をものともせず行動を起こすこと
(こちらも意訳です)

以上が、Planned Happenstance Theoryについての大まかな説明です。

*出典:
Mitchell, K. E., Al Levin, S., & Krumboltz, J. D. (1999). Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities. Journal of counseling & Development, 77(2), 115-124.
原文PDFはこちら↓


Planned Happenstanceを自分に当てはめてみる(ここから本題)

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(チェコへ留学して数か月の頃の写真)

またまたいつも通り前置きが長くなってしまいました。ここからは、この理論ははたして自分に当てはまるのかどうかを考えていきたいと思います。

このPlanned Happenstance(計画的偶発性)ですが、「割と自分にも思い当たる節はあるなあ」というのが振り返ったうえでの結論です。

というのも、僕は漠然と海外でアイスホッケーがしたいという思いは持っていたものの、まさか自分が早実を自主退学してチェコに行ったり、そこからアメリカに行って大学でプレイするなんて正直1mmも頭の中で考えたことはなかったからです。

振り返ってみると、確かに自分は先ほど紹介した5つのスキル(好奇心、持続性、柔軟性、楽観主義、リスクを取る)において結構当てはまるものが多いと感じています。新しいものや環境を知ることが好きだし、上手くいかないことが起きても続けてきたし、先が見えない状況に対して足を踏み入れることをあまり躊躇しないタイプの人間だと思っています。そして、必ず最後には自分はうまくいくと信じています。

早実を離れることや、チェコを離れアメリカに渡る決断もそうでしたが、「困難に思えるような方を選び、目の前のことに対して全力でチャレンジしてきた結果、知らないうちに新たな道が自分の目の前に現れた。だからこそ、これからも難しい道を選ぶ」という言葉はこれまで何度も口にしていたし実際に自分が経験を積みながら見つけた一つの哲学でもあります。これはPlanned Happenstanceと近い考え方だったのかなあ、と今では思います。

全てに共通していているのは、「自分のいる場所で全力を尽くし続けてきた姿勢」であり、それこそが思いもよらないチャンスを引き寄せる一つの要素になっていたような気がします。

Planned Happenstance理論で言われている、「偶然を”計画的”に生み出すために行動を起こし続ける」というものは一つの正解ではあるのかなと思っています。

一方で・・・

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と、本来であればここでnoteを締めようと思っていたのですが書いているうちに他のことも頭の中に思い浮かんだのでもう少し続けます。

今までいろいろと話してきたこのPlanned Happenstance。確かに共感することはたくさんありましたし、実際に現在の社会においてほとんどの人は予想もしなかったキャリアを歩んでいる、という統計も事実として出ています。

ここで一つ自分の意見を言いたいと思います。

確かに、アクションを起こし続けるということはとても大切だと思います。世の中を見てみても、いわゆる「成功者」と呼ばれる人たちは他の人と比べようもないくらい行動をし続けているし、世間では「行動を起こさない者は悪」というような風潮さえ漂っている気がします。

行動し続けた人にだけ良いことが起こり、待ち続けた人には何も起こらない。個人的にはこれはちょっと気分がよくないなあと感じます。本当にあくまで、個人の感想にすぎないのですが。

個人的には、待てるということも立派な才能だと思うのですが、それが評価されにくい社会の構造になっていて、それは「待つ」というより、「何もしない」と周りや社会から捉えられてしまうというのも、なんだか悲しい世の中だなあという気持ちになります。

また、自分がチャレンジをいろんな場所でしているからこそ感じることでもありますが、新たな環境に飛び込むことこそが良しとされていて、どこか同じ場所で一つのことを極め続けるという事の素晴らしさが見失われがちだと思っています。

大変ありがたいことに、僕は多くの方々から「日本を出て挑戦をしていてすごい」というような言葉を言っていただけるのですが、これはたまたま、「アイスホッケーの海外チャレンジ」というフィールドに僕がフィットしていた&それが周りからはすごいと思われがちなものだった、だけではないかなあと最近は思っています。僕からしたら、例えば「字をきれいに書く」とか、「掃除が得意」とか、「人の話を聞ける」といったようなことも素晴らしいと感じます。僕には苦手なことを当たり前のようにこなす人たちはたくさんいます。「海外でアイスホッケーをする」ということは、確かに珍しいことではあるかもしれないけど、だからと言って「それめっちゃすごいわ」ってなるのは、僕にはもったいなさすぎる言葉だなあ、と思っています。

他にすごいことをやっている人たちはたくさんいます。

最近よく考えることがあります。それは、「幸せの物差しは人それぞれ違う」ということです。例えば「ビジネスの世界で上を目指すことこそ正義」と考える人にとっては、のんびりと過ごす人たちは「怠け者」って思うかもしれないけど、逆にのんびりとした生活が当たり前の人々にとっては、「上を目指し続ける人はただ人生を生き急いでる」と感じることもあるかもしれません。

結局、人それぞれ自分がやりたいことや活躍できる場所、何をもって幸せとみなすかというものは絶対に違うので、それを無視して「俺はこう考えているんだからこれが正しいに決まっている」という思想にはならないように気を付けたいなあと思います。その人にとって正しいことでも、ある人からしたら正しくないことというのはきっとたくさんあります。

「その生き方、素敵だね」

と言えるような広い心を常に持ち続けたいです。

最後に

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終盤から脱線してほぼ関係のない話になってしまい申し訳ないのですが…。笑

年を重ねるごとに、様々なキャリアを歩んできている人々と幸運にも触れ合う機会が増え、その人の生き方や、何に対して自分の芯を置くのか、その芯を決めた理由はどこからきたのか、といったことにとても興味を持つようになりました。

自分は、今はアイスホッケーを中心とした生活をしているわけですが、それがいつまで続くのかというのは分からないし、今後アイスホッケー以上に自分が熱中したり、責任感を感じる物事に出会うかもしれません。

数年、もしくは数十年後の未来の自分が、

「この道を選んだのは正解だった」

と思うのか、それとも、

「あの時やっぱりああしておけばよかった」

と感じるかは全く分からないけど、やっぱり先の見えない冒険の方が絶対に楽しいと僕は思います。

この先何が自分に起こるのかはわからないけど、自分がやるべきことはきっと大きく変わることはないはず。

常に毎日を全力で過ごすこと。特別な才能があるわけではない自分は、努力で補うしかない。それに尽きる!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

三浦優希

本も出ているみたいです↑

P.S
「個人のキャリアの8割は偶発的な出来事によって決定される」っていろんな日本語のサイトに書いていたけど、元の論文にはその記述はなかったように思えるんだよなあ・・。僕の見落としだったり、著者が実際にこのようなことを言っているエビデンス(証拠)を知ってる方がいましたら是非教えてくださいー!

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