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135. 今までと、これからの話

2021年3月26日。

僕の大学アイスホッケーは、全米トーナメント1回戦の敗退とともに幕を閉じました。試合終了のブザーが鳴り控室に戻ってからは、あふれ出る感情をコントロールできず、涙を止めることができませんでした。

まず初めに、この4年間ずっと応援し続けてくれた皆さんに心から感謝を伝えたいです。上手くいかないことの方が圧倒的に多かったこの時間の中で、僕が踏ん張り続けることが出来たのも、前を向き続けることが出来たのも、挑戦し続けることが出来たのも、全ては自分のことを心から応援してくれている皆さんの存在があったからです。皆さんの声援は、常に僕の背中を押し続けてくれました。本当に、支え続けてくれてありがとうございました。おかげさまで、この4年間は僕にとって一生忘れられない時間となりました。

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今までの話

この4年間を振り返ると、本当にたくさんの出来事がありすぎて、どれを選べばいいかわからないくらいです。1年間の出場停止処分から始まり、それが半年に縮小されたかと思えばその次の日に足首を骨折し、3か月以上リハビリ生活。そんな時間を乗り越え、なんとかNCAA D1という舞台に立つことが出来た1年生。怪我もなくコンディションも万全な上で迎えたものの、レギュラーに入ることが出来ず控え選手として大半を過ごし、その過程の中で自分に何が足りないのか、何が必要なのか、そして”Tenacity”とは何たるかを学ぶことが出来た2年生。初めてチームの主力として年間を通してプレイすることが出来て、その中でチームの守備の要というポジションを確立できた3年生。そして、チーム1000勝、25年ぶりとなるリーグ優勝&全国大会を成し遂げることが出来た4年生。

入学当時、Lake Superior State UniversityはD1全60チーム中58位とかで、正直に言うと弱小チームでした。年間で10勝もできないチームだったんです。そんな経験を1年生の時にしていた僕らが、4年生になってこのチームの新たな歴史を作ることが出来ました。僕らのホームリンクには、2021年WCHAチャンピオン、そしてNational Tournament出場のバナーがこれからも飾られ続けます。

これほど特別な経験はなかなかできるものではありません。

ここまでホッケーに向き合ったことも、悩んだことも、心が折れそうになったことも、そんなどん底から這い上がってきた時間も、全てが自分にとって初めての体験でした。

本当に、この大学に来てよかった。この仲間に出会えてよかった。心からそう思います。

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4年間の学生アイスホッケー生活を終えた今、思うことは本当にたくさんありますが、僕が一番驚いたことは、試合後にかけてもらった皆さんからの言葉です。

沢山の方から、
「感動をありがとう」

「ずっと楽しい思いをさせてくれてありがとう」

「この舞台を見させてくれてありがとう」

「楽しい経験が出来て本当に嬉しかった」

「ワクワクさせてくれてありがとう」

といった、僕に対しての感謝を述べるお言葉を沢山の方々からいただきました。

中には、こんなコメントもありました。

「会ったこともない、プレーを近くで見たこともない、いくつも歳が離れている彼をなぜか見続けていたのは、彼を応援することで自分もチャレンジの重要性を忘れないでいられたからだ。それと、発信すること、ホッケーが素敵なスポーツであることを再認識し続けていられた。ありがとう、お疲れ様、三浦さん。」

Twitterより


この、多くの方からの僕に対する思いを受け取った時、またしても涙があふれてきました。(何度も泣かすなバカヤロー!!)

僕の海外挑戦は、17歳の時からたった一人で始まりました。当時チェコに行くことは早実のチームメイトにしか伝えていませんでした。それがいつしか、時間の経過とともに僕のことを知ってくれる人が増え、応援してくれる人が増え、そしてともに戦ってくれる皆さんと出会うことができました。アスリート人生において、これほど幸せな経験はきっと他にはないでしょう。自分はなんて幸せな人間なんだろう。

僕の孤独で勝手な挑戦を、常に支えてくれてきたのは間違いなく皆さんです。だからこそ僕は、この舞台に立つことが出来ました。

真剣勝負の末に勝利がもたらすもの、戦う意味、そして、挑戦を続けることの価値を、改めて認識できました。これが、僕にとってのスポーツであり、アイスホッケーなんだと思います。

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正直なことを言うと、僕は皆さんに十分な感動を届けられたとは思っていません。もっともっと皆さんにたくさんの景色を見せたかったです。もっとワクワクドキドキさせたかったし、もっとみんなを喜ばせ続けたかった。じゃないと、割に合っていないんです。今まで受けてきた皆さんからのすべての恩恵を、僕はまだまだ返すことが出来ていないんです。だからこそ、試合に負けたことが本当に悔しいです。自分の役目を最後まで果たすことが出来ませんでした。

シーズンを通して悔しい思いをせずに終われるのは、全国制覇を成し遂げた1チーム、ただそれだけです。勝者は、やっぱり違います。技術も、実力も、メンタリティも、全てが違う。それは、チャンピオンとして自分たちがリーグ優勝をしたことでも、そんな僕らが全国1回戦で敗退したことでも、思い知ることが出来ました。

この一年間は4年間の中で一番特別な時間になりました。コロナの影響がありながらも、たくさんの方々の尽力もあり、最終的には申し分ないほど試合をさせてもらいました。素晴らしい経験をさせていただくことが出来ました。

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もう、ゴールド色のユニフォームに袖を通せることがないと思うと心にぽっかりと穴が開く感覚があります。それくらい、Lake Stateは僕にとって特別な場所でした。僕はきっと、試合前のビデオミーティングも、コーチからみんなで怒られる時間も、土曜の夜のパーティも、ロッカールームでの何気ない会話も、みんなで行ったキャンプも、氷の匂いも、フェンスにパックが当たる音も、勝利の喜びも、敗北の悔しさも、そのすべての出来事を忘れることはないと思います。最高の大学人生でした。最高のチームメイトでした。

これからの話

最後に少し、皆さんも気になるであろう、今後についてのお話をしたいと思います。

現状、この先自分がどこでプレイするのか、どういった立場になるのかは全く分かっていません。一つ言えることは、僕の大学(アマチュア)生活は終焉を迎え、いよいよ「プロ」としてアイスホッケーと向き合う時間が来るということです。

前にも書いたかもしれませんが、現在の大学4年生にはコロナ禍におけるNCAAからの救済措置として、さらに一年間のEligibility(プレイ資格)が付与されています。つまり、大学に残ろうと思えばもう一年間ここでプレイが出来るということです。ただ、今のところ僕はNCAAの舞台に戻ってくるつもりはありません。

Lake Stateには大学院プログラムがないこともその要因の一つですが、最大の理由としては、これ以上同じ場所にとどまり続けていては自分の真の成長は望めないと感じているからです。

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僕は、大学に入り、初めて4年間を同じチームで過ごすという経験をしました。ここで学べたことはたくさんありますが、一方で年齢を重ねるにつれて自分はチーム内ではある程度の権限が与えられるようになり、正直かなりの余裕が出てきていました。もちろんそれは素晴らしいことですが、この心地よいぬるま湯に浸ってしまえば、そこから上を目指すことは難しいと感じています。それに、年下の選手に囲まれながらホッケーをやることは、今までの経験上、自分の追い求めているものからは離れていってしまう気がしています。

僕は常に、チャレンジャーでいたいです。自分の人生に対して常に、ハングリーでありたいと思っています。それこそが自分が道を切り拓いてきた中で確信した、成長する唯一の方法だからです。僕が言っていることは、挑戦することが偉いとか自分のやり方が正しいとかではなくて、これが「三浦優希」としてのあり方だということです。もう一年同じ場所でプレイするという決断も素晴らしいものです。ただ僕は、自分が到達したことのない場所へ足を踏み入れるには、今この場所を去るべきだと思っています。

自分は常に、難しそうに見える道を選び続けてきたことで、そのときには想像もしなかった道が目の前に現れるという経験を何度もしてきました。そして、この決断は、今まで一度も間違っていたことはありません。これこそが、僕が自分の人生と時間をかけて自分自身で獲得した、誰にも影響されることのない哲学です。どんなに偉い人が「そんなの間違っている」と言おうと、ベストセラーの本に何と書かれていようと、これこそが僕にとっての“挑戦”に対する答えであり、この哲学は絶対に僕を裏切ることはないと確信しています。

挫折や壁にぶち当たろうとも、その先に新しい景色が待っていることが分かっているのだから、挑戦をする姿勢を止めません。これが僕のやり方です。この先僕は、ほぼ確定で上手くいかない経験をたくさんするのだと思いますが、それはつまり、自分が選んだ道が正しかったという何よりの証拠であり、その状況をどう打開するかは自分次第というとってもシンプルなゲームです。これこそが、一番楽しい瞬間です。

今後プロ選手としてプレイする場所がアメリカになるのか、はたまたヨーロッパになるのかはわかりませんが、常に戦いを挑み続けます。自分が納得するまで、アイスホッケーというスポーツに真剣に向き合い続けたいと思います。

アナウンスがいつになるかはわかりませんが、皆さんに今後についての良い報告が出来たらと思っています。

改めまして、4年間に渡り、三浦優希の大学生活を応援し続けてくれた皆さんに心から感謝を述べたいと思います。

本当にありがとうございました! 

三浦優希

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