約束の日の答え合わせ。 伊波杏樹 ~An seule étoile~ 220,284 ライブレポ【第1話】
「ナンバーワンにこだわる役者じゃなく、オンリーワンの役者・伊波杏樹でありたい!!」
おこんばんわ。中井みことです。
年内最後、そして記念すべきクリスマスの日の伊波杏樹さんのライブイベント「~An seule étoile~ 220,284」が、東京・有楽町のヒューリックホール東京で開催されました。
着座形式でしっとりとした曲メインでセトリが組まれた本公演。伊波さんが役者として、そしてアーティストとして活躍するにあたって「教科書のように道標になった」曲をカバーする。そういったセトリになっています。
セットリスト(昼夜共通)
M01. First Love / 宇多田ヒカル
M02. イエスタデイ / Official髭男dism
【MC】
M03. 歌うたいのバラッド / 斉藤和義
M04. 泣かせてくれよ / 吉本坂46
M05. 粉雪 / レミオロメン
【合唱練習】
M06. An seule étoile / 伊波杏樹 (会場全体で合唱)
M07. 見上げてごらん夜の星を / 坂本九
M08. Fall for you / 伊波杏樹
M09. 華奢なリップ / ジェニーハイ feat. ちゃんみな
【MC】
M10. 怪獣の花唄 / Vaundy
EN1. にゃんにゃんにゃん / コレサワ
【MC & 告知】
EN2. Mille tendresses / 伊波杏樹
EN3. 世界に一つだけの花 / SMAP
……強すぎる。セトリに対する伊波さんの感情の込め方がとんでもない。ライブの進行とともに伊波さんが役者に対する向き合い方、アーティストとして見習っている像などが手に取るようにわかるセトリだったと思っています。
とりあえず、1曲ずつ振り返ります。
First Love
どしょっぱから伊波さんのこだわり。Pf.多田三洋さん、Gt.石川恭平さん、Vc.河副圭子さん、Vn.大河内涼子さん。前奏からぶっかましてきました。
伊波さんが歌詞の一言一言を丁寧に歌い上げる、曲に対するリスペクトと伊波さんの表現する世界がとても美しい。
伊波さんは5年前のクリスマスの「An seule étoile」で、First Loveを歌っていたんです。
5年の月日が流れ、心·技·体ともに進化を遂げた伊波さん。
聖なる夜に響く、「アーティストとなった伊波さん」の透き通った歌声と表現は、アンエトの冒頭に相応しい一曲となりました。
イエスタデイ
泣いた。伊波杏樹さんが「去年のクリスマス」に見せた涙が頭をよぎって離れなかった。
――――――遡ること1年前。2022年12月25日。「伊波杏樹 Mille tendresses @EX THEATER ROPPONGI」夜公演の最後のMC。
普段役に向き合ったり歌を歌ったりする時は、弱音ひとつ見せずに真摯に向き合うのが伊波杏樹さんの普段の姿。
しかし、この時は明らかに違いました。伊波さんは涙を流しながら、
「役者辞めようかって思うぐらい、2022年は悔しくて辛い想いをしてきた。だけど、いな民のみんながこの場で温かく見守ってくれてることがとても嬉しくて。」
凡そ発言としてこのようなものだったと記憶しています。いくら伊波さんの心理的な内情だったとはいえ、伊波さんの叫んでる心のサインに気づくことが出来なかった悔しさが先に来る。ひょっとして地元愛まつりのこと?それとも?きっかけはどうであれ、「心無い言葉が伊波さんを傷つけた」のは明白だったのです。
最早立ち直ることすら出来ないほどの無力感と、それでも傷心の伊波さんを迎え入れることが出来た嬉しさで、脳内はぐちゃぐちゃに。
――――――この光景が1年間もの間私の脳内でフラッシュバックし、「2023年は絶対に最高の1年にする!」という誓いを胸にいな民として生きてきました。そしてその答え合わせとして臨んだ今回のアンエト。
伊波さんがイエスタデイを歌っている時の表情。雨空のような青いスポットライトに照らされて歌唱する伊波さんには、切なくも「どこか晴れやかな表情」が浮かんでいました。
その表情は、明らかに「去年の悔し涙を乗り越えた」自信に満ち溢れた表情でした。
実はこの曲、以前の伊波さんのライブイベントの事後アンケートで「今後、伊波杏樹のライブイベントで歌って欲しい曲はありますか?」という質問で、私はいの一番に「髭男のイエスタデイ」を書きました。それだけ私が大好きな曲で、普段から伊波杏樹さんへの想いを胸に抱いて聴いてきた曲なので、冒頭からずっと涙が止まりませんでした。
「去年伊波さんと結んだ約束」の答え合わせに相応しいような選曲だったと強く感じています。
MC① 「恒例のタオル芸」
壇上の伊波さんは初っ端からエンジン全開。今や「運動部」「ラグビー部」との呼び声まで拝命してしまった我々いな民は、いつものように「漢」らしい「オェーーーイ!!!」で応えます。
これに味を占めたのが多田さんと恭平さん。最早コーレスの域。まるで番長のように掛け声を煽り、場のボルテージを思いっきり上げていきます。
観客席には大勢の「伊波杏樹タオル」を掲げるいな民の姿。これは、2022年7月の「Toi et Moi」で限定発売されたもので、マフラータオルにデカデカと「伊波杏樹」の文字。
伊波さんは「ハズいから発売は一度きりにしてた」「幻日のヨハネの時に「伊波杏樹ぅ!!」とデカデカと掲げられててトロッコん時に笑いそうなった」と口元を覆って笑いながら語ります。
すると。観客席の方には5月のメルボヤでも登場した「手書きの多田三洋タオル」!!それに反応メンバー一同は爆笑するのも束の間、今度は「オーダーメイドの多田三洋タオル」も登場。
夜の部には更に続きが。昼の部で恭平さんが「石川恭平タオルもあったらねぇ」とボソッと言ったのをいな民は聞き逃さず、即席の「手書き石川恭平タオル」が爆誕。挙句の果てには、いなみんカンパニーのトップ(=P?)の愛称「神」タオルまで出る事態に。
伊波さんも「いな民ってホントすげぇ」と驚きつつもその行動力に感心していました。
最後に伊波さんは、「伊波杏樹タオル持ってないよーって人〜」と挙手を促すと、結構な大人数。そして伊波さんがボソリ。
「……また作っちゃろけぇ」
これは期待してもいいですよね。
歌うたいのバラッド
伊波さんがアーティスト活動をするにあたって、この曲に出会って大きく変われたと、熱弁していた曲です。
伊波さんが活動初期の頃。歌のレッスンで「自分の歌に自信が持てなくなり」、「歌うことが嫌いになりかけた」経験が伊波さんの中にありました。
それでも愚直に歌の仕事をやり抜き、2018年には伊波さんとして初めての楽曲CDをリリース、今年2023年には念願のアーティストデビューを果たします。
しかし、伊波さんは「アーティストデビューする前の自分だったら多分出会えてなかった曲」と語っており、伊波さんはアーティストデビューに際して「歌うことは難しいことじゃない」という原点に還った、とも見て取れます。
「歌うことが子供の頃から大好きだった」伊波さんの原点。歌うたいのバラッドは、伊波さんが一番最初に抱いた歌への情熱を呼び覚ました曲でもある、とこの時感じました。
泣かせてくれよ
伊波さんが抱く「大阪への愛情」。毎週月曜深夜の「アッパレ伊波!1名様やってまーす(MBSラジオ)」や、ヘブンバーンズレッドの逢川めぐみ役で大阪弁に触れ、当の伊波さんもお笑いが大好き。
そんな伊波さんがどハマりしたというのが、複数の吉本芸人で結成された歌唱ユニット「吉本坂46」。
伊波さんが「逢川めぐみ」と出会ってまもなく2年が経過し、最初はとにかく気苦労の多かった大阪弁での演技も板に付いてきた中でのこの曲の披露となりました。
歌詞に出てくる「歌詞もうろ覚えのたかじんの曲」。そう、関西人なら誰もが知ってる"浪花の視聴率男"、やしきたかじんのこと。
まさか伊波さんがたかじん知ってたなんて。その驚きもありましたが、こんなにも耳触りの良い大阪弁で歌えるようになっていたなんて。何より、「勝気だけど不器用な大阪の男」をここまでの解像度で演じ切ったなんて。
まるで「大阪人のいな民の心に寄り添うような」伊波さんの弛みのない努力が如実に現れていました。
粉雪
冬の超定番曲にして、超高難易度曲。
この超絶技巧が要求される「粉雪」を、伊波さんはミックスボイスとファルセットを織り交ぜながら歌い切りました。
「マジで緊張した……」とつい零すぐらい伊波さんにはえげつないプレッシャーがかかっていたのは間違いないでしょう。
実を言いますと粉雪、First Loveと同様に5年前のアンエト披露していたんです。
「初めていな民と過ごすのクリスマスの想い出」を作りに来た5年前の伊波さんと、「いな民の皆と紡いできたクリスマスの想い出」の続きを描く今の伊波さん。
イエスタデイが昨年のクリスマスの答え合わせだとすれば、First Loveと粉雪は「5年前のクリスマスの答え合わせ」。更に5年後に粉雪を歌うことがあれば、どんな表現を伊波さんがしてくれるのか。その日を密かに楽しみにしておきます。
《第2話・皆で合唱&伊波さん急接近編に続く》
2023年12月26日
中井みこと
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