2人のナミオト #高海千歌誕生祭2024
去る6月26日。
伊波杏樹さんが2ndシングル「NPNL」のリリースに際して、安田屋旅館さんと松月さんにご挨拶に行った時のこと。
Finale発表を前に、約束の海で”あの子”の手を取ってすっと前を見つめる伊波さん。
高海千歌として、Aqoursのリーダーとして命ある限り全身全霊で生きると誓ってから9年。
あの人の見つめる先には何が見えているのだろう。
高海千歌の生きている証が内浦に在り続けていると同時に、伊波杏樹さんの生きている証も内浦に在り続けている。
お互いにとってもこの浜辺はいちばん大切な場所。
今もこうやって絶えずに”2人のナミオト”は三津浜で共鳴し合っている。
お互いの”オンリーワンの輝き”を共有し合って、成長してきた軌跡
『高海千歌は2人でひとつ』
その一貫した想いで駆け抜けてきた。
逆風しか吹いて来なかったこの9年間を、決して心が折れることなく自分自身を――――――お互いを信じ続け走り続けてきた。
実は、高海千歌ちゃんと伊波杏樹さんは性格だったり考え方が真逆だったのは意外と知られていない。
それは伊波杏樹さんの口から直接語られたものだった。
これまでの千歌ちゃん又は伊波さんの考え方や紡いできた言葉を振り返ってみても、同じような前向きな言葉でも「常に前向きだったか」「後ろ向きの状態から始まったか」で微妙にニュアンスが異なってきている。
多少図々しくてもゴリ押しで障壁をなんとか押し退けるバイタリティを持つ高海千歌と、誰かを傷つけず周りの幸せを第一に考える謙虚さの塊な伊波杏樹さん。
そんな真逆だった2人が出逢い、お互いの良いところを持ち寄って身につけて、やがて「ひとつの高海千歌」というかけがえのないキャラクターが出来上がった。
「高海千歌」として歌って踊ることに自信が持てずに、笑顔を作るのに苦労していた過去。
そんな時でも千歌ちゃんのことを信じて、右も左も分からないときでもその手をしっかりと握りしめ、無我夢中で走り抜けた。
2人が抱いた「共通の憧れ」を胸に。
千歌ちゃんのμ'sとの出会いは直感が赴くままだったように、伊波さんも「専門学校時代の先輩がスクフェスをやっていたのをキッカケに」直感的にμ'sと出会った。
これだけ正反対なところだらけの2人の中にある、「とても結び付きが強い共通点」。それこそがμ'sへの憧れと「好きという気持ち」。その強く光を発する熱い気持ちで、Aqoursという大きな船を動かしていくことになる。
リーダーという肩書きは「一応」という但し書きが示すとおり、最初からAqoursという大きな船を動かしていくだけの気持ちを持って臨んだ訳では無い。それでも2人は「Aqoursのリーダー」としての使命を全身全霊で全うしていくようになる。
率先してリーダーなるわけでもなく、自ら秘めし能力でリーダーになるべくしてなった理由。
千歌ちゃんの、仲間たちを導いていく底知れぬ牽引力。伊波さんの、言葉の力で仲間たちの結束を強めていく統率力。
そして、2人の「ふるさとへのダイスキの感情」。
気取ることなく只々一直線に輝きを追い求めていった9年間は、『高海千歌』というスクールアイドルと『伊波杏樹』という役者を際限なく強くさせた。
そしてお互いに良いところをリスペクトし合う。
伊波さんが千歌ちゃんの姿を見て、自分に自信を持てるようになったのは前述の通り。
その一方で、千歌ちゃんもまた伊波さんの『役者として躍動する姿』に感化されているようにも見える。
年を経るにつれて「元気全開が取り柄」だった千歌ちゃんの表情は、少しずつ大人びていく。
ソロ曲の「One More Sunshine Story」と「Never giving up!」は、まるでミュージカルの世界観 ―――――― 伊波杏樹さんがあの時念願を叶えたミュージカルの世界。
夢を叶えて歌い踊って躍動する彼女の姿を、きっと千歌ちゃんは目の当たりにしていたのだろう。
千歌ちゃんはスクールアイドルをやり遂げたあと、どんな表現に挑戦していくんだろうか。Aqoursとして自身の卒業までやりきったあと、”高海千歌”としてどのような表現がしたいって考えてるんだろうか。
静真高校を出て、彼女が羽ばたくその先の青写真には――――――
きっと伊波杏樹さんの躍動する姿がいる。
―――――― そう考える余地が生まれるほど2人の絆は固い。千歌ちゃんと伊波さんがお互いの姿を見てアップデートしていく様は、彼女たちが歩んでいく未来を色鉛筆で描いているように見える。
2人が交わした「歌に込めたメッセージ」 〜ナミオト×NamiotO〜
さて。
高海千歌のソロ曲、先述の2曲は「2人が歩む未来」を描いたような曲であるなら、次の曲は「2人が今まで歩んできた軌跡」を語る歌。
―――――― ナミオトリフレイン。どこか親近感が湧くタイトルではあるまいか。
伊波さんがアーティストデビューする前に遡る。
彼女が「伊波杏樹」として歌う曲のアルバムシリーズ、”NamiotO vol.0.5”。
伊波さんが役者として生きていく中で、常日頃から考えていることや胸に秘めたる願いを曲にして世に送り出したもの。
それはまるで、「今まで演じてきた役への感謝の想いと、伊波杏樹という一人の役者が強く羽ばたくための覚悟」を記した詩。
その中には勿論。”高海千歌への想い”も込められている。
幾度となく失われてきた夢は沢山あった。
取り返せない夢も沢山あった。
どうしようもなく心が傷ついて、寂しくて心が痛くて泣いていた日々も沢山あった。
それでも2人の関係は消えたりしない。
無為に過ぎた時間も無駄なんかではない。
2人が約束の浜辺で抱擁を交わしたとき、きっと二人の心の中ではナミオト ―――――― この歌が響いているのかもしれない。
9年間も過ごしてきた大切なパートナーと、心からのメッセージを交わし合うかのように。
そして、涙を流しきった後には”笑顔”という名のひまわりの花が浜辺に咲く。
「スクールアイドル Aqoursの高海千歌」と「役者・アーティストの伊波杏樹」の2人の輝ける姿に一番似合う花。
お互い正反対だった2人は長い長い道程を駆け抜けてきたことで、同じ”ひまわりの花のような”笑顔を咲かすことができている。
「Aqoursの高海千歌」として2人で過去一番の輝きを追い求めるであろうこの一年。
泣いて笑って、魂の限り全身全霊で歌って、そして「ありがとうございました!」と力の限りの声を出して。
そして2人は来年の8月1日に、後悔なんて1ミリもない程に駆け抜けられたことを報告しに、また約束の浜辺を訪れるのだろう。
2人の心に響くナミオトが紡ぎ出す物語は、
かけがえのない2人の軌跡である。
Avec toi…
あとがき
高海千歌ちゃん、誕生日おめでとうございます。
そして伊波杏樹さん、千歌ちゃんの一番の味方でいてくれてありがとうございます。
リリースから2年経った今でも、いや、9周年を迎えて初めての千歌誕だからこそ響く「ナミオトリフレイン」という曲。
長い間駆け抜けて、そして潰えてしまった夢路への未練があったからこそ、ものすごく響く曲なんです。
”だいじな人” ―――――― 伊波杏樹さんの手を取り合って、諦めず駆け抜けてきた日々が天の川のように光り輝いてる光景。
それは間違いなく不滅のものであると信じています。
「ナミオトリフレイン」はピアノの伴奏のみのシンプルな曲。もしかしたら桜内梨子ちゃんが弾いていたのかもしれないと思うくらい、千歌ちゃんの周りの仲間たちとの繋がりを意識させる曲に思えています。
それに対比させるように挙げさせてもらったのが、伊波杏樹さんの「I promise you…」です。
この曲もピアノ伴奏がメインの曲で、伴奏は伊波さんの歌のレッスンやライブでの伴奏を長年務めてきた多田三洋さん。
歌詞にどことなく縁を感じるだけではなく、ピアノ伴奏でも縁を感じるのもこの2曲なんです。
だからこそ、この2曲が千歌ちゃんと伊波さんで送り合うメッセージのように感じたのです。
これからも2人には、笑顔の溢れる日々で彩られた「高海千歌としての輝ける軌跡」を描いていけるように心から願っています。
2024年8月1日
中井みこと