17.3cmの信頼関係。伊波杏樹 ~An seule étoile~ 220,284 ライブレポ【第2話】
前回の続きです。
みんなで歌おう!An seule étoile
きました。このタイミングでやってきました。いな民の団結力を証明する時間。伊波さんにとっても、いな民にとっても、最も大切にしてきた「宝物のような曲」を"合唱"で分かち合う瞬間。
――――――遡ることちょうど一ヶ月前。11月25日、生配信「ぽしゅら」で我々いな民に衝撃的な企画の発表がされます。
「An seule étoileをいな民で合唱で歌おうよ」
伊波さん。マジっすか。従前から、伊波さん御本人に「団結力・行動力の塊」のお墨付きを貰っているいな民。とはいえ、半ば伊波さんからのKiller Beeキラーパス。
それでも、Inamin Town公式で「合唱練習」動画がアップされるなり、譜面に起こしてくれた有志のいな民の方が現れ、練習しやすい環境が構築されていきました。しかも、その譜面起こしに多田さんも乗っかり……。⬇
パートは「男声の上パート&下パート」の2つで、女声は伊波さんと同じ主旋を歌うか、男声パートの1オクターブ上を歌う、という形式になります。
私と会場で駄弁っていたいな民の方たちの発言を聞くなり、過半数くらいが「やべえ、練習してねえわ」と。確かにそうだよね。社会人の人も多い中で、練習する時間取れる人の方が珍しいのかもね。
でも、何故か我々いな民の中では「ぶっつけ本番でもなんとかなる」という無根拠の自信が着いてまとっていました。
迎えた本番。発声練習も兼ねて、多田さんのピアノの伴奏で各パートの練習を始めることに。私は高音パートで練習をしてきていたので、所謂「多田三洋チーム」です。
すると、なんということでしょう。昼公演の一発目、練習して来てないと言ってたのに。めっちゃ声出てる。音程もビタビタ。
「すごい!すごいよぉ!!」伊波さんもあまりの出来の良さに大ハシャギ。
続いて低音パート。こちらは通称「石川恭平チーム」です。そしたら恭平さん、調子乗っちゃってまた掛け声煽ってるし。低音パートなだけに、いな民の「漢」な野太い声がヒューリックホールに響き渡ります。
練習一発目、こちらもめっちゃ声出てる。ラグビー部の名に恥じない、野太く音価ビタビタの完璧な歌唱。高音パートにも主旋にも負けない音圧。
これを聞いた瞬間、誰もが「これはいける!」と確信したことでしょう。
「じゃあ本番いこっか。」
伊波さんの一声とともに会場はひとつになります。
そこに愛情の大小など、影響力の強弱など、人と比べるようなものは1つたりともありませんでした。伊波杏樹さんと作り上げた「かけがえのない旋律」に会場全体は酔いしれ、所々でいな民同士で合唱成功の喜びをハイタッチで分かちあっていました。
これが見たかったんです。前回も触れた去年の「Mille tendresses」の記憶――――――あの時伊波さんのことを救えなかった悔しい記憶。だからこそ。
「伊波さんが笑顔になれる時間が少しでも増えて欲しくて、伊波さんに喜んで貰えるなら皆で一致団結して何かを成し遂げたい。」その一年前の約束を、伊波さんの眼前で成し遂げた瞬間でした。
閑話休題。note初投稿の時にも触れた、メルボヤ大阪公演の時に飲み会を企画してくれた方――――――"さらいんさん"(ついったさんのID : @nanoha1007)。伊波さんが笑顔でいられるために何かしらのアクションはしたい。でも、そういう勇気がなくて踏み出せなかった。そんな時に手を差し伸べてくれた方なんです。
「私がこの方の伸ばす手にスッと手を伸ばせたのは、あの時に同じ思いを抱いていたからなんだ。悔しくってたまらなかったのは、皆同じだったんだ」
この1年間の"出逢えた奇跡"の答え合わせを果たした瞬間でもあった「いな民との合唱」。
この1年、大勢のいな民の方たちと語り合い、笑い合い、ラーメンを食べ、そして運動会で大ハシャギして。この1年間の総決算として、伊波さんと交わした約束の証明として、この場で一つになれたのは最高の思い出になりました。
見上げてごらん夜の星を
……ちょっとこれに関しては昼公演のことを喋らせてください。普通のコンサートでは絶対に起こりえないことが私の眼前で繰り広げられたので。
「伊波さんとの17.3cmのアイコンタクト」
……嘘やと思うでしょ?私も何が起こったのが一瞬分からなくなって。でも、他所じゃ決して有り得ないことなのは確か。
客席のいな民に対して、「至近距離で面と向かって」歌を届けてる伊波さん。伊波さんは手を差し伸べ、「夢を追いかけている1人のいな民」に語りかけるように……
演者が客席に降りることはリスクがいっぱいで、普通はできないのが当たり前。でも、伊波さんは完全にいな民を信用しきって、通路側の座席のいな民の目を見つめ続けます。
私の席は上手側ブロックの角席。すると伊波さんは私と通路を挟んで隣の女性に向かって……。
そうです。⬆の写真の横顔のまんま。「一緒に行こう」と伊波さんは女性に手を差し伸べ、お互いに目を見つめ合います。
「そんな真っ直ぐで煌びやかな瞳で見つめられたら、惚れない選択肢はない!!」
そして私にも手を差し伸べてくる伊波さん。
こんな真っ直ぐで澄んだ瞳を私は知らない。
サイン入りグッズや色紙よりも、ずっとずぅーーっと大切な宝物こそこの瞬間。
どんなに絶望的な状況でも、どんなに重い病気に罹っても、この光景を思い出したら全てが解決できそう。
公演が終わって、私はその女性と固い握手を交わしました。杏タクロースがくれた人生最高のクリスマスプレゼントに酔いしれるように、その喜びを分かち合いました。
Fall for you
カバー主体のアンエトで、伊波さんの持ち曲は2曲ぐらいあればいいと思っていましたが、このチョイスには鳥肌が立ちました。
「大切な約束の冬の夜に、"貴方"を待ち焦がれる女性」の心情が克明に描写されている「Fall for you」。今回はGt.石川恭平さんをフィーチャーしたアコースティックver.として披露されました。
ウィスパーボイス主体の曲なのに、ファルセットを多用せず地声――――――ミックスボイスで歌い上げる伊波さんの技量と表現力。
リリースした当時に語った「Fall for you」のコンセプト「恋焦がれる大人の女性」。初披露となったMille tendressesの時より、「大人の女性としての魅力」が大いに増したパフォーマンスでした。
それに恭平さんのギターがめちゃくちゃカッコよかった。恭平さん、チーム伊波に戻ってきてくれて本当にありがとうございます。
華奢なリップ
き、きたあああああ!!!
勝気な伊波さんの姿。これが見たかった、これが見たかったんだよ!!
伊波さんも以前から大好きでよく聴いていたというジェニーハイ。そこからその選曲はセンスが光りすぎてます。「大人の女性」を表現するにはピンズドな曲です。
悔し涙を喫した2022年。そこからの「2023年は絶対に幸せになってやる」という固い決意表明。燃えたぎる想いは、今年は東名阪ツアー、アーティストデビューで引っ提げたシングルKiller Bee、地元愛まつりへの参戦、そして念願の「龍が如く8」への出演。そんな燃える想いを乗せて歌った今回の「華奢なリップ」。
舞台上のソファの上に乗って、サビで伊波さん節全開のがなり声。これだけ背中が頼もしい「勝気な女」に変貌を遂げた伊波さん。悔しい想いをさせた相手がいるかどうかはさておき、
「最後に笑った者が勝つ」
と伊波さんが証明してくれた、という気がしてなりません。
イエスタデイにしろ、合唱企画にしろ、そしてこの華奢なリップにしろ、様々な形で「伊波杏樹さんの飛躍の2023年」の答え合わせをしてくれたように思えて、物理的に胸が熱くなった感覚がしました。
次回最終回。最後の曲とアンコールの3曲について書いて、締めたいと思います。
2023年12月30日
中井みこと