紫陽花の咲く頃に
今年も鮮やかな紫陽花たちが、大きな緑の葉に彩りを加える季節となった。
紫陽花が咲くと、じきやって来る梅雨の知らせを受け取ったような気がして少し寂しくなる。別れと出会いを届けてくれた美しい春はもう過ぎ去ってしまうのか。
空から大粒の雫が降ってくる度に、どこかどんよりとしてしまうこの季節だが、私には魔法の言葉がある。
「紫陽花は2度楽しめるんだ。」
そう教えてくれたひとがいる。
【初夏の紫陽花】と【秋色紫陽花】
初夏の紫陽花が、秋にかけて形そのままに枯れ色に移りゆく。まさに秋色の紫陽花。
凛と咲く秋色紫陽花を眺めては、酸いもあまいも思い出す。
早々と流れる季節の中で、紫陽花のこどく移りゆけますように。
初めは淡い色を見せていた花弁も、少しずつ鮮やかで濃い色へと変化してゆき、やがては濃緑のバックグラウンドに支えられ、静かに存在感を放つ。
それを待っていたかのように、大粒の雨が降る季節がやって来た。
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