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はじめての繭期2021鑑賞ゆるレポ 第四夜【ネタバレあり】

Attention(定期)


 これはTRUMPシリーズ初見の民がその都度叫び散らかすだけの記事です。絶対に未履修の公演のネタバレ踏みたくないので、記事の内容以外の公演のネタバレをコメントに書くという行為は絶対におやめください。守れる方だけ先へどうぞ。

─感想─

 ソフィ……ソフィ……なんて寂しい人なんだ君は。孤独を埋めるために自分たちだけのクランを作り、永遠の繭期の箱庭での楽園を作り上げた。過去の自分を否定して、TRUMPのやってたことを写して。自分のための世界に閉じこもった。ソフィが間違ってたとは言えないけれど、正しいとも言えない。結局はソフィの自己満足でしか無い。そしてその自己満足は果てのないもの。自分のための世界に染まろうとしないヘンルーダもガーベラも異質だから、自分の世界を壊すものだから排除する。あの悲劇はヘンルーダから始まったんじゃなくて、ソフィから、TRUMPから始まったんだ。人には余るものを与えた神ってやつは本当にどうしようもない。もし居るなら、だけれども。

 ウルって名前を聞いた時(しかもデリコのファミリーネームを名乗らなかった)怪しいなとは思っていたけれど、まさかウルごっこだとは思いもしなかったな……。うっわ地獄。紛い物で埋めようとしても余計辛くなるだけだと思うんだが。しかも劇中で本名で呼ばれたにも関わらずエンドロールでの名前がウルなのが辛し。エンドロールといえば最後にThe story continues LILIUMって出したのやばすぎるだろ。LILIUM未履修だけどめっちゃ見たくなったじゃん。

 そしてガーベラを取り巻く人々。アナベルがヘンルーダとエリカを突き放さず、ヘンルーダが彼女らから離れず、家族で居たとしたら幸せになれたかって言ったらそうでもないと思う。世間はダンピールを忌むのはSPECTREの頃からずっと変わってない。あれから二千年以上たったにも関わらず、だよ。フリーダ様みたいな思想を持つ人が声を上げても社会は変われなかった。ずっとあの世界の人々の時間は止まったままだったんだろうね。SPECTREやグランギニョル、TRUMPから服飾の変化が大きく見られないってことは文明自体もあまり変化していないことも推測できるし。まるでTRUMPの止まった時をそのまま受け取ったみたいに。あの世界が永遠の繭期だと思ったのは俺だけだろうか。

 閑話休題。

 あの世界でダンピールと幸せになろうしたらきっとあの人たちは世界を自分たちの屋敷の中だけにする。たった一つの愛を共有した自分たちだけの楽園。ソフィが作り上げたクランと同じように。でもそれって閉じているから感情の逃げ場がなくて、守ろうとするために、愛するがあまり互いを殺す道を選びかねない危うさを持っている。どの道を選んだっていつか悲劇は起きた。あの家族はきっと、あの世界に存在してしまったことが不幸せだったのかもね。まぁ、愛し合うもの同士殺し合うことを心中と呼ぶんだもの、心中が幸せなことだった可能性は否定できないけれど。他人の幸せなんて観客でしかない俺が判断できることでも、介入者でしかないソフィが判断できることでもないから何とも言えないが、少なくともあの家族は手をつないで死ぬことぐらいはできたのになぁと思ってしまった。

 俺はコリウスがわからない。わからないけれど、一番人間らしかった。矛盾だらけで目に見えない責任をどこかに押し付けて、走って、殺して、傷つける。原因なんてどこにでもあったし誰が悪いわけでもなかったあの世界で責任を、わかり得ないものの答えを求めるあたりは人間の性よな。歪んだ愛は褒められたものじゃないけれど、少なくとも批判されるべきものでもないと思うから何とも言えない。

総括

 今回はミュージカルだったしSPECTREとグランギニョルとはまた違った物語で楽しかった()。ガーベラに最後まで言わせず終わるあたりが大変良い。(演劇やってらした学校の先生から聞いたことがあるんだけれど、正面上方を見るのって舞台では希望を表すんだって。あの時ガーベラの行動ってまさに……てか空に手を伸ばす行動をしてきたキャラたちって希望の演技であれをしてたってことなんだが……)

 TRUMPの語り部としてのソフィは一人行動だった(ぽい)し、マリーゴールドのあとで何があったのかが気になるところ。明日は大河を捨てて待機します。それでは今日はこれにて終幕。

追伸・アナベルが自我を取り戻した風のあのシーン、あれ込みでソフィのイニシアチブって聞いたんだけどまじ? しかもソフィ役の三津谷さんしか知らなかったってどこのお月様役の方だよ。

〈了〉

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