死と生と、「復活」

詩集「昼顔」に収められた1篇「復活」、ここで詩人は生きるために愛を殺すと言い、これはあくまで自衛だと、自らに向けたぴすとるにたいして正当防衛を主張する。

独房に収監されたのち、やがては燃えるような死と生が待っているかもしれないと希望を託す。磔刑に処されたキリストのゴルゴダの奇跡が念頭にあったのだろうか。詩人は明らかに死後の復活、新しい死と生を描いている。

死ぬまいとして愛を殺す これは自衛だ
あなたに向けたぴすとるは わたしの心を狙っている
罪の熱さと 罰の冷たさで
わたしにひびが入る そこから割れる べきだ
嘘のやうに穴があいて たぶん静かにひろがる 死
世界のしたたる音が遠ざかり そのあとの
ながいながい独房 の窓に もしかしたら
静かではない死 燃える死 燃える生
雨のなかで じぶんの汗にぬれながら巣かけるくもの
ぬりつぶしてゆく せばめていく 光る0ゼロの楕円

細い糸をかがり同心円状に広がるはずの蜘蛛の巣は、反対になんらかの求心力によって狭まっていく(詩人はこれを雨に象徴している)。そして最後に、0という楕円に収斂していく。詩人は、無限∞などではなく、この無なる楕円形に光をみている。復活への極小の魔法陣、おそらくぴすとるの弾丸が射抜いた的。




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