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樋口一葉

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#読書感想文

十三夜

かつて google にあった一葉の傑作「十三夜」 のイラスト。当時の上野広小路の森に挑ぐ満月の…

ゆき丸
6か月前
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「わかれ道」

哀婉影さす男女の別れの物語、一葉の「わかれ道」、しかしその哀切はただの悲しさに終わらない…

ゆき丸
7か月前

一葉作品が残していくもの

一葉の死後に寄せた追想のなかで、幸田文は「一葉作品には、なんというか季節の感じを皮膚に覚…

ゆき丸
8か月前
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「一葉のポルトレ」を読んで

生前親交のあった文学者、友人や家族らが捉えた一葉についてのポートレイト集「一葉のポルトレ…

ゆき丸
1年前
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別れの「暁月夜」

その別れは春の暁の月だけが見ていた。 華族名家のうら若き令嬢、その容顔美麗に惹かれた青年…

ゆき丸
1年前
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雨の夜の擁壁に青い苔

今年の夏は、庭先の芭蕉が背丈をなかなか伸ばさないと案ずるうちに、9月の秋、残暑が3日ほど続…

ゆき丸
1年前
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「にごりえ」にガツンと殴られる

誰しも教科書で一度は読みながら多くの人はそれきりになってしまう樋口一葉。むしろ五千円札の肖像のほうが有名かもしれない。その涼やかで凛然とした佇まいは相当の妙齢美人だが、しかし一葉が生きた時代は自由恋愛などできたものではなく、女性にあっては学問の道とて茨として閉ざされていた。 最近、近代文学を読み直しているが、真っ先に一葉の「にごりえ」を手に取った。三角関係の許されざる恋を一向に許さぬまま、一気に破滅を描き切る。しかし、行く末の覚束ない女心の揺らめきを描く筆はもう見事としか言