マガジンのカバー画像

吉原幸子

7
端正な傷口
運営しているクリエイター

記事一覧

神聖な愛のカタチ

詩人、吉原幸子は「愛」と題された小さな一篇を書いている。 海  その底に 藻をぬって 白…

ゆき丸
12日前
2

死と生と、「復活」

詩集「昼顔」に収められた1篇「復活」、ここで詩人は生きるために愛を殺すと言い、これはあく…

ゆき丸
2週間前
1

「通過 Ⅵ」

Ⅰから番号が振られた吉原幸子の詩篇「通過」、そのⅥをあらためて読む。 わたしから こころ…

ゆき丸
2週間前
1

命の灯り

詩人、吉原幸子の一篇「通過Ⅳ」 山の 高いところに ぽつんと一つ 灯がついてゐるのは 人が…

ゆき丸
2か月前
2

在るもの、在らぬもの

吉原幸子は書く。 おそろしさとは ゐることかしら ゐないことかしら (「無題」) あると思…

ゆき丸
2か月前
2

愛の礎石

詩人、吉原幸子は愛についての詩を多く残している。愛といっても、わたしはその身振りも目つき…

ゆき丸
2か月前
2

吉原幸子 「瞬間」

吉原幸子 「瞬間」 海が死ぬ けふも死ぬ 日が暮れる 月が死ぬ けふも死ぬ 夜が明ける 時が死ぬ けふが死ぬ 人も 死ね 惜しげなく いくたび死んで 時がまたくる 死ぬ海の 死ぬ月の うつくしさ 色あせず 暮れもせず のこるなら 人だけが 醜くからう 人も 死ね 三連と最後の七連の結句、人も 死ねがあまりに呆然とさせる。ひとマスの空白は、一瞬の躊躇いか、それとも意を決するための最後のパウゼか、私はこのひとマスに一気に吸い込まれる。題は「瞬間」とある。 何度読