絶対忘れるながやめられない 18
前回のお話はこちら。
2016.12.2
パーフェクトミュージック主催のオーディション番組「がんばれデモテープ」、前回のぜわす紹介時の後半にこんなやりとりがあった。
劔さん「このMVだって、そこそこ時間も予算もかかってますよね。また次回もおんなじようなの作るってやってたら大変だよ。天野さーん、天野さんのせいでこの人たち仕事やめちゃうかもよ」
パーフェクトミュージック天野さん「重いなーw」
張江さん「人の人生を狂わせてる可能性がありますよ」
一同「がははははは」
「がははは」じゃあないんだよ、という感じではあるが、もはや我々としても乗りかかった船、なかば意地になって毎週応募を続けた。しかし劔さんの言うように毎週MVを作るわけにはいかない。
たとえば次の週の応募動画はこんなである。
リンクをクリックしていただくとわかるが、アルバム『to the 世間』より「PPCK」という曲の歌詞を載せたスライドを何枚も作り、リリックビデオ風のものを作った。
当時の放送より引用。
張江さん「放送4回目にしてちょっと応募が少なくなってきたんですけど、変わらぬクオリティで送ってきている常連、絶対忘れるなです。前回もう映像はないと言ってたのにちゃんとこしらえてきましたよ」
天野さん「活動の照準が『がんデモ』合わせになってますね…」
(一曲まるまる鑑賞後)
張江さん「スチャとか電気とかフィッシュマンズとか、いろんな引用がちりばめられてますよね」
天野さん「音楽偏差値が高いですね」
張江「リリックに気が利きつつ、バカバカしいですよね。"パイパンチケン"て、廃藩置県と響きが似てるからっていうだけでしょ。大人になって何やってるんだっていう」
天野さん「大人になってもこういうことできるっていいですね」
おっしゃるとおり意味のあまりないド下ネタの曲にも良さを見つけてコメントをしてくれるお二方(この日劔さんはおやすみ)だった。
2016.12.8
その次の週もアルバム『to the 世間』より「tokyo groovin' cruisin'」のリリックビデオを応募。慣れないイラレでせっせと作った記憶がある。
(何度か「ピーチジョン万次郎さんの低い声のラップがPESさんぽくてかっこいい」と言っていただいていたのだが「低音はSUさんなんだよ」と気にしていた志賀さんである)
張江さん「5回目の登場です、絶対忘れるな。今回はアーバンな曲です」
劔さん「幅広くいろんなトラックをやってるんですねえ」
天野さん「こんだけ幅広くやれるのはすごいですね」
劔さん「この曲はいいですよ。"品川に住んでる友達"、この感じがいいっすね。僕がよく知っている映画監督、入江悠さんの『サイタマノラッパー』で音楽をやってる岩崎太整さん(が元メンバー)のP.O.Pっていうバンドがけっこうこういう感じで、すごい楽しいんですよね。上鈴木兄弟の。大人がいい余裕でやっている」
天野さん「(ぜわすの)実態は余裕があるのかどうか気になりますね」
(残念ながら余裕のある大人だったら「俺の所得は雀の涙」という曲は出さないと思う)
そしてこの日、ぜわすの次に紹介されたのがこの人だった。
張江さん「次はちょっと毛色が違いまして…今回初めての応募、that's all folksです。この人、でか美さんのライブに来るんすよ。結構男前で。」
(鑑賞後)
張江さん「いや〜いいですね。見直した、って言い方したらアレですけど、ただのチェキを撮りにきたおじさんじゃないんだな。いい曲ですね」
このとき、that's all folksさん(りょさん)と我々はもちろん面識がない。のちに一緒にあんなことやこんなことをする仲になるとは、この時はまた想像だにしていなかった。「ミドルオブ」は何回聞いてもいい曲。
ここまで読んで、
「なんだよ、出したやつ全部紹介されたのはわかったけど、それでおわりかよ」
そうお思いの方もいらっしゃるかもしれない。大きい声では言えないが、
正直我々もそう思い始めていた。
紹介されて毎回曲に客観的なコメントをいただけるだけですごく嬉しいのだけど、慣れとはこわいもので、だんだん紹介してもらうのが普通になってきている自分たちがいた。
だがしかし。
ここにきて急展開が待っていた。
この日、番組の最後に突如がんデモから重大なニュースが発表された。
発表後のツイートはこちら。
ファッ!?
なんと、翌年1月に開催される大型フェス「BAYCAMP」への出場権をかけたコラボ企画が行われるという。しかも概要を聞くに、これまでの放送ですでに紹介されている人は一次審査を通過しているという。つまりぜわすは自動的に一次通過をしていた。
概要は下記のとおり。
【BAYCAMP × がんばれデモテープ ~ お願いBAYCAMP!公開オーディション!】
一次審査(がんデモ初回〜二次審査までの放送)
↓
BAYCAMP主催の青木P(ATFIELD)による二次審査
↓
最終審査(オーディションライブ)
↓
選ばれた1組がBAYCAMPへの出場権を獲得
という流れ。
ひとまず我々は第二次審査まで待ち……かと思いきや、またもMVを手作りして応募を続けていた。健気か。
今回は貫地谷翠れんさんのイラストによる「さよならボブ」のMV。いい曲、いいイラストです。必見。
こちらもありがたいことに紹介していただく。
(本note進行の関係上、「がんデモ」で紹介されている他のアーティストさんにほとんど触れられていないのが非常に心苦しいのだが、気になる方はYouTubeチャンネルにほぼすべて上がっているのでチェックされたし)
2016.12.26
そうこうしてるうちに年の瀬。
いよいよBAYCAMP主催の青木Pによる二次審査が「がんデモ」内で行われた。
第一次審査は通っていたとして、第二次審査がどのように行われるか全く知らなかった我々。ひとまず放送を見られるメンバーは見ながら待機。セルラはその日、仕事関係の大規模な忘年会に参加するため所沢駅前の飲み屋にいた。
ここに思わぬ落とし穴がひそんでいるとも知らずに、である。
つづく。