絶対忘れるながやめられない 10
前回のお話はこちら。
(これまでで一番反響があった回でした)
2015.4
とりあえず『絶対忘れるなのテーマ』『ABCじゃなくGHI』『アイスクリームポップアップトゥギャザー』の3曲のミックスとマスタリングが出来た。ということで
「CDを出そう」
「でも大丈夫かな・・・」
「不安・・」
「何しろ無名だからね」
「大丈夫!Tシャツかわいいし、CDはオマケだもん!」
「万次郎さんは元気だなぁ」
といった会話(意訳)を経てわたしたちが選んだはじめてのリリースの形は
「CDがついてくるTシャツ」だった。
絶対忘れるなにはアルバ伊藤という、ぜわすと推しの現場が被るとかつては迷わず推しの方を選んでいたオタクの鑑のようなメンバーがいる。就職後に一度会社を辞めてデザインを学んだ彼はぜわすのロゴやTシャツのデザインを手がけていて、それはいつも評判が良かった。「(ぜわすのことは一切知らないけど)このTシャツはどこで買えるのか」という問合せが複数来たくらいである。
そのアルバさんが、4月にぜわすで集まってピザを食べていた時「よさげなTシャツを思いついた」と言ってその場で原案を描いて見せてくれたのが後のこれ。
「これよくない?よくないこれ?」ということで満場一致で即採用。
ではこれに強制的にCD-Rを付けて売ろう!という話になった。
ケースに入れるジャケは貫地谷翠れんさんことすいちゃんの娘さんが保育園で描いた動物園の絵が採用された。パステル調のきれいな絵で、「これよくない?(略)」となってこちらも即決した。
※タイトルなどない
収録曲はミックスした3曲とそのインスト。
Tシャツのカラーラインナップも決まった。
ホワイト×ミント、ホワイト×ネイビー、チャコール×ホワイト、アイスグリーン×ホワイト。
かわいい。どれも自分たちが普通に欲しくて着れる色を選んだつもり。個人的にはホワイト×ネイビーがお気に入り。
満を持して音源、ではなくTシャツをひっさげて、我々は初めて自主イベントを企画することにした。場所はお世話になっている下北沢モナレコードさん。ぜわすをオルタナとして買ってくれていたSさんに企画をやりたいと相談したら二つ返事で乗ってくれた。
どれだけ売れるか全く予測できず、在庫リスクに怯えた我々はまずは通販での受注生産を始めることにした。セルラの会社はグッズがサイトで売れるサービスを行なっているため、職権乱用でCD付Tシャツを売らせてもらった(座右の銘は公私混同)。
当然ライブにも来て欲しいのでアイスグリーン×白はライブ会場限定カラーにした。CDにもライブ限定でボーナストラックを入れた。商魂たくましい。無名なのに。いや無名だからか。
ちなみにボーナストラックは「霊場には祈りgirl」「ユキコという名の女がいる」「レスください認知ください」「寵児りんりん物語」「入場SE」の5曲。メインの曲より多いよ(初期のBUMP OF CHICKENを意識したわけではない)。
2015.5
CDジャーナルの久保田さんに音源と企画概要を送ったところ、面白いですね!と言って快く記事にしてくれた。これがたぶんはじめての記事掲載。ありがたい。
受注生産のTシャツは予想以上に売れた。注文者さんのお名前を見ると、もちろん古参の方やお知り合いなどがちらほら見受けられたものの、知らない方が大半だった。地方の方もいた。びっくりしたけどとても嬉しかった。Tシャツ目当てかもしれないけど、わざわざ買ってくれるって相当だからほんとうに嬉しい。
2015.6
いよいよライブ当日。オープニングDJはコボリアキラくんに務めてもらった。良質なJ-POPをかけて場をあたためてくれるコボリ氏(ちなみにまだ益若つばめではない)。そしてモナで共演して仲良くなったラッパーのHYDROくんが当時率いていた「カナリアMIMIC」とコボリくんのイベントで知り合った上野翔くんとカンノアキオくんによるラップユニット「4×4=16」の二組に出てもらった。ウエノくんのことは志賀さんが大好きで、ラブコールを送ったらウエノくんのほうからぜひ4×4=16で出たい、と言ってくれた。
ライブも予想以上の方が来てくれて、結果的にTシャツも50枚以上売れた。誰やねん状態からのスタートとしては健闘したほうだと思う。Tシャツの力を感じた。
ぜわすは「アイスクリームポップアップトゥギャザー」に続くぜわす内アイドルユニットなまおぼの新曲として「さよならボブ」を披露した。めちゃめちゃいい曲。
あとパイパンをテーマにした「PPCK」をやったんだけど見に来てくれた友達がパイパンにしてライブにのぞんでいたことをあとから聞いて度肝を抜かれた。
他にもCDの収録3曲や「俺の所得は雀の涙」などを披露した(あとは…忘れました…)。
昼イベだったので夕方には終わって打ち上げ。いい笑顔のコボリ氏。
そういえばカナリアMIMICの「ピンコの反省」という曲にセルラがfeatしたのでこの日も披露した。ここで聞けます。岡村ちゃん好きなB-BOYの曲。とにかくラップのスキルが高いカナリアのみんなです。かっこいいよ。
カナリアTシャツもどさくさに紛れて弊社で作らせてもらう。公私混同。
さらに余談だがわたしはライブの出来に満足できなくて打ち上げで泣いていた。
とまあ反省点はあれど、初の企画としてのTシャツ発ライブはひとまず成功に終わったかなと思う。このTシャツは驚くべきことにその後も売れ続け、「街中で着てる人とすれ違った」「飲み屋で着てる人いた」「今日のイベントのDJぜわすTだった」など目撃情報が届くようになる。
反響がありすぎたこともあり、アルバさんは「今後はオマージュ系のデザインはやめる」と断言。そこから今に至るが、オマージュでなくともアルバデザインのTシャツが良いことは昨今証明されているとおりなのである(知名度も比例して上がってほしいわよね)。
さてさてようやくつーちゃん加入の話の目前。ただ、そこでまさかの展開が待っていた。
つづく。