「ICUトーク」で知る集中治療医のリアル
集中治療医2人がICUについて語るポッドキャスト「ICUトーク」が、Spotifyで配信開始となりました!小林宏維先生とぼくがパーソナリティを務め、初回は「集中治療医の魅力と働き方」についてお話しました。このポッドキャストは、ぼくらにとって2025年の新たな挑戦の一つです。まずは1年間継続配信することを目標に、頑張っていきます。ここでは、ポッドキャスト「ICUトーク」を始めた理由と番組の目指す方向性をまとめました。
ポッドキャストを始めた理由
今回ポッドキャスト「ICUトーク」を始めたのは、「集中治療医という存在をより多くの人に知ってもらいたい」という思いからです。昨今、「ICU」ということばは一般の方々にも少しずつ浸透してきたように思います。しかし、「集中治療医」という存在は、医療従事者の中でもまだ認知度が低いのが現状です。たとえば、医学部の6年間で集中治療の勉強をする機会は非常に少ないです。また、初期研修を集中治療医がいない病院でする医師がほとんどです。つまり医学生や研修医の期間に「将来は集中治療医になりたい」と思う人は残念ながらほぼいないのです。
これでは集中治療医はなかなか増えません。まずはその認知度を高める必要があります。ポッドキャストはその一助になると期待しています。文字ではなく音声で発信することで、通勤中や運転中、他の作業をしながらでも聞いてもらえます。感情のこもった音声で伝えることで、親近感を持ってもらえるかもしれません。そうすると、「集中治療医って面白そう」「集中治療医のいるICUを見学してみたい」と思ってくれる人が現れる可能性だってあります。さらに、その中から将来の集中治療医が生まれるかもしれません。楽観的かもしれませんが、そんな可能性を挑戦してみたいと思ったのです。
ICUトークはどんなポッドキャストなのか?
パーソナリティは集中治療専門医である小林宏維先生とぼくの2人です。主にぼくが進行役としてトークテーマに沿った質問をぶつけ、それに小林先生が答えていくという流れで進みます。
ICUトークのコンセプトは、「集中治療医をリアルに感じてもらえる番組」です。特に、集中治療に興味のある若手の医師・医療従事者や医学生のみなさんに聞いていただけると嬉しいです。病院の中にICUがあっても、集中治療医がいないことがほとんどです。集中治療医がいるかどうかでICUの運営は大きく変わります。そこで、現役の集中治療医であるぼくらが発信することで、「集中治療医のいるICU」という新しい世界を紹介したいと考えました。集中治療医のいるICUを見たことのない方に、どれだけリアリティを持って集中治療医を感じてもらえるか、が鍵だと思っています。
トークテーマについては、最初の数回でまず「集中治療医とは一体どんな人なのか」を明らかにしたいと考えています。
集中治療医とはどういう仕事なのか?
Closed ICUとは?
集中治療医になるまでのキャリアパス
など、集中治療医の最も根幹になる部分から触れていきます。
集中治療医がICUで実践しているプラクティスについてもお話ししたいと思います。ICUでよく遭遇するケースシナリオを用意して、それぞれの局面でどう判断し介入するか、その介入に対する患者さんの反応性に応じて、次の一手をどう考えるかを、臨場感を持ってお届けしたいと思います。
また4回に1回は最新文献を紹介していきます。ぼくらの視点で「これは必読!」と思う文献を取り上げます。主にはNEJMやJAMAといったトップジャーナルに掲載されたランダム化比較試験(RCT)や、ICU専門雑誌のガイドラインを中心に触れていきたいです。もちろん文献の内容を紹介するだけではありません。ぼくらがその文献をどう解釈し、日常診療にどう活かすか、というところまでお話しします。文献の読み方の参考にしていただけると嬉しいです。
またぼくら2人は「研究するのが好き」、「海外留学の経験がある」という共通点があります。研究計画の立て方、臨床と研究を両立させるコツや、海外留学のメリットとデメリットなど、診療以外のお話もしていきたいと思っています。
今後の目標
まずは配信を続けることです。ICUに関連した話題はたくさんあります。今の時点で40個くらいのトークテーマを考えています。週1回配信で、まずはこの1年間、配信し続けることを目指します。
もし参加いただける方がいらっしゃれば、ゲスト回もやってみたいです。「集中治療医」とひと口に言ってもさまざまな視点や経験があります。ぼくらにはない考え方をお持ちの方のお話を伺うのはぼくら自身にとっても楽しいですし、リスナーの皆さんにもより多くの共感ポイントを提供できるでしょう。
さらに、リスナーの方々と双方向の関係を築けたらいいなと思います。配信中はぼくらが一方的にお話しすることになってしまいますが、メールやSNSでご意見・ご感想をいただければ嬉しいですし、トークテーマを提案いただければ積極的に取り上げさせていただくつもりです。
まとめ
集中治療医であるぼくらがポッドキャストを始めた理由は、「集中治療医という存在をより多くの人に知ってもらいたいから」です。すでにICUに興味のある方も、集中治療医を知らなかった方も、この番組をきっかけにICUの面白さや集中治療医の役割を知っていただけたら嬉しいです。ではみなさん「ICUトーク」でお会いしましょう!