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留学が決まればすぐ取り組もう!助成金獲得への3つのコツ

留学に向けて誰もが悩むのはお金です。留学生の経済面をサポートしてくれるのが留学助成金ですが、獲得するのは簡単ではありません。持っている学位の種類によっては応募できないものもあります。基本的に、人生で留学するのは1度きりなので、事前の経験値がなく、ネットで検索しても攻略法は少ないのが現状です。

そこで、ぼくが2021年に経験した留学助成金獲得の過程を振り返ることで、これから助成金申請を行う方のお役に立てればと思い、このnoteを書きました。

留学先が決まればすぐに指導教官と研究テーマについて相談

まずは、応募からの獲得までの時間経過を整理します。

1月:留学を決意
4月:留学先を決定
5月:留学先の指導教官と研究テーマの相談開始
6月:プロジェクト①を助成金Aに応募
7月:プロジェクト②の具体化開始。プロジェクト①を助成金Bに応募
9月:プロジェクト②を助成金Cに応募
11月:助成金Cの採択通知。

ぼくがこのnoteで一番強調したいのは、留学先が決まったらすぐに留学後の研究テーマに関して留学先の指導教官と相談を始めるべきだという点です。留学助成金にはさまざまな種類がありますが、申請用紙に書く内容はほぼ共通しています。

  1. 留学先で行う研究の内容

  2. 留学する施設の特徴

  3. 申請者の経歴・研究業績

この3つはマストです。助成金によっては、推薦文なども要求されますが、作成自体はそれほど難しくありません。時間と労力がかかるのは上記3点です。特に「留学先で行う研究の内容」が決まらないと、申請用紙が書けません。つまり、実際に留学を始める1年前から、留学先での研究テーマを相談し始める必要があります。

人によって、いつ留学先が決まるかはまちまちですが、留学助成金の申請受付期間は、早いものだと6月、遅いものだと翌年1月くらいです。実際の振込時期なども異なるので、ご自身に合ったタイミングを把握しておくことが大切です。

いずれにせよ、「留学先での研究プロジェクト」という大きなテーマを決めるわけですから、できるだけ早めに検討を始めたいものです。留学先の指導教官からすれば、助成金は自分の研究費にはならないので、そこまでモチベーションが高くないかもしれません。しかし、留学する側にとっては、渡航後の生活の質を大きく左右する重要な資金源です。その切実さをしっかり伝えて、相談の時間を捻出してもらいましょう。

研究テーマ決めには留学先のリアルな内部事情も大事

渡航前に、留学先で行う研究について構想するのは簡単ではありません。大きな理由の一つは、「留学先の内部事情をよく知らない」ことです。

たとえば、カリウム値と心房細動の関係に興味があったぼくは、心臓手術を受ける患者さんを対象に、高めと低めのカリウム補充閾値を比較するランダム化比較試験(RCT)を、留学先の指導教官に提案しました。留学先は年間1500件の開心術を行う、イタリアを代表する施設で、過去にも心臓手術を扱ったRCTを多く発表しています。そうした背景からも、よい研究案だと考えていました。

しかし、答えはNOでした。留学先では心臓手術患者さんのカリウム目標が5 mEq/Lと定められており、研究目的で標準治療を変更することはできないという理由だったのです。このように、外から見える「過去の論文業績」だけでは、実際に実施できるかどうかは判断できません。内部事情によっては難しい場合もあるため、早めに相談し、実現可能な研究プロジェクトを立案することが大切です。

研究テーマを固めたら出せるところに出し続ける

上でも述べたように、助成金によってフォーマットに多少の違いはありますが、書く内容はかなり重複しています。研究内容さえ早めに固まれば、さまざまな助成金に応募できるのです。

博士号(PhD)が応募要件に含まれている助成金は多いですが、PhDを持っていなかったぼくでも、最終的には4つの助成金応募を準備しました(結果的に4つ目を出す前に採択が決まったので、実際に出願したのは3つです)。

助成金ごとに、採択されやすいテーマや分野の傾向はあるかもしれません。しかし、応募自体は無料です。応募資格を満たしているなら、積極的に出してみることをおすすめします。また、助成金によっては過去の採択者を公開している場合もあります。もし知り合いや同じ分野の方が受給していれば、礼儀の範囲内でアドバイスをもらうのも有効な手段です。

まとめ

留学助成金獲得に向けて意識すべきポイントは、以下の3つです。

  1. 留学先が決まればすぐに指導教官と研究テーマを相談

  2. 研究テーマ決めには留学先のリアルな内部事情も大事

  3. 研究テーマを固めたら出せるところに出し続ける

昨今の世界的な物価高や円安の影響で、海外で生活する留学生の経済状況は厳しいのが実情です。そんな中、留学助成金を頂けると大きな助けになります。このnoteが、これから留学される方の助成金申請に少しでもお役に立てれば幸いです。

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小谷祐樹
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