
学会を楽しむ秘訣!目的別の回り方ガイド
学会に参加したことが少ない若手の方にとって、学会はお堅いイメージがあり、あまり楽しくないイベントだと思われることが多いかもしれません。正直に言って、ぼくも最初はそうでした。似たようなセッション名が並び、どの講演が自分にとって有益なのか、分厚いプログラム集を読んだだけでは把握しづらいですよね。
ただ、楽しみ方が分かれば、学会は非常に充実した経験になりますし、学会を通じてできたつながりがその後発展し、自分の可能性を広げることすらあります。そこで今回は、若手の方や医学生が学会を存分に楽しめるよう、目的別の学会の回り方をまとめてみました。
参加の目的を明確にする
まずは、「なぜこの学会に参加するのか」を考えてみてください。若い頃は、先輩に「参加したほうがいい」と言われた、あるいは発表する流れになったから、などの理由で参加することも多いでしょう。
とはいえ、せっかく時間とお金をかけて参加するわけですから、自分なりに目的を設定し、できるだけ楽しい時間にできたほうが良いですよね? そこで、目的のイメージがしやすいよう、いくつか例を挙げます。
その科の基礎をマスターしたい
自分の好きなトピックを徹底的に学びたい
知り合いを増やしたい
ざっくりした目標で構いません。ただ、一つテーマを決めるだけで、当日どのように動くべきかが見えてきます。では、具体的にどう回ればいいのか、例を挙げて考えていきましょう。
1.その科の基礎をマスターしたい
対象:医学生〜後期研修医
この目標は、まだその分野のトレーニングを完了していない若手の方におすすめです。たとえば、初期研修医や医学生、サブスペシャリティの学会であれば、後期研修医や専門医取得前の方が該当するでしょう。
どう回るか?
多くの学会では、その分野の基本的なトピックをカバーするセミナーを開催しています。学会ごとに名称は異なりますが、「リフレッシャーズ・セミナー」などと呼ばれることが多いです。専門家が講師を務めるこれらの講義は非常に面白く、学びが深いです。トピックごとに日時が分かれているため、メイントピックを追いかけるだけで、意外と日程が埋まるでしょう。
2.自分の好きなトピックを徹底的に学びたい
対象:初期研修医〜専門医取得前
この目標は、すでにその分野に興味を持ち、さらに深く学びたい人におすすめです。初期研修中でも関心があればより詳しく知りたくなるでしょうし、専門医取得前の方にとっても、自分の興味領域を深める良い機会です。
どう回るか?
特定のトピックは、一般演題、ポスター発表、教育講演など、さまざまなセッションで扱われています。ぼくが個人的におすすめしたいのは、パネルディスカッションやプロ・コンディベートなど、登壇者がディスカッションする形式のセッションです。
こういったセッションでは、「AとBの選択肢があるが、どちらが良いのか決着がついていない」ようなトピックが取り上げられます。これは日常診療でもよく遭遇する臨床疑問そのものです。
「あの患者さんの時、上級医はこう言ったけど、ぼくはこう思っていた。結局どっちが正しかったんだろう?」
と感じたことがある人も多いはずです。まさにその答えを、専門家のディスカッションを通じて学べる貴重な機会なので、ぜひ活用してください。
3.知り合いを増やしたい
対象:全員
これは学会の醍醐味のひとつです。全国の医療者が一堂に会する貴重な機会を活用して、他施設の知り合いを作るのは、純粋に楽しいですし、交友関係がどんどん広がっていきます。将来の研修先として気になっている他の病院の情報を収集する場にもなりますよ。
どう回るか?
一番話しかけやすいのは、自分の発表セッションの場です。発表前に座長の先生に挨拶し、他の演者とも話しておくと良いでしょう。また、積極的に質問するのもおすすめです。
「大勢の前でマイクを持つのは緊張する…」
と感じるかもしれませんが、発表者にとって質問は嬉しいものです。特にポスターセッションでは、質問しやすい雰囲気があるので、ぜひ挑戦してみてください。
最近は、学会の若手部会(U40など)の企画も増えています。同年代の医師と交流できる良い機会なので、活用するのもおすすめです。名刺は必須なので、忘れずに持参しましょう。
番外編:医療界以外の有名人の話が聞きたい
ぼくが最近楽しみにしているのは医療以外の分野から招かれた方の講演です。他の業界で成功した人の考え方や姿勢は、医療界でも応用できることが多いです。そのため、多くの学会では、特別講演として医療従事者以外の著名人を招くことがあります。
そんな方のお話を生で聞ける機会はなかなかないものです。是非特別講演に参加してみて下さい! 事前に講演者の経歴を少し調べておくと、より楽しめるでしょう。さらに、ここでも質問するのがおすすめです。自分の純粋な疑問をぶつけると、演者も喜んで回答してくれます。
予定外のイベントにも柔軟に対応しよう
学会で知り合った人に食事(ランチやディナー)に誘われたら、ぜひ行ってみてください。学会のフォーマルな場と、食事をしながらのカジュアルな場では、会話の雰囲気が大きく異なります。
セミナーがほとんどオンライン化した今、対面で他施設の方とつながれるのは、学会くらいしかありません。この貴重な機会を活かし、新たな学びや出会いを得てください。
まとめ
今回は、3つの目的別に学会の楽しみ方を紹介しました。どれか1つに絞る必要はなく、うまく組み合わせるのも良い方法です。せっかく時間とお金をかけて現地参加する機会、存分に楽しんでください!
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