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忙しい臨床医が読むべき論文を見逃さないための3つのコツ〜ICU編〜
前回・前々回と忙しい臨床医が読むべき論文が何か、そして読むべき論文をどう見つけるか、というテーマでまとめました。
今回は、ICU分野に特化して書いていきます。簡単に言えば、読むべき論文を見逃さないためのぼくなりのやり方をシェアさせていただく、そんなnoteになります。振り返りですが、忙しい臨床医が読むべき論文はこの3つでした。
1. NEJM・JAMA・Lancetに載ったランダム化比較試験(RCT)
2. ガイドラインやエキスパート・コンセンサス
3. 専門誌に載った良質な総説
そして、読むべき論文を見つける3つの方法がこちらです。
1. 雑誌のEメールアラートに登録する
2. 雑誌をSNSでフォローする
3. メジャーな国際学会をSNSでフォローする
では早速、集中治療医であるぼくがICU分野の読むべき論文をどのように見つけているかお伝えします。
1. どの雑誌をチェックすべきか
「読むべき論文」を見逃さないために登録している雑誌は以下です。
総合誌:NEJM、JAMA、Lancet
ICU専門誌:Intensive Care Medicine、Critical Care Medicine、Americal Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
総合誌の3つは大事なRCTだけでなく、良質な総説も出版してくれます。たとえば2024年にはLancetから心原性ショックの総説が出ています。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01818-X/fulltext
ICU専門誌では、「ガイドラインやエキスパート・コンセンサス」を出版しているものを優先的にチェックします。こうした論文は、ほとんどの場合、分野を代表する国際学会のサポートを受けて作成されるため、メジャーな学会が発行する雑誌を選ぶのがおすすめです。ICU分野では以下の組み合わせが重要です。
ヨーロッパ集中治療医学会(ESICM)→ Intensive Care Medicine
アメリカ集中治療医学会(SCCM)→ Critical Care Medicine
アメリカ胸部学会(ATS)→ Americal Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
そのため、総合誌3つとICU専門誌3つのEメールアラートに登録し、Xアカウントもフォローしています。
2. どの学術集会をチェックすべきか
ここでは「学会」ではなく、「学術集会」と表現しました。それは、ここで注目しているのが学術発表の場としての集会だからです。ICU分野の主要な学術集会は、以下の年間スケジュールで開催されています。
2月:SCCM(Society of Critical Care Medicine)https://x.com/SCCM
3月:ISICEM(International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine)https://x.com/ISICEM
5月:ATS(American Thoracic Society)https://x.com/ATSCritCare
6月:CCR(Critical Care Reviews)https://x.com/CritCareReviews
10月:ESICM(European Society of Intensive Care Medicine)https://x.com/ESICM
12月:CCR Down Under(Critical Care Reviews Down Under)https://x.com/CritCareReviews
最近では、大規模RCTがメジャーな学術集会でプレゼンテーションされ、同時にトップジャーナルに掲載される傾向があります。そのため、これらの学術集会の動向を把握することが重要です。ぼく自身もこれらの学術集会のXアカウントをフォローしています。
3. その他
「忙しい臨床医が読むべき論文を見逃さないための3つの方法」では触れなかったですが、ICU領域の「読むべき論文」を見逃さないためにオススメしたいソースがあります。それがCritical Care ReviewsのWeekly Newsletterです。
Critical Care Reviewsは、学術集会のところでも触れた名前なので、覚えていた方もいらっしゃるでしょう。年2回の学術集会も素晴らしいのですが、このニュースレターは、毎週、直近1週間に発表されたICU関連の論文をリスト化して送信してくれます。1回のニュースレターに40~50本の論文が含まれており、RCTをはじめ研究タイプごとに整理されているため、興味のあるテーマを効率的にチェックできます。年間サブスクリプションは20ユーロ(約3200円)で、自分で論文を検索する手間を考えればコストパフォーマンスは良いと思います。
Eメールアラートを活用するコツ
最後に、Eメールアラートを効果的に活用するためのコツをお伝えします。いくつかの雑誌のアラートに登録すると、非常に多くのメールが届きます。そのため、「読むべき論文が含まれているかを一度で判断する」ことをルールにしています。
具体的には、アラートのメールを開けたら、すぐにタイトルを確認します。読むべき論文があると判断したら、その場でリンクを開き、PDFをダウンロードしてDropboxに保存します。もし忙しくてダウンロードできない場合でも、ブラウザで論文ページを開いておきます。その後、メールは削除します。読むべき論文がないと判断した場合も、その場でメールを削除します。これにより、メールの積読を防ぐことができます。
まとめ
ICU分野の「読むべき論文」を見逃さないためにぼくがやっているのは
雑誌のEメールアラート・Xアカウントフォロー:NEJM・JAMA・Lancet・Intensive Care Medicine・Critical Care Medicine・Americal Journal of Respiratory and Critical Care Medicine
メジャーな学術集会のXアカウントフォロー:SCCM、ISICEM、ATS、CCR、ESICM
Critical Care ReviewsのWeekly newsletter登録
の3つでした!この方法が少しでもみなさまのお役に立てれば嬉しいです。
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![小谷祐樹](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167829068/profile_81efc1bf0a9c5364e6e0c64f70b691eb.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)