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コロナ禍留学を決めた部長の一言

「本気で留学したい人はリスクを負ってでも行く。小谷がどれだけ行きたいか次第だ。」

僕は留学のために、2022年4月に日本を発ちました。その決断をしたのは2021年1月。直属の部長と面談したときです。理由をつけて留学を延期しかけていた僕は、この言葉に背中を押されて留学準備を真剣に始めました。

留学したくて亀田に

救急・集中治療を専攻し、研究にも手を付け始めた後期研修医のころから、海外留学に憧れるようになりました。せっかくなら留学経験をもつ人のもとで働きたいと思うようになり、2018年に林淑朗部長のいる亀田総合病院に移りました。

赴任して1年経った2019年、亀田での臨床に慣れてきた頃に、初めての多施設研究に取り組み始めました。研究計画の立案、データ登録フォームの作成、参加施設との連絡…全てが初めてのことで、なかなかうまくいきませんでした。さらに他にもいくつかの研究に関わりましたが、それらも勝手がわからず苦労の連続でした。

そして、コロナ禍に

2020年に始まったコロナ禍の影響で、研究は一時中断を余儀なくされました。どの施設もそれどころではないので当然です。データ収集はやむなく延期。その間、僕は待つしかありませんでした。その間にできる研究を進めればいいのでは?と思われるかもしれません。ただ、そちらも進め方がわからないまま、手つかずで放置していました。

今なら、「研究に不測の事態はつきもの」「わからないことは早めに相談」と落ち着いて対応するでしょうが、当時の僕にはできなかったんです。結果的に、「進めなきゃいけない→でも進め方がわからない→進まない→進めなきゃ→…」と思考は悪循環をたどり、最終的に「研究なんてしたくない」と思うまでに至りました。

一度部長に相談しよう

研究はうまくいかないし、コロナも収束の気配がない2021年1月。留学の計画なんて立てられなくなった僕は、林部長に今後の進路を相談しました。このとき、実は国内での異動も考慮していました。この先数年間コロナは収束しないだろうし、海外留学なんて無理と決めつけていたんです。僕が考えを伝えると、林部長にこう言いました。

「本気で留学したい人はリスクを負ってでも行く。小谷がどれだけ行きたいか次第だ。」

林部長の知人には、コロナワクチンもまだない2020年夏に、コロナ真っ盛りのヨーロッパに留学した方が複数いらっしゃったそうです。僕が進路相談した2021年1月は、日本でも医療従事者向けのワクチン接種がまもなく始まるタイミングでした。1年後の留学開始なら、ワクチン接種を済ませており、リスクも減ると予想できました。さらにこの時期は留学する人が少ないので、希望する施設に行きやすく、留学助成金が取れる可能性も高まります。

林部長の言葉は、「進まない研究」や「先の読めないコロナ禍」を言い訳に留学を延期しようとしていた自分に気づかせてくれました。僕自身どれだけ留学に行きたいかを再認識した結果、コロナ禍の今こそチャンスと捉えて、渡航準備を始めるべきだと気持ちが切り替わりました。この日以降、「2022年4月から絶対に留学する」と決め、どこに行くか、何が必要かを本気で考え始めたのです。

幸運なことに、僕は2022年4月から2年間留学生活を送ることができました。「あの時、部長に相談しなかったら」「相談したけど別の決断をしていたら」…夢だった留学は叶わなかったかもしれません。僕の心の迷いを見抜いて、留学を後押ししてくれた林部長には本当に感謝しています。

まとめ

  • 進路に迷ったら信頼できる上司に相談

  • コロナ禍も捉え方次第でチャンスになる

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小谷祐樹
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