1分で大切なことを伝える技術/齋藤孝#69
「聞かれたことに答える」という基本ができているか。
本書の目次に書かれてあるこの一文を読んで、ぎくっとした。
まず1分で大切なことを伝えられるかということは一旦置いて、この基本ができているかいないか。
結果、できていない。
本書を読んで、「聞かれたことに答えているか」ということに注意して人の話を聞いてみた。実際には、真っ当な受け答えができている人は意外と少ない。
私自身も、「あれ?私の話って質問の答えになってないよね」と話しながら分かっているのに、話があっちにいったりこっちにいったりしながら答える時がある。
そんな状況で1分で話がまとまるはずもない。
結局この人は何が言いたいのだろう、と思われるだけで伝えたいことの半分も伝わってなかったりする。聞く側としても「答えになってない」と思っていることだろう。
本書ではこの対処法について、「まずは自分で問いを設定し、回答してみる」という訓練をおすすめしている。さらには、「具体例を二つ入れて話せ」とも。
続いて本書は"言いっぱなし"をやめて常にチェックする習慣を持つことが重要だと、「心のチェックシート」を紹介している。
正直、ここまでまだ38ページしか進んでないのだが、得るものは大きい。
1分という時間的制約のある中で、気をつけるべき要点をまとめている。
しかし本書でいう「伝える技術」=「話術」ではない。
人にものを伝える際に、まず重要なのは「伝えるべき意味があるのか」ということ。コミュニケーションとは、基本的に意味をやり取りするものであって、意味が不明瞭であれば英会話ができたって伝わらないと述べてある。
中でも最近心に刺さったのは、「仕事の本質に時間を割くためにも、説明は1分以内にすべきである。」という一文だ。
「忙しい人への提案は、短時間であるほど喜ばれる」という項で述べられているのだが、音楽制作とライターという仕事をしている身の私にとってこの言葉は強く意識しなければならないと思っている。
私の場合、メールかLINEまたはSlack等を使って仕事関係の方とやりとりをすることが多い。ZOOMなどは直接話さなければ伝わりにくいことや、急ぐ場合に用いる。
文字で書き起こす場合は、自分のタイミングで送信すればいいので見直すことができる。なので質問に対して答えになってない、ということはあまりないのだが、伝えなくてもいい内容が入ってないか、ということは気をつけなければならない。
新聞やネット記事などの文章は自分で選ぶことができるし読むのをやめても良いが、仕事では文章を読まなければならない。余計なものを入れてないか自問自答した。
入れまくり。
確かに事実としてそうだったけど、伝える必要はなかったかも、ということも思い返せば多々ある。
ホウレンソウ、と言いますから、なかなかその「伝えるか伝えないべきか」という点を取捨選択するのは難しいのだけれども。
慌ただしい毎日を過ごす現代人に、簡潔にまとめて話す力は必須なのではと感じている。