社会はまだまだ不便だったって話
先月、人生初の骨折をしてしまった。
自宅で階段を降りているときに、あやまって足を踏み外した。
「両手に荷物を持って降りなければよかった!」と気づいたときには既に遅し。
ゴキっという音ととともに転倒と激痛、一歩も歩けなくなってしまった。
左足の舟状骨骨折で、普通に歩けるようになるまで3ヶ月、全治6ヶ月。
それから松葉杖と車椅子の生活がスタート。家のなかではケンケンかハイハイで移動だ。
松葉杖さえあれば、どこでも移動できるだろうという私の考えは甘かった。
松葉杖を握る手も脇も痛いし、紙一枚持ち歩くこともできない。
そんな「不便だな」という療養生活が始まった。
子育てと共通の大型ショッピングモールの有り難さ
わたしは熊本市在住で、実家は宮崎にある。
骨折をしたときに、たまたま母が熊本に数週間滞在していたため、そのまま身の回りのお世話をしてくれている。大変ありがたい。
とはいえ、すべてを母に任せるわけにはいかない。
65歳であるし、わたしには2人の子供がいる。
とりあえずお買い物にどうしても行かなければ、というときには大型ショッピングモールに行った。なんとなくではあるが、車椅子の貸し出しがあったと記憶していたからだ。
ありがたいのは、ショッピングモール系の車椅子は大体入り口付近に置いてあること。そして無料貸し出しであることだ。ありがとうゆめタウン、イオンモール。
ちなみにゆめタウンとは広島に本社を持つイズミが経営する総合スーパー、大型ショッピングセンターだ。ちなみになぜか九州は宮崎にだけ店舗がない。
車椅子も乗ってみるとわかるが、腕の力が必要なので楽なわけではない。
が、転倒のおそれのある松葉杖で歩くより安全で、早く移動することができるので大変助かった。
特に乳児を育てているときには、モール系には本当に助けられた。授乳室やおむつ替えも行きやすく、場所もしっかりと確保されている。
ちなみに欲を言えば、車椅子のアップデートをして欲しいなとは思った。古い車椅子は重くて、方向転換もしにくいのだ。
意外と多い段差
母に付き添ってもらって、車椅子に乗って出かけたときだった。
歩いているときには気づかない段差があちこちにある。
もう本当に些細な段差も、車椅子では乗り越えられないことがあった。
段差は怖い。骨折したから余計怖いし、松葉杖ではつまづいてバランスを崩すこともしばしば。
お店のなかでも、「ええ!ここ少し坂道になってる…!」とスーッと車椅子が動いてしまってヒヤヒヤすることもあった。
正直、歩いているときには全く気づかない段差。
しかも車椅子に乗っていると、お店の陳列は見えやすい、とは言い難い。
仕方がないこととはいえ、なんだかすごく社会に取り残されているような、排除されているような気持ちになった。
社会は意外と不便だった
とはいえ自宅で仕事をしていることから、そもそも外出が多くはない。
なので不便さを感じたのは一部なのかもしれないが、もっとバリアフリーな世の中はどうしたら作れるんだろうかと思った。
社会に取り残されたような気持ちは、育児中にもあった。
大多数の人とわたし。
選択肢が減ると狭い世界にいるような気がしてくる。
わたしは思う。
経験した人にしかわからない気持ちや体験がある。それを声にして人に伝えていくことでしか、社会を変えていくことはできないのではと。
親切に声をかけてくれた方々や助けてくれた方に感謝しつつ、そんなことを思う療養期間なのである。