三途の川の渡り方/水木しげる#82
私の父は本が好きで、家の本棚には天井まで新書や小説などが並べてあった。
その中から自分が理解できそうな本だけ読んでおり、中でも面白かったのがこの「三途の川の渡り方」である。
水木しげるのエッセイで現在は販売されていないようだが、1章「三途の川の渡り方」、2章「地獄ツアー」、3章「霊と暮らす」、4章「おばけのいる人生」で構成されている。
漫画家・妖怪研究家である水木しげるが、あの世や地獄、霊や妖怪の言い伝えなどを紹介している本だ。
私の父は神話の話が好きで「出雲大社に行きたい」と言って、本当にひとりで行って帰ってきたことがある。結構変わっている人だと思う。
そんな出雲大社の歴史や言い伝えも詳細に綴られており、イザナギ、イザナミの伝説や因幡の白兎の話なども書かれてある。
また、例えば四十九日とは何か、とか三途の川の渡し賃など、「聞いたことはあるけれど詳しくは知らない」といったことまで説明がある。
伝承や信仰、宗教や死生観の捉え方について書かれており、ところどころ水木しげるの迫力ある挿絵があるのも本書の魅力。不気味な伝承の話を読んだ後に挿絵を見ると、ゾッとするものもある。
「あの世」とはどういった場所なのか、「あの世」を知ることでこの世の見方が変わる。
近所のお爺ちゃんやお婆ちゃんからよく言い伝えや妖怪の話を聞いた、なんて今ではなかなか知ることのできないような話が盛り沢山で、あの世を知ることで今を愉しく生きることができる気がする。
三途の川を渡ってあの世に行くのも、なかなか大変みたいですよ。