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コペンハーゲンの、白菜のサラダ

あれは暑い夏の日のことだった。
コペンハーゲン。
お皿の上には、ミートボールとサラダがのっていた。
18歳の夏休み。初めてのヨーロッパは、観るもの聞くもの、全てが新鮮だった。
バックパッカーの旅では、立派なレストランに入ることもなく、ランチはもっぱら屋台のホットドッグや安食堂だった。

そんなある日、私の目の前に登場したのが、白菜のサラダだったのだ。
ざくざく切られた白菜は、ずいぶん前もって用意されていたのか、パサパサ乾燥気味で、その上にオレンジ色のとろんとしたドレッシングがかかっていた。
当時の私の辞書の「白菜」の項目には「生で食べる、サラダにも」なんていう記述はなく、「えー、白菜?キャベツじゃないの?」とびっくり仰天。
おそるおそる食べてみたものの、瑞々しさを失った白菜に、甘ったるいオーロラドレッシングはなんとも奇妙で、うーん、こっちの人はこういう味が好きなんだ……と食文化の違いを感じたものだったのだけれど。

いつの頃からだろう、我が家の定番に「白菜のサラダ」が加わったのは。
よく組み合わせるのは、りんご。
小ぶりで酸味もしっかりある紅玉が好み。
皮はきれいに洗って、いちょう切りにして、真っ赤な皮の色も楽しむ。
クルミを加えると香ばしさと歯触りの変化がまた楽しい。
しゃきしゃき、さくさく、かりっ。

料理教室でも紹介したことがあるのだけれど、「え、白菜、生で食べるんですか?」とあの日の私のような反応が返ってくることも多くて、ついつい、うふふ、と笑ってしまう。
そんな人も、一口食べたら、「あ、有りかも」とすぐ受け入れちゃうのだけれどね。


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