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ひんぎゃの塩のこと、青ヶ島のこと。

昨日、テレビをつけたら、知ってる方が。
あ、そうだった!放映されるってInstagramで告知されてた、と思って、慌ててじっくり見ました。

登場されていたのは、青ヶ島で「ひんぎゃの塩」を作るアリサさん。
友人の紹介で数年前に知り合い、「ひんぎゃの塩」の一押し商品、「ひんぎゃの水塩」を使ったレシピを考案する、というお仕事を引き受けました。
ほとんどはメールでのやり取り。

なぜなら彼女が住む青ヶ島は、八丈島のまだ南、伊豆諸島の島なのです。
アメリカの環境保護NGO「ONE GREEN PLANET」が2014年に発表した「死ぬまでにみるべき世界の絶景13」に、日本から唯一選ばれた場所でもあります。(検索すると素晴らしい写真や映像が出てきますよ!)

青ヶ島に行くには、まず八丈島まで行って、そこから船かヘリコプター。
が、これが一筋縄ではいかない。
青ヶ島って断崖絶壁の孤島なんです。
やっと港ができたものの、海が荒れると着岸できない。就航率は50ー60%。八丈島からの定期便が週5回といっても、来ない日も多い。

ちなみにこちらは漁船が利用する港。

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夕景。
大波が来ると、飲み込まれてしまいます。
鉄塔とワイヤーが見えますが、これは下の写真につながります。

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波が荒く、船を停泊させていられないので、クレーンで吊り上げてこちらに格納し、使う時にクレーンで港に下ろすのです。

へリだと八丈島から30分。ヘリの方が就航率は高いのだけど、1日1便、定員9名という狭き門。1ヶ月前から予約ですが、電話がつながらない、有名アイドルのコンサートチケット並のプレミアムチケットなのです。

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こんな状況だから、住民のアリサさんでさえ、島外に出るのは大変。
出かける予定が決まったら、1ヶ月前の日に電話に張り付いて、ヘリの予約を取る、というのが一番の関門らしい。
やっとお会いできたのは、島外の高校に在籍するお嬢さんの卒業と、大学入学のタイミングで、東京(あ、青ヶ島も東京だけど)にいらっしゃった時、麻布十番のカフェで、でした。
お仕事の打ち合わせが中心だったのですが、青ヶ島のお話も。

いつか必ず青ヶ島に行きます!と宣言してこの日はお別れしました。
実はこのお仕事を受けるまで青ヶ島のことを知らなかった私。
でも知れば知るほど、話を聞けば聞くほど、行きたいと思う憧れの場所になりました。
ただ、調べれば調べるほど、ハードルが高いこともわかったのでした。

お仕事のレシピも納品し、紹介してくれた友人とも、青ヶ島に行きたいね、と言いつつも、なかなか具体化せずぐずぐずしていたら、昨年、なんとチャンスが巡ってきました。

青ヶ島にはひんぎゃの塩以外にも名物がありまして、それが青酎。
青ヶ島の焼酎です。
この青酎と熟成鮨とのペアリングの会にお声かけ頂きまして、青酎の面白さに目覚めました。
続いて、青酎好きで集まりましょう、と我が家で青酎飲み会。
その流れで、「青酎ツーリズムに発酵に詳しい料理研究家として参加しませんか?」とお話をいただいたのです。
なんとなんと、憧れの青ヶ島にお仕事で行けるなんて!と大興奮。

スケジュールは開けてスタンバイしていたものの、実際にヘリの予約が取れるまでは確定ではない。
八丈島まで行ったとしても、そのヘリが飛ぶかどうかは当日までわからない、という状況でしたが、綱渡りのような奇跡が重なって、昨年12月初めに上陸しました!
八丈島は曇り空だったのに、青ヶ島上空は快晴。

青ヶ島ヘリからの風景

ヘリの窓から撮った写真。

青ヶ島では、ガイドの智史さんに島を案内いただきました。

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島で一番高い、大凸部(おおとんぶ)は標高423m。
島は二重火山の独特の形状をしています。

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青ヶ島の自然や歴史、文化、宗教やお祭のこと、青酎のこと。
いろいろ書きたいことはあるのですが、今日はひんぎゃの塩のことを。

火山島である青ヶ島は、今もカルデラの内側に地表から湯気が立ち上る場所があります。

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これが「ひんぎゃ」と呼ばれているところ。地元の言葉で火の際という意味。地熱を利用したサウナや釜があります。
この周辺は地面も熱い。まるで床暖房。

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私たちはランチ用にお芋や卵やくさやをここで蒸しました。
この並びに、「ひんぎゃの塩」の工房もあります。

海水をこの工房に運んで、ひんぎゃの地熱蒸気を使って水分を蒸発させ、どんどん濃い塩水にし、塩を作ります。
特別に見学させていただくことができました。

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私たちが行ったのは12月でしたが、この工房内は夏のような蒸し暑さです。
ひんぎゃの蒸気は火山蒸気にしては珍しく、無臭無毒なのでこのように塩作りに活かせるとのことでした。

この断崖絶壁の島で、海の水を使って、地熱蒸気で作られるお塩です。
ナチュラルもナチュラル!
全ての工程が手作業。
特に、塩の中の不純物を取り除く作業が、根気がいる大変な作業だそう。

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しかも作り手のアリサさんがとても情熱的な方なのです。
青ヶ島のご出身ですが、高校から島を出て(島には高校がないので進学のため島を出る人が多い)、東京の劇団で女優さんをされていました。
島に帰って、始められたのが、この塩作り。
軌道にのるまでご苦労も多かったよう。
昨日のテレビでは、その時にもらった
「良いものはゆっくりでも必ず広がっていきます」
という言葉に力をもらった、とお話しされていました。
キリッとした塩味の後に広がる甘み。
アリサさんのパッションが込められた、美味しいお塩なんです。

アリサさんとは到着した日に、島で一軒しかない居酒屋でお会いすることができました。
こんなところで会えるなんてー!と抱き合って再会を喜び、おじさんたちのカラオケが響く中、青酎で乾杯。
行きたいな、と言いつつも、なかなか実現しなかった青ヶ島行きが叶って、アリサさんと島の居酒屋で乾杯してることが、もう奇跡のようで。

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また行きたい。
次回は塩作りのお手伝いもしたいし、島の食材で料理もしてみたい。
青酎の麹作りも見てみたいし、芋むきももっと手伝いたい。
智史さんの説明を聞きながら島中歩き回りたいし、環住太鼓もまた叩いてみたい。
村の人の話ももっと聞いてみたい。

残念ながら今の状況では、同じ東京都内とはいえ、離島に行くことはできないのが現実。

でも、きっとまた行けると信じてる。
次に行った時には、サウナに入って、ひんぎゃの近くの地面に寝そべって、満天の星を見ながら、青酎で乾杯したいな。

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ひんぎゃの塩のHP http://hingyanoshio.com/
私の「ひんぎゃの水塩レシピ」もちらっと紹介されています。
よかったらご覧ください。

この時の青ヶ島ツアーの様子は雑誌「島へ。」に掲載されています。
島好きにはたまらないディープな内容です。
http://www.kaifusha.com/backnumber/index.html

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