『戦争と資本』読書感想
あまりにも難しい本で目が滑る。って感じの、政治経済学の書籍だ。書いているのは哲学者二人。簡単に言うと、
世の中の人は戦争の対義語は平和だと思っている。しかし実際は、軍事が動く戦争をやっていない時期、と言うのは平和というより、資本による別の形での戦争=収奪が行われているんだよ。それを世界内戦と呼ぶとする。多くの人たちは、世界内戦を認識できていないんだ。
みたいな話だったと思うのだ。
1492年を資本主義発生の紀元ゼロ年だとすると、内部植民地化と外部植民地化が並行的に進み、相互に強化され、世界経済を規定する。この二重の植民地化がマルクスが本源的蓄積と呼ぶものだ。
そしてその内部植民地化に、フェデリーチが言う「魔女狩り」がある。具体的には、ミソジニーが隆盛し、女性へのレイプが事実上合法化されることにより、最もクーデターを起こしがちな貧困層の若い男性のガス抜きをさせる、性政治が行われる。女性は人体の資源化が起こって家父長制に所有。奴隷化され、反抗すると凄まじい弾圧、虐待、虐殺されてゆく。ヨーロッパでは、その魔女狩りが数世紀続いた。凄まじいことだ。
これらは一見戦争ではないが、内部植民地化という世界内戦の一種。
マルクスのいう本源的蓄積っていうのは、資本主義初期の囲い込みによる労働者の貧困化、流動化のことも指すんだけど、実際は伏流として今もずっと起こっているよ。みんなに意識されていないだけで。
それを表沙汰にして、きちんと決着をつけないといけない。