企画室【身体性の先を見る】リザ・リム②
2019年9月2日に下北沢ハーフ・ムーン・ホールにて行われるコンサート「身体の先を見る」に関連した、ちょっとしたコラム。ゆきちか続編です。
企画室【どんなコンサート?】
企画室【身体性の先を見る】アアロン・キャシディ①
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わたなべ:この前、さっきょく塾でリザ・リムの話をしてくれたじゃない。
それでね、アボリジニアートって全然知らなかったから、少し調べてみたのね。とっても鮮やかで、独特の造形だよね。
森下:彼女がまだマンチェスターに住んでたころ時々泊まりにいってたんだけど、大きなアボリジニーの絵が家中がかかっててすっっっごい素敵だったの!薄ピンクの壁の家で、ステンドグラスの窓があって、庭もすっごく豊かで。あの家大好きだったなあ。
わたなべ:鮮やかで目がちかちかする感覚に、生命力を感じる。リザの作品ってとっても根源的だよね。
森下:うんリザはそれを「Shimmering(チラチラ煌めく)」ていう風にいってたんじゃなかったけな。「根源的」ってどういうこと?
わたなべ:リザ・リムって、彼女の感覚に寄り添って曲を書いているイメージなんだ。何か別のものに語らせてない。プリミティブとも言い換えられるかな。プリミティブの反義語がデリバティブ、つまり彼女は派生的ではない気がする。
森下:ああなるほどね、それなら少しわかるかも。
わたなべ:わたし、アドリアナ・ヴァレジョン(adriana varejao)ってブラジルのアーティストさんが好きなの。1964年生まれのブラジル人女性作家さんなんだけども。
森下:その人知らない。どこがリザと関係してると思うの?根源的っていうところ?
わたなべ:元ポルトガル領としてのブラジルっていう視点がまずあると思うんだけど、そもそもブラジルって多文化社会、多民族社会として知られてるじゃない?その、マルチカルチュラルなところも、どこか共通点がある気がするんだよ。
リザ・リムももともと華僑で、ブルネイで幼少期を過ごしたんでしょ?今はオーストラリアを拠点にしているけど、題材としてアジアのものだったり、文化を跨いで作品を作ってる。
私がリザに感じる、どこにも属していない雰囲気が、強いて言えば共通項なのかもしれない。
森下:なるほどね〜。
関連作品:リザ・リム(Liza Lim): Invisibility (2009)
企画室【身体の先を見る】ユルク・フレイにつづきます。次回更新は、8月4日です。お楽しみに。
森下・わたなべのふたりが講師をつとめるProject PPPの三日間のコンポジションアカデミーは2019年は9月2〜4日に開催予定。オンナ作曲家の部屋vol.2、稲森安太己によるゲストレクチャー、Vln&Vcコンサート、グループディスカッションなど。
9月2日(月)、下北沢ハーフ・ムーン・ホールにて行われるオープニングコンサート「身体の先を見る」では、中山加琳のバイオリンと、北嶋愛季のチェロで、アーロン・キャシディ、ユルク・フレイ、リザ・リム、シモン・ステン=アナーセン、そして森下周子の新作をお届けします。
お得な前売りチケット(3000円)のお申込みはこちらから。