企画室【身体性の先を見る】アアロン・キャシディ②
2019年9月2日に下北沢ハーフ・ムーン・ホールにて行われるコンサート「身体の先を見る」に関連した、ちょっとしたコラム。ゆきちか続編です。
企画室【どんなコンサート?】
企画室【身体性の先を見る】アアロン・キャシディ①
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ゆきこ:この前話してたアアロン・キャシディ(Aaron Cassidy)の「The Clutch of Memory」の楽譜。あれって弦楽器のための楽譜なのに、所謂ト音記号やヘ音記号で書かれた音程、全く書いてないよね。
ちかこ:そうだね、いわゆるタブラチュア。
ゆきこ:タブラチュアってギターで言うところの「タブ譜」のこと?邦楽器でも、数字や漢字で楽譜が書かれてたりするよね。
ちかこ:そうそう、「結果として鳴る音」ではなく「どうやって動くべきか」身体動作を記したものって言ったら良いのかな。箏の楽譜にしても、どの絃を弾いてベンドさせるかの指示書でしょう?
ゆきこ:音じゃなくて身体動作か。でもなぜそういう記譜を使うの?アアロンは「タブラチュア」で何をしようとしてるの?
ちかこ:ええ〜本人に聞いて (´Д` ) (笑)
ゆきこ:でも理由があるからそれをやるわけでしょ?
ちかこ:そもそも彼にとって(そして私にとっても)「作曲=音を書く」ではなくて、「作曲=パフォーマンスの創作」だと思う。その観点の違いは大きいと思うよ。
ゆきこ:鳴る音がすべてではないってこと?
ちかこ:研究分野では「パフォーマンス・プラクティス」っていう言い方をするんだけど、焦点をどこに絞るかじゃないかな。「結果として鳴る音」じゃなくて「生成のプロセス」に比重を置く。タブラチュアっていうのは「演奏家がどうやって動くか」の指示書だから。てかこういう会話、何年か前にとある有名な作曲家の人とした覚えがあるなあ、「キャシディがやってるのは作曲なのか?」って。
関連作品
アアロン・キャシディ(Aaron Cassidy):Crutch of Memory
森下・わたなべのふたりが講師をつとめるProject PPPの三日間のコンポジションアカデミーは2019年は9月2〜4日に開催予定。オンナ作曲家の部屋vol.2、稲森安太己によるゲストレクチャー、Vln&Vcコンサート、グループディスカッションなど。
9月2日(月)、下北沢ハーフ・ムーン・ホールにて行われるオープニングコンサート「身体の先を見る」では、中山加琳のバイオリンと、北嶋愛季のチェロで、アーロン・キャシディ、ユルク・フレイ、リザ・リム、シモン・ステン=アナーセン、そして森下周子の新作をお届けします。
お得な前売りチケット(3000円)のお申込みはこちらから。
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