安野太郎レクチャー①
さっきょく塾、今期は「楽器・非楽器」をテーマに進めていきます。楽器とは何か?そしてその範疇は人により異なるものであります。子供にとっては食べている食器さえもすぐ楽器になってしまう。そのモノのどこに、音楽を見出すのか、それも作り手自身が発見していくものなのかもしれません。ジモン・ルンメル、ナ・ソクジュ、Ana Dall'ara-Majek、アンスガー・ベステ、Sergey Khismatovに続き、安野太郎レクチャーから一部を抜粋でみなさまにお届けします。
安野太郎の「楽器・非楽器」
わたなべゆきこ(以下わたなべ):さっきょく塾では半年に渡って「楽器と非楽器」について勉強をしてきました。今日は、ご自身で独自の楽器を作っていらっしゃる安野さんに、その辺りの考えをお聞き出来たらと思っています。
安野太郎(以下安野):楽器の話ってなると、ABS樹脂のリコーダーは楽器なのか、とかね。あれは、工業製品だろうとか。色々ありますよね、例えばピアニカは楽器なのか。そう思うと、ピアノは楽器なのか。工業製品なんじゃないか?殆ど車みたいなものだしね。その辺りの境界ってなかなか、、その話をしているだけで一時間くらいかかっちゃうんじゃないかと思うんだけど。
わたなべ:もともと「楽器」と認識されていたものに対して疑問をぶつけるタイプと(リコーダーは楽器なのか?ピアノは楽器なのか?)、そうじゃないもの、例えば鉛筆とか、ライトとか、そういうものを楽器として楽曲上で扱ってみるっていう二通りの考えがあるんじゃないかと思っていて、後者の場合に、どこまでを楽器と見なすかは、作曲家によって幅があるところなんじゃないかと思うんです。
安野:そうですよね。そして、音楽大学の作曲科的な考えで行くと、楽譜上に書けるかどうかっていうこともありますよね。
わたなべ:あと権威的な話で、これまでの歴史の中で「楽器として認められてきたか」っていうこともありますよね。
安野:そうだなぁ。でもエレキギターは楽器って言いたいなぁ。これは、僕自身が「ここまでは楽器です」って結論を出すより、これをネタに一晩話した方が面白いかもしれませんね。
わたなべ:そうですね(笑) それでは、さっきょく塾のみなさんの中で、安野さんの作品について知らない方もいるかもしれないので、これまでの音楽歴などについてお聞きしても良いですか。
安野:はい、一応スライドを作ってきました。
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