幸せの尺度は、人それぞれ。
「ミナリ」という映画を見てきました。
アカデミー賞のノミネート作品ということで話題になっていますよね。頻繁に映画に行く方ではないのですが、ちょうど仕事がお休みで、レディースデーだったこともあり、ふと行ってみようと思い立ちました。
映画開始前の予告って楽しいですよね。あの時間、わりと好きで。映画館で予告を見ると、全部おもしろく見えるのでいつも不思議です。5月末に上映される葛飾北斎を描いた映画もとてもおもしろそうだったなぁ。絶対見たい。
「ミナリ」の方はと言うと。
そもそもここ最近、2時間くらい集中して映像を見ることが少なかったので、見終わった後は心地よい疲労感がありました。
ネタバレになるので内容そのものはあまり書かないようにしようと思いますが…ひとまず、見終わった後に自分の感情に耳をすませてみました。この映画、どうだったかなぁと。誰かと一緒に見に来ていたら、どんな感想を話すだろうか、と。耳をすませて感じてみると「おもしろい」でも「感動した」でも「こわかった」でも「心あたたまった」でもないことはわかりました。
果たしてこの感情をなんと言うんだろう…とあれこれ考えました。言葉を探してみたのですが。むずかしい。語彙力のなさをここで痛感。
ただ一つ言えることは、はっきりとした結論や落としどころがないからこそ、いろいろ考えられる、ということです。
この映画は何を伝えたかったのだろう。
何を描こうとしていたのだろう、と。
「良い映画だった」と陳腐な感想でまとめるのではなく、こうだったのかな、それともああだったのかなとあれこれ考えることにきっと価値がある。
帰り道をてくてく歩きながら考えたのは「何が幸せか」は人それぞれ違うんだよなぁ…ということ。
幸せの尺度が違う人たちが関わる中で、ぶつかり、葛藤が生まれる。夫婦間でも違うし、親子間でも違う。それに加えてお金のことや、健康のこと。夢。何を選びとったらいいのかに答えはなく、その答えが人それぞれだからこそ、「共に生きる」となると難しい。
でも共に生きているからこその、優しさや、あたたかみもある。登場人物一人ひとりの表情がとても繊細で、「今、何を思っているんだろう」に思いを馳せては、共感できることも、共感できないこともありました。
総じて、見てよかった。
今まではわりと起承転結がしっかりしている作品、結論や落としどころがはっきりしている作品を見ることが多かったのですが、選り好みせず、いろいろ見てみようかなと思えました。
もちろん「おもしろかった!」「ハラハラした…」とわかりやすい感情になることもスカッとして楽しいと思いますが、自分がどんな感情になるのかわからない作品を見るというのも、未知に出会うようでおもしろそう。ワクワク。
「ミナリ」、見るかどうか迷っている方がいたら、ぜひ。