双子の出産は誇らしい
人生100年時代と言われる。
私はまだその半分を行くか行かないか、というところだが、私の人生で最も誇らしいことはすでにやった。
それは、双子を下から産んだことだ。
38週に入ったその日、朝から誘発分娩の点滴をしていた。
時々ギューとお腹が張ってカチカチになるので、これは陣痛か?とドキドキするのだが、良く分からず。助産師さんに私が陣痛に気付いてないだけ?と聞くと「陣痛が来たら絶対分かるから大丈夫」と答えにならない答えが返る。
結局、陣痛がつかないまま点滴は終了し、夕方主治医の診察があった。診察中、急におもらししたような気がした。
「破水しましたね。たぶん明日の朝くらいには産まれますよ。頑張りましょう。」
そうか、明日の朝か、と緊張しながら診察室を出て自分の病室に向かうが、途中から歩けないくらいにもう、痛いのなんの。ほんの10mくらいの廊下を息を詰めて痛みをこらえながら、ガクガク震える足で必死に歩き、ベッドに倒れ込むなりナースコールを押した。
助産師さんがやってきた時にはもう陣痛の間隔は3分おきくらいになっていて、ストレッチャーに移すこともなくベッドごとガラガラと別室に運ばれた。
別室に入った時には子宮口7cm開いていた。陣痛室も分娩室も空きがなかったらしく、1時間くらいはその部屋で過ごしていただろうか。途中で夫が来たのだけれど、どんな会話をしたかろくに覚えてない。
ようやく分娩室に運ばれたのだが、もうその時には産まれる寸前。分娩台の足置きを調整する間もなく、数回いきむがなかなか出てこないのでまずは吸引分娩で一人目が産まれた。
その途端、陣痛がなくなった。
ん?私はどうしたらいいの?
主治医がいきんで!と言うが、陣痛がないといきみたい感じがしないので、どこにどう力を入れたらいいのか分からない。別な医師がお腹をグイグイ押すが、それでも降りてこない。
「このままだと子宮口が閉じてしまうので、破膜します」と、主治医が人工的に二人目の破水を起こすと。
キター!陣痛キター!!
ついさっき終わったのに、二回目キター!
二人目は殿位(逆子)だったが、一人目が産まれて広くなった子宮の中でのびでもしたのか、胎位は全足位。帝王切開に切り替わってもおかしくない状況だったが、「ここまできて帝王切開は嫌だ!絶対下から産んでやる!」と闘志に燃えた私は、長ーくいきむこと一回で無事に産むことができた。(いや、無事に産まれたのは足位の子をとりあげた医師の力量のお陰か。)
正期産で、破水から後産までの所要時間2時間。産まれたこどもは二人とも2500g超の「普通のあかちゃん」で、保育器に入ることもなかった。問題といえば、私の出血量が牛乳パック一本を超え、色々モニタリングしながら一晩過ごさなきゃならなかったくらいだ。
双子だけど経膣分娩で安産。
ユニークでエキサイティングな体験だった。
これ以上誇らしいことは、これから先50年以上生きるとしても、そうそうないだろう。
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