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わたしのウィスキング・ジャーニーvol.2

こんにちは、サウナジャーナルの大山です。

前回のエピソードで、ラトビアのウィスキング「ピルツ」の国家資格に挑戦し、合格したことを書きました。でも、初めてリトアニアでウィスキングと出会った頃の自分は、ウィスキングを学びにリトアニアやラトビアに通って学んだり、国家資格を目指すことになるなんて、夢にも思っていませんでした。

ということで、ウィスキングとの出会いから、資格試験に合格するまでの私の軌跡を少しずつ綴っていこうと思います。

その一歩は、意外なきっかけから始まりました。

初めてのサウナ旅
2016年、漫画『サ道』の著者であるタナカカツキさんに、サウナの入り方やその効果について教えてもらったのをきっかけに、私はサウナの世界にどっぷりハマりました。サウナ不毛の地ニューヨークに暮らす私が日常的に通えるのは、ジムにある超乾燥のカラカラのサウナと水シャワーという環境でした。ロシア式や韓国式のサウナをいくつも試したものの、どこの施設もいまいちで「もっといいサウナに入ってみたい!」と本場のサウナを体験してみたいという思いがどんどん膨らんでいきました。そして、サウナに入り始めて5ヶ月後には、フィンランドとバルト諸国へ、初めてのサウナ旅を計画しました。

サウナ旅の計画をカツキさんに伝えたところ、「リトアニアには、とても良いサウナがあるよ」とリトアニアのウィスキング施設Perkunijos Pirtiesを教えてもらいました。

ちなみに、その頃の私はサウナ初心者で、北欧諸国の文化についても「フィンランドってムーミンの国?!」、「バルト三国ってどこ?」というレベルで何も知りませんでした。また、当時は今のようにネットやSNSでサウナの情報が簡単に手に入る時代ではなく、頼りにできるのは手元にあった雑誌『Coyote』のサウナ特集と、カーツさとうのサウナブログだけ。旅の準備も情報収集も手探り状態でした。それでも、「未知なるととのい体験が待っているはず!」という期待と貪欲な好奇心だけを胸に、私は見知らぬサウナの聖地へと旅立ちました。

初めてのサ旅を計画するときに熟読した雑誌。今でも大切な一冊です。

サウナ旅で知ったこと
フィンランド、エストニア、ラトビアを巡る旅では、毎日サウナを堪能し、地元の美味しいサ飯を味わうという、贅沢で豊かな時間を満喫しました。日本やアメリカでは出会えないサウナ文化に触れ、新たな発見に満ちた日々は、感動が尽きることのない特別な体験の連続でした。

この旅を通じて、「サウナ」とは単に熱い箱の中に座って汗を流す場所ではなく、心を鎮め、自分自身と深く向き合うための空間だったと気づきました。呼吸や心臓の鼓動、蒸気を伝って肌が感じる熱さや冷たさといった体の感覚に意識を向けるーそんな静寂の時間こそがサウナそのものなのだと知ることができました。

今でも鮮明に覚えているのは、フィンランドの自然公園の中にあるサウナでのひとときでした。サウナを出て、ベンチに座りながら外気浴をしていると、目の前には太陽の光が湖面に当たってキラキラと輝く水面、針葉樹の深い緑、冬の少しグレーがかった柔らかな白い空が広がっていました。
心静かな時間を過ごしていると、ふと「あぁ、しあわせ…」という感情が湧き上がってきました。じんわりとあたたかくて優しい恍惚感が心と体に広がっていく、、、味わったことのない不思議な感覚に包まれました。サ道に描かれているようなセンセーショナルな「ととのったー!」体験を求めてサ旅に来たものの、私にとっての最高のととのいとは、もっとほのかなカタルシスであり、自分自身への充足感なんだと実感できた瞬間でした。

フィンランドの「クーシャルビ・サウナ」の風景
(画像はサイトから)
木々に囲まれ、目の前は湖という最高のロケーションに佇むサウナ小屋
(画像はサイトから)


初めてのサウナ旅で、自分自身が持っていた「サウナ」への概念が刷新され、ますますその世界のおもしろさにのめり込み、次はどんなサウナが待っているのだろう?と心を弾ませながら、最後の国リトアニアへ向かいました。

リトアニアへ行く目的ただ一つ。ーリトアニア人のアウドラさんが営むサウナに「Perkunijos Pirties」行くことでした。

次回は、「ウィスキングという至福体験との出会い」について綴りたいと思います。

サウナ情報:
フィンランドで行ったサウナ「kuusijärvi sauna」

アウドラさんのサウナ施設「Perkunijos Pirties」